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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

穏やかな暮らしを内包した 建築美が映えるシャープな家

穏やかな暮らしを内包した 建築美が映えるシャープな家

DATA
設 計: 有限会社門一級建築士事務所
敷地面積: 662.12㎡(約200.29坪)
建築面積: 143.84㎡(約43.51坪)
延床面積: 120.68㎡(約36.50坪)
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2021年12月
施  工: 有限会社グロリア
     (担当/具志堅幸則)
電  気: 株式会社ゼネラル電設
     (担当/田端忍)
水  道: 有限会社三誠設備
     (担当/金城勝、玉城慶志)
キッチン: 大里総合建材株式会社
     (担当/大城盛正)

シンプルなフォルムの中に縦横のラインが強調されたKさん宅のファサードは、頭上の青空に向かって飛翔する構造体のようです。
光と風がくまなく巡り、一つ一つの空間が丁寧に組み立てられた家の中では、夫婦と子ども3人の穏やかな暮らしが営まれています。

 

週刊かふう2023年5月5日号に掲載された内容です。

穏やかな暮らしを内包した 建築美が映えるシャープな家

外観デザインはかっこよく。間取りは家族のつながりを重視

 建てるなら、かっこいい家がいいに決まっている。シンプルで、シャープで、見ているだけで誇らしげな気分になれて。青空や緑の芝庭に映えるように、外観は清潔感あふれるクールな白がいい。ずっと気になっていたあの建物みたいに。

 Kさんが設計を依頼したのは、隣町にある建築士事務所です。家づくりの構想がまだぼんやりとしていた頃から意識していた存在で、「手がけている作品もそうですが、真っ白な壁と大きなガラスで構成された事務所の外観がとてもかっこよくて。あんな雰囲気の家にできたらなあ、と常々思っていたんです」とご主人。だから計画が具体化するやいなや真っ先に足を運んだのは当然の流れであり、スタッフの丁寧な応対ぶりを見て「間違いない」と意を固めました。

 準備していたマイホーム用地の広さは約200坪。ご夫妻は建物自体のボリュームは求めず、光と風の巡りがよいすっきりとした平屋を、家族の気配がいつでも感じられる空間を、掃除がしやすくて効率的に家事をこなせる間取りを希望。部屋数も「LDKと寝室・個室の他に畳間があれば」と必要最小限にとどめ、衣類や小物類の収納はファミリークローゼットに統一しつつ、「家族全員が読書好き。本をたくさん置けるようにしたい」と考えていました。
 果たして以上の要望やイメージは、設計のプロ集団によって無駄なく採択され、一昨年暮れに見事に形になりました。前面道路からスロープを上がると目の前に現れるのは、長年思い描いてきたホワイトベースの美しいファサード。建物正面に切り立つ壁や水平に伸びる庇のラインが、頭上の青空に向かって飛翔するための翼のように見えます。

穏やかな暮らしを内包した 建築美が映えるシャープな家

丁寧に編まれた空間から安定した生活リズムが生まれる

 室内のレイアウトは「家族の時間」を中心に組み立てられています。団らんの場であるLDKは敷地南側の庭に面した位置にあり、連続したガラス戸から差し込む優しい光でいつも明るい雰囲気に満たされています。
 一方で庭と反対側には、LDKと平行するようにして3人の子ども室と畳間が並び、「パブリックな空間と個室の距離が近い。どこにいてもお互いの動きが見えるので安心ですね」とご夫妻。子ども室側の壁一面は造作の本棚になっており、まるで本棚の中に子ども室の入り口があるような、隠し部屋的な雰囲気さえも感じられます。

 家の東端にある玄関や、キッチンとその奥に集約した水回りなどのスペースには、生活効率を高めるためのこだわりが満載です。例えば玄関にはシューズクロークを設けず、全体をオープンな土間にして、「見える靴棚」を壁に設置。靴や小物の収納以外にも多目的に使うことができ、隠さず「見せる」ことで自然と整理整頓の意識が働きます。
 また洗面室にある洗面ボウルは、「汚れ物をジャブジャブ手洗いできるように」というご主人の意向で導入した屋外用のアイテムです。かなり深型なので水跳ねを防ぎ、毎日の洗顔・手洗いでも大活躍しています。

 入居してすべての季節をワンサイクル経験した感想は、「どこにいても光と空気の流れを感じられる。風があちこちに抜けていくから、夏でも本当に涼しいですよ。室内に余計な凹凸がなく、掃除が楽な点も助かっています」とのこと。所与の建築空間を満喫するかのように、後置きの家具や装飾の類いはほとんどなく、「リビングにもソファは置かずに、あえて大きめのダイニングテーブルを購入しました。食卓と作業机を兼用したファミリーデスクのようにして使っています」。
 憧れていた建築デザインが毎日の気分を高め、丁寧に組み立てられた空間デザインによって安定した生活リズムが生まれる。家族の和も一段と深まっています。

写真ギャラリー

穏やかな暮らしを内包した 建築美が映えるシャープな家

敷地の向きに合わせず角度を変更。最適な眺望を優先した配置計画
敷地南面から潤沢な光と風を素直に取り込む
本棚や「見せる収納」を壁と一体化したインテリアに

設計:有限会社門一級建築士事務所

 今回のプランのポイントは、建物の配置計画につきるといっても過言ではありません。計画地は北東・南西のラインに沿った細長い形状であるのに対し、Kさんの新居は真南に開いています。立地的には約200坪もの広さがある整形地で、明るく風通しにも恵まれた申し分ない環境でありながら、敷地形状に合わせて建物をレイアウトすると必ず隣地の施設や集合住宅とどこかで正対してしまうことが当初の悩みの種でした。そのため熟考を重ねて建物を約45度回転させてみたところ、万事が解決。南北両サイドに対して視線の抜けを確保でき、採光・通風の面でもベストの条件が整いました。

 もともとKさんはシンプルなデザインをご希望でしたので、年間を通して優勢な南からの季節風を存分に取り込めるように、真南に大きく開口を設けた箱型のプランを考案。間取りも小細工せず、所与の好条件を享受することを最優先して素直に居室を並べていきました。
 具体的には、開放感あふれるワンルーム的なLDKを家の南面に置き、幅6メートルの開口部と軒下空間を介して庭と連続させ、内と外の一体感を演出。家族の親密な距離感と宅内の空気の流れを最適化すべく、3人の子ども室と畳間はリビングの北側に横並びに配置し、水回りはすべてキッチン以西に集約して移動動線をコンパクトにまとめて、家事の効率化を図りました。
 また干し場や収納スペースを家の西端に置くことは、強烈な西日の影響を和らげる上で有効であり、浴室・トイレには坪庭を隣接させ換気窓を設けるなど、家中の快適な熱環境が保てるように配慮しています。

 子ども室入り口の壁面を利用した造作の本棚や、可動棚を設置しただけのオープンなシューズラックなど、「見せる収納」を上手に取り入れていることも特徴の一つです。本や靴の出し入れがしやすいという実用性はもちろんのこと、仕切りがないので空間がより広く感じられ、さらには収納物がインテリアの一部となって、Kさんファミリーの個性あふれる住まいづくりに役立っています。

設計・施工会社

門(じょう)一級建築士事務所

TEL:098-888-2401http://www.jo1q.com/

TEL:098-888-2401http://www.jo1q.com/

南風原町字津嘉山750-1

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