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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

「体に良くないものは使わない」スタイルが最後の一押しに

「シンプルで雰囲気のいい家だね」とお互いに一目で気に入ったのが、Ｔさんご夫妻と「無添加住宅」の出会いの始まり。白の漆喰を基調にした清潔感あるデザインはお二人の好みに合い、一つ一つの自然素材が織りなす温かくて柔らかな風合いも好印象。見れば見るほどその魅力に引き込まれ、最後は「身体に良くないものは使わない」ことを第一に掲げた家づくりのスタイルが、決断の後押しになりました。「どの完成見学会を訪れても、刺激臭が一切しない。子どもがやや敏感な体質だったので、安心感がありました」とご夫妻。
　土地は以前からマイホーム用地として、国道近くに約１００坪のスペースを用意していました。担当の建築士との打ち合わせでは、「遠い将来に夫婦２人暮らしになっても家を持て余さないように、建物のボリュームは少し抑えて、のびのびかつ効率的に住まえる平屋にしたい」旨を要望。一方で屋外には広々と庭を設け、ご主人が強く望んでいたガレージも盛り込んでもらいました。
　最終的に出来上がった現在のプランは、大きく分けると敷地の北側半分が住居スペース、南側が庭とガレージという構成になっています。西側道路に面して玄関があり、家に上がるとキッチン・ダイニング・リビング・和室が一直線に連続。それと平行するように可変式の子ども室と主寝室が並び、水回りはキッチン脇にまとまっています。そしてＬＤＫから屋外に目を移せば、大開口とデッキテラス越しに芝庭が広がり、「無添加」の健やかな室内に緑の眺めを取り込んだ豊かな住空間を形成しています。敷地の南東端にある松の木は、ある日気がついたら奥さまの父親が植樹していたもので、「お義父さんは庭いじりが趣味。植栽の管理は好きなようにお任せして、私は子どもたちの遊具用にブランコでもこしらえようかな」とご主人。

快適さ・使い勝手の良さが生活シーンのあちこちに浸透

　新居での生活はストレスフリー。そのため逆に、日常の中でその快適さは当たり前に、無意識に享受されるようになり、改めて振り返ったときなどに「そういえば」と気付かされることもしばしば。例えば夏の間の蒸し暑さは「そういえばあまり気にならなくなった」ことに加えて、壁や床のヌメッとした感触とは無縁になり、夏に限らず年間を通じて「床のサラサラした触り心地が気持ちいい」と感じるようになりました。
　こうした新たな発見は、生活シーンのあちこちで確認できます。対面キッチンを軸に最短距離で移動できる家事動線、台所作業をしながら家の隅々まで見渡せる空間構成は、子育てと仕事に忙しいご夫妻の強い味方。洗面脱衣室前の廊下と玄関の２カ所にはトップライトがあり、日中は照明がなくても明るくすがすがしい雰囲気を演出してくれます。

　ファサードのちょうど中央にある玄関ポーチ一帯も、お気に入りのスペースの一つです。玄関とガレージを結ぶ通路には簡易な屋根が架かり、雨の日でもぬれることなく家の中と車の間を行き来できます。ガレージ内部には庭に直結するドアもあり、庭に入って今度はキッチンの勝手口を開ければ、室内外をぐるっと回遊できる動線が完成。また夜間はポーチ奥の植栽がライトアップされ、日中とは趣の異なるシックなムードが生まれます。
「家を建てて良かったと実感することは山ほどありますが、子どもたちが家の中や庭を元気に遊び回っている姿を眺めている時間が、１番の喜びですね」とご夫妻。住まいを構成する要素が健康的だからこそ、他に余計なエネルギーを割かれることなく、生活そのものに思う存分熱中できる。健全な暮らしは健全な住まいに宿る、そんなフレーズがふと浮かんでくるような住宅です。