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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

空間を縦につないで開放的に。4階建ての2世帯住宅

空間を縦につないで開放的に。4階建ての2世帯住宅

DATA
所在地:那覇市
家族構成:夫婦、子ども3人、母親
設計・施工:株式会社徳里産業(設計担当/村浜一、営業担当/新膳毅大)
敷地面積:154.06㎡(約46.60坪)
建築面積:107.42㎡(約32.49坪)
延床面積:264.42㎡(約79.99坪)
用途地域:第二種住居地域
構造:鉄筋コンクリート造4階建て
完成時期:2018年5月

那覇市内の大通り沿いに建つTさん宅は、4階建ての2世帯住宅。敷地面積約46坪の限られた空間を有効に活用し、吹き抜けのある開放的な住まいを実現しました。

空間を縦につないで開放的に。4階建ての2世帯住宅

3階リビングダイニングを青空を望む吹き抜け空間に

 Tさん宅は戸建て住宅では珍しい4階建て。周囲に林立する中層のビルと背の高さこそ同じですが、ボリュームが小さい分かえってスマートな印象が際立ち、シンプルモダンな装いの中には気品が感じられます。
 各階の構成は、1階がピロティ、2階がご主人の母親が住む親世帯、3・4階がTさんご夫妻と3人の子どもたちが暮らす子世帯となっています。上階へ行くに従ってプライベート色が強まり、将来仏壇を設置予定の2階親世帯は、リビングの代わりに和室を2間並べるなど、親類らゲストの集まりの場に。そして3階はTさん一家の団らんの場であるLDKが中心で、4階には主寝室と3つの個室が置かれています。このうち3階リビングダイニングは4階天井まで吹き抜けになっており、壁面に大きく取られた窓からは青空へと視線が抜けて、開放感あふれる空間になっています。
 新居が完成したのは昨年5月。今までも長い期間、同じエリア内で2世帯同居で暮らしていましたが、当時の家は2階建て。大人数で使うにはやや手狭でプライバシー性も低く、建物の老朽化も進んできたため将来を考え、「以前に祖父の家があった、大通り沿いのあの土地を活用してはどうか」とTさんご夫妻は移転・新築の検討を始めました。
 候補に挙がった土地の広さは約46坪。台形状の変形地である上に法律や地区計画による制限もあり、一家6人が今まで以上に伸び伸びと暮らすには「空間を縦方向に活用するしかない」ことは明らか。とはいえ果たしてどんなプランが最適であるのかイメージが湧かず、プロの提案を求めて、設計の依頼先探しに乗り出しました。
 最終的に建築会社を選んだ決め手は、期待していた高度な設計力はさることながら、デザイン面でもたくさんの引き出しを持っていたこと。「過去の実績を見ると、実に幅広いテイストの作品を手がけており、私たちの好みや要望にも柔軟に対応してもらえそうだ」との安心感がありました。

空間を縦につないで開放的に。4階建ての2世帯住宅

時代を経ても飽きの来ないシンプルなインテリア

 新居のデザインは母娘の合作。当初は「スペインなど南欧風の意匠を多く取り入れたい」と考えていた奥さまに対し、長女が「デザインの好みや流行は時代によって変わるから、ベースだけはシンプルにまとめたほうがいい」とアドバイス。完成後の様子を見ると、内装は白を基調にしたナチュラルなトーンでまとめられており、そのため一つ一つの家具や雑貨、調湿壁材「エコカラット」などのインテリアが一段と映え、飽きの来ない、落ち着いた空気感をつくり出しています。

空間を縦につないで開放的に。4階建ての2世帯住宅

「一目見た瞬間にセンスを感じた」という建物全体のプランニングは、最初の段階からほぼ変わりなし。「限られた床面積の中で最大限に開放感を生かし、家族がどこにいてもお互いの気配が伝わるように」と3・4階を吹き抜けで結ぶことも、当初からの希望通りです。打ち合わせ途中に大きく変わった点は、3階子世帯の玄関から室内への通路を2つに分けたこと。一つはリビングへ直接つながるパブリックな入り口にして、もう一つはキッチン脇に出るプライベート用に。キッチンのすぐ背面には水回りや4階個室へつながる階段が用意されているため、来客時でもゲストと顔を合わせることなく、普段通りの生活を送ることができます。
 隅々まで考え抜かれたこうした動線計画は、毎日の生活ストレスをなくし、暮らすほどに快適さを高めてくれます。「公私の空間をしっかり分けたことで、生活にリズムとメリハリが生まれました。何をするにも、何一つ不自由さを感じないことが大きな満足感につながっています」とTさん。新築直後に感じた大きな喜びは、一年以上経った現在もまだ変わらず続いています。

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