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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

ガレージのある暮らし

ガレージのある暮らし

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週刊かふう:2020年9月11日号より

自分の趣味を存分に楽しむことは住宅選びの目的のひとつ。
ガレージハウスも車やオートバイが趣味の人だけのものと思われがちですが、
心地よさと利便性を考えれば、誰もが取り入れたい住まいの様式。

ガレージハウスとは何か、そのメリットとデメリット、建てるときの注意点などについて、あらためて考えてみたいと思います。

 

ガレージのある暮らし

写真/油圧リフトを備えた本格的なビルトインガレージでメンテナンスに励む。愛車とともに暮らす夢のカタチ(写真/308号 りーふ)



雨ニモ濡レズ、風ニモマケズ
冬の寒サト夏ノ暑サヲシノギ
十分な広サト堅牢サヲ備エ
盗難ヤ悪戯ニモ怯エナイ
私ハソンナ“ガレージ”ガ欲シイ

 宮沢賢治の『雨にもマケズ』風にまとめてみましたが、今回のテーマは憧れのガレージハウスです。
 生活の中でマイカーの利用頻度が高い沖縄ですから、やはり駐車場は必須。車を停めるだけなら屋外(露天)の駐車でもよいでしょうが、屋根のあるガレージは憧れです。そこで屋根付き駐車場のある家(ガレージハウス)について考えてみましょう。

 ガレージハウスとは、住宅とガレージが一体となった住宅のことを指します。沖縄でよく見られる、1階の一部(または全部)を駐車場にし、2階3階を住居にしている下駄履き住宅も広い意味ではガレージハウスと言えますが、イメージしやすいのはやはりビルトインガレージでしょう。
 文字通り建物の中に取り込まれたガレージのことで、屋根がある点では下駄履き住宅のガレージと共通していますが、壁などで囲ってあるのが大きな違い。強い雨風もしのぐことができ、車が汚れたり、破損することを防げるほか、盗難やいたずらなどの被害に遭いにくいという点が大きなメリットです。
 住居内からそのまま行き来きできる構造も多いので、雨の日の乗降や、小さな子ども、介護の送迎も安心。台風の多い沖縄では、申し分ない存在といえます。



ガレージのある暮らし

車以外の楽しみ方と
存分に楽しむ愛車スタイル

 確かに屋根のある駐車場は便利で魅力的ですが、車を収める以外にもさまざまな活用法があります。
例えば、大き目のDIY用品やキャンプ用品、万が一に備える防災用品や非常食といった、室内では場所をとって置きにくいものを、一カ所に収納するスペースとしても役に立ちます。

 また最近注目されているのが、パーティースペースとしての活用法。遠くに行かなくとも気軽にアウトドア気分が楽しめ、住居内という手軽さと汚れを気にしない土間という便利さからガレージでバーベキューを楽しむ方も多いようです。他にも子どもたちの遊び場としても天候を問わず重宝しそうです。

 メリットも多く建てる理由もさまざまですが、やはり1番なのは「車との生活を思う存分楽しみたい」という思いでしょう。大切な愛車を安全に保管する場所というのが大前提ですが、ガレージスペースのすぐ隣にリビングを配置し、ガラス越しに愛車が見えるような設計も許容範囲。愛車を自身で手入れしたい方なら、それに必要な工具を置く場所も兼ねるなど、趣味性の高い家というのが一番なのでしょう。



写真上/深く延ばした庇が、そのまま駐車場の屋根。ガレージというよりも巨大なエントランスのような趣きは、物置には不向きだが、大きなパーティー会場として活躍しそうだ(719号 一級建築士事務所GAB)



ガレージのある暮らし

夢をかなえるために
押さえておきたいポイント

 住宅の一部を車のためのスペースとして割くわけですから、その分の居住スペースをどこに設けるか、広い敷地なら問題ないでしょうが、狭小地なら2階3階にあげるなど、敷地や構造との兼ね合いも出てきます。それ以上に建築費のコストアップも無視できません。
 また実際のプランニングでは、居住スペースへの動線、照明設備、排気対策と換気設備、防犯面でのシャッター設備など、一般的な家とは異なる面がでてきますから、これらの問題は、設計の段階までにある程度検討しておく必要があります。特に、車のサイズや台数に関しては、完成後に変更することは難しいので、あらかじめ余裕を持ったプランを考えておくとよいでしょう。たたしガレージ部分の広さによっては、固定資産税の対象となることもあるので注意が必要です。

 いろいろなポイントをあげてみましたが、やはり肝心なのは家族の同意を得ること。ガレージハウス(特にビルトイン)は、車を愛する人にとっては夢のような空間ともいえますが、家族と自動車が共存する家であることも確かなこと。この記事が家族説得の材料として活用でできれば幸いです。


写真上/シャッターを備えセキュリティー面でも万全なガレージ。車2台でも余裕があり、収納スペースとしても重宝する(737号 サイアスホーム)


ガレージのある暮らし

写真/狭小地ならではのガレージスタイル。高低差のある敷地の形状に合わせ駐車場を配置。2階・3階の居住スペースはアプローチから階段を上ってアクセスする(610号 ティーチプラス)

ガレージのある暮らし

写真/地盤面を5.6m掘り込み、その分リビングを張り出させガレージスペースを最大限に確保し雨をしのぐ(756号 アトリエセグエ)

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