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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

外は閉じて、内を開放感で満たす スタイリッシュな暮らしへ

外は閉じて、内を開放感で満たす スタイリッシュな暮らしへ

DATA
設計: アーキデザインワークス一級建築士事務所 (担当/佐久原好光・中村夏美)
敷地面積:151.72㎡(約45.90坪)
建築面積:82.05㎡(約24.82坪)
延床面積:148.26㎡(約44.85坪)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
構造:壁式鉄筋コンクリート造2階建て
完成時期:2021年6月
建築:米元建設工業 株式会社(担当/高良友彦)
電気:合同会社 屋宜電気工事(担当/新高悟)
水道:有限会社 ライフ工事(担当/我喜屋奨)
キッチン:キッチンハウス(担当/小山一斉)
植栽:PLANTADOR(担当/新城圭吾)

スタイリッシュ志向と立地条件を掛け合わせモダンなデザインで街並みに精彩を。
すみずみまで工夫を凝らして開放感を演出。

※週刊かふう2021年11月19日号に掲載された内容です。

外は閉じて、内を開放感で満たす スタイリッシュな暮らしへ

彩度を落とした空間がハイセンスを表現

 静かな住宅街の角地に建つTさん邸は、全体の白さにダークグレーのエントランスがアクセントを添えて、モダンな印象を放っています。躯体のフォルムも単純な四角形ではなく、スッと斜めに切り取ったような輪郭が個性を際立たせています。
「あまり生活感を出さない、スタイリッシュな住まいにしたいと考えていました」  
 そう話すTさんは、ご夫妻でさまざまなメディアから住まいのイメージを収集し、二人の意見をすり合わせていったそうです。
 内装はモダンなイメージを演出するグレイッシュを希望。絵心のある奥さまがスケッチを描き、アーキデザインワークスの佐久原好光さんへイメージを伝えたとのこと。

 佐久原好光さんが主宰するアーキデザインワークスはBIM(ビム)という建築物に関する情報のモデリング手法を用い、空間の実寸やスイッチ類の高さなども把握しやすい3DのCG画像を使って各室のイメージなどをクライアントに伝えています。
「BIMを見て間取りを確認したら、どんどんイメージが固まってきました」と奥さま。料理好きな奥さまは、作業効率や動線などの使い勝手を熟考してオリジナル仕様のキッチンを選択しました。
「対面式も考えましたが、ダイニングスペースを広く取るために壁付き式のシステムキッチンにしました。調理台からの配膳などもラクにでき、とても満足しています。色を個性的なグレーに決定したあとは、住まい全体の配色計画もスムーズに決まって行きました」

外は閉じて、内を開放感で満たす スタイリッシュな暮らしへ

明るさと色合いで空間に広がりを演出

 光庭からの自然光が高い吹き抜けを通して、リビングや和室を明るく照らすTさん邸。バスルームなどを擁するサニタリースペースはハイサイドライトからの淡い明るさを取り入れ、くつろぎ感を演出したいダイニングやキッチンは天井高を抑えてダークグレーやダークブラウンの落ち着きある色調でシックにまとめています。このように天井高や明るさに強弱を付けることで、空間の表情をゆるやかに変化させて奥行きや広がりを創造しています。

 またサニタリースペースのフロアは水に強いタイルを敷き、LDKは素足にも優しい感触の複合フローリングを採用するなど、空間の機能にマッチしたフローリング計画を採用しました。
「ダイニングの天井にフロア材と同じ素材を貼って、空間に統一感を出しています。カセットタイプの空調設備は天井の色に溶け込むよう黒に塗装しました」と、こだわりポイントをTさんが説明してくれました。

外は閉じて、内を開放感で満たす スタイリッシュな暮らしへ

家族の成長に寄り添う 可変性に富む2階

 壁に階段の端が固定された片持ち階段を上がって2階へ行くと、多目的に使えるコージーコーナーが表れます。
「ピアノなどの楽器を置く予定ですが、ゆくゆくは子ども部屋への転用も考えています」
 吹抜けから1階リビングを見下ろしながら進むと、右手にカウンターデスクと書棚を並べたワークスペース。また寝室へつながる廊下には、家族全員の衣服を収納するファミリークロークを設けました。 「開閉スペースが必要なドアの代わりにカーテンを取り付けています。横幅いっぱいまで開くことができるので、洗濯物の収納や着替えの取り出しなども便利です」

 主寝室は2室に区切ることもでき、将来に備えて廊下への出入口となるドアを2箇所に用意しています。 「建材などの小さい見本で予想していたよりも格段上の出来上がり」とTさん。奥さまも「LDに力を入れて、広く過ごしやすい。のびのびした住まいになりました」とうれしそうです。ご夫妻で意見をすり合わせてイメージを共有し、設計相談に臨む姿勢が理想の住まいへと導いてくれたようです。

写真ギャラリー

設計・施工会社

アーキデザインワークス一級建築士事務所

TEL:098-890-1288http://www.archi-dw.com

TEL:098-890-1288http://www.archi-dw.com

宜野湾市真栄原2-6-40 Casa BIANCA 1F

外は閉じて、内を開放感で満たす スタイリッシュな暮らしへ

角地に建つ制約を設計で プラスに転換し、 街並みにも新しい個性を添える

佐久原好光さん(一級建築士・インテリアプランナー) アーキデザインワークス一級建築士事務所 主宰

「角地となるTさん邸は、敷地の2方向を道路との境界から1・5メートルもセットバックしなければなりませんでした」
 設計ポイントについてお答えいただいた佐久原好光さんは、開口一番に敷地における配置計画の難しさを挙げました。しかし制約をデメリットとして捉えることなく、いくつもの条件をクリアした結果に辿り着いた「機能性」や「洗練された美」があることを教えてくれます。

「角地は街並みの中でも目立つ存在。視線が集まれば、プライバシー保護に気を使わなくてはいけなくなります」
 そこで道路側の2面は窓などを設けず、外観を思い切りスタイリッシュに仕上げる大胆なアイデアを提案しました。佐久原さんがTさん邸で実現したのは、外は閉じて、内に開けた住まいです。躯体を包み込んだ外壁、その内に広がる住まいの所々に〝光を点在させる〟工夫を凝らしたと言います。
「天井を設けず自然光が降り注ぐ半戸外の光庭、和室の坪庭、玄関や寝室のトップライト、洗面所のハイサイドライトなど、いたるところに自然光の優しい明かりが届くよう設計しています」
 また2〜3台分の駐車スペースを取ることも、敷地計画の課題でした。
「Tさんが所有する自動車の車幅を考えて駐車スペースを台形に切り取り、道路境界からのセットバック分に収めるようにしました」

 敷地面積・約46坪という実数よりも遙かにゆとりを感じるレイアウトは、緻密な計算の積み重ねから生まれています。また、リビングと玄関やサニタリースペースとの間のドアは半透明のガラス、脱衣所とバスルームの間は透明ガラスを採用するなど、視界の奥行きを感じさせる建材選びも、いっそうの広さを演出。こまやかな配慮がのびやかな空間を創造しています。
「奥さまが描いたイメージスケッチは、ご希望や好みを把握するのに大変役立ちました。私たちも3DのCG画像を用いてご提案やご説明をしています」
 住まいづくりの方向性や仕様についてご夫妻で考えた上で打合せに臨んだことも、時間を無駄にしないスムーズな打合せを後押ししていたとのこと。双方向性に富んだコミュニケーションが「満足する住まいづくり」のコツだそうです。


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