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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

洗練漂う立体的な外観プロポーション。内と外で印象が異なる 打ち放しコンクリートの家

洗練漂う立体的な外観プロポーション。内と外で印象が異なる 打ち放しコンクリートの家

DATA
設  計: 株式会社NDアーキテクトン
     (担当/大城 貢、内間 塁)
敷地面積: 230.55㎡(69.7坪)
建築面積: 144.56㎡(43.7坪)
延床面積: 128.16㎡(38.7坪)
用途地域: 未指定
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2022年10月
施  工: 株式会社 玉那覇組
     (担当/金城 守)
電  気: 有限会社 開成電設
     (担当/比嘉一貴)
水  道: 泉水設備株式会社
     (担当/糸数 久)
キッチン: 有限会社トーヨー建材
     (担当/粟国利枝子)
構造設計: Lifetect一級建築士事務所
     (担当/宮里尚志)

のどかな田園風景が広がる本島南部の一角。
打ち放しのコンクリートがスタイリッシュな住宅は、外観は2階建てにも見えますが、台形の傾斜地を上手に生かした平屋建て。
ベランダや屋上の配置も工夫されています。

週刊かふう2023年5月12日号に掲載された内容です。

洗練漂う立体的な外観プロポーション。内と外で印象が異なる 打ち放しコンクリートの家

理想の設計事務所との出会いが満足度の高い家造りを実現

 結婚した時から、「いつかは家を建てたい」という夢を描いてきたMさん夫婦。その夢が思ったより早く実現することになったのは、奥さまのご実家が住宅を新築したことがきっかけでした。
「弟家族と両親が建てた二世帯住宅がとにかくステキで、設計を担当したNDアーキテクトンさんの間取りや家造りのセンスに魅了されました」と奥さま。Mさんも「私たちが家造りに求めるものと感覚が近くて。この出会いは大きかったです」と話します。
「この設計事務所とマイホームを建てたい」という気持ちが強くなり、早速ご夫婦で土地探しを開始し、幸運なことに3カ月ほどで希望に合った好立地が見つかりました。

「設計プランは設計士さんに夢や要望を伝えながらじっくり行おうと考えていましたが、土地購入のローンを組むために設計図が必要となり、慌てて設計してもらいました」と苦笑いする奥さま。設計プランをブラッシュアップさせながら、約1年かけて家造りに取り組みました。2022年10月に完成した新居での生活をスタートさせたMさん夫婦。子ども部屋でのびのびと遊ぶ2人のお子さんを見ながら、「こんなに早く夢が実現できるとは」とうれしそうにほほ笑みます。

洗練漂う立体的な外観プロポーション。内と外で印象が異なる 打ち放しコンクリートの家

驚きの発想でさまざまな要望をカタチに

 家造りにあたっては、①子ども部屋は3部屋、②将来同居予定の父の部屋と仏壇を置く和室を設ける、③親族が集まる機会が多いので駐車場は広く、という要望を設計事務所に伝えていました。
「すべての要望がかなって本当に満足です。駐車場も5台とめられます」とMさん。奥さまも「10.5帖の子ども部屋は将来、間仕切り戸を設け3.5帖の個室が3つできる可変式! これは本当に驚きました」と目を丸くします。

 元々平屋を希望していましたが、計画地が傾斜地だったこともあり、数々の要望を盛り込むとスペースの確保が難しく、2階建てになることも仕方ないと考えていました。ところが設計事務所がその課題を1つずつ解決し、平屋を可能にしたといいます。「あの時は本当にうれしかったですね」。建物の外観だけでなく、室内もすべてコンクリートの打ちっぱなしになっているのもご主人のお気に入りです。

 以前は2LDKの賃貸アパートに住んでおり、子どものおもちゃやいろいろな物がリビングにもあふれていました。新居のリビングはすっきりと片付き、いつでもお客さまをお招きできます。また、室内干しができるランドリースペースとファミリークローゼットの導入で家事動線がスムーズになり、洗濯から収納までが大幅に時短に。共働きのMさん夫婦にとって理想の住空間となりました。

洗練漂う立体的な外観プロポーション。内と外で印象が異なる 打ち放しコンクリートの家

高い天井と天窓、屋上へのアプローチ。光と風が心地よく通り抜ける住まい

 空間を広々と感じさせる高い天井をはじめ、廊下に設けた天窓、トイレとバスルームにつながる坪庭、開口部の大きなテラスや階段のおかげで、室内は明るく開放的。心地よい風が通り抜けます。
 食事やコーヒータイムだけでなく、読書やパソコンワーク、書き仕事など、多目的に使える造作のダイニングテーブルは、奥さまがこだわってオーダーしたもの。キッチンとの一体型で、「子どもたちが小学生になったら、ここで勉強をさせながら家事をするつもり。テーブルにコンセントを設けているのでホットプレートなどの調理家電もスムーズに使えます」。収納たっぷりの使い勝手の良いキッチンとともに、家事や仕事、育児に忙しい毎日をサポートしてくれます。

 キッチン横の階段を上れば、見晴らしの良い約40帖の屋上テラスが広がります。シンクと水栓を完備しているので、バーベキューや子どもたちの水遊びもOK!「夏になったら、友人たちを招いてバーベキューをするのが楽しみ」とうれしそうなお二人。
 一人ひとりの価値観や好みが多様化する現代。家事を時短し、ライフステージとともにフレキシブルに変化できる住まいには、快適な暮らしのヒントがありました。

写真ギャラリー

洗練漂う立体的な外観プロポーション。内と外で印象が異なる 打ち放しコンクリートの家

お客さまの想いに寄り添いながら、常に期待を超える提案をしていきたい

株式会社NDアーキテクトン 内間 塁さん

 私どもNDアーキテクトンでは、空間形態を構成していく中で、常に建築の見えない部分にあるものを意識しながら、思考を巡らせています。沖縄の昔ながらの風水や南国ならではの気候風土を大切にしながら、窓の外に広がる四季折々の光や風、影、周囲の植物との融合などを考慮しています。

 家造りの基本となるのは時間をかけた丁寧なヒアリングです。室内の間取りに対するこだわりや、扉の形や数、壁や床の色、造作のキッチンやテーブルなど、一人ひとりのお客さまのご要望をじっくりとお聞きして、建物の基本方針を決めるためにさまざまなアイデアを出し、住まいづくりのイメージをより具体的に、実際の建物に近い形でまとめていきます。

 今回のMさまのお宅は、敷地が変形的な台形で、しかも傾斜地になっていました。いただいたご要望をすべてかなえようとすると、当初は2階建てがいいのではないかと考えました。しかし、ご夫婦の平屋への憧れを感じ、その思いに応えるため、試行錯誤しながらプランを検討していきました。

 まず、全面道路に対して土留壁を造り、高低差を処理することで広い駐車スペースを確保。
次に敷地の形を生かした平面構成とし、できる限り余地を省くことで、希望の部屋数を満たしていき、平屋建てのプランを提案しました。
 隣地との境界が近いため、窓の配置を考慮し、くもりガラスを採用することで、プライバシーを確保。また、北側のテラスは前面道路からの音と目線を遮るためにコンクリートの手すりとし、それをそのまま建物のデザインに結び付けています。
 さらに建物外観のファサードは変形地を生かすよう、コンクリートの段差や配置が個性的なプロポーションを表現。亜熱帯の強い西日の緩衝材的な役割として、西側にランドリールームや坪庭を設けることで、洗濯効率や抜け感のあるやすらぎを確保し、トイレやバスルームの採光にもつなげています。

設計・施工会社

読谷村字渡慶次1184-1

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