暮らしの真ん中に明かりが集まる 変形地を生かした2面大開口の家
- DATA
- 設 計: 株式会社
デザインネットワーク
(担当/島田潤、西筋勇人) - 敷地面積: 199.53㎡(約59.86坪)
- 建築面積: 119.45㎡(約35.84坪)
- 延床面積: 285.99㎡(約85.80坪)
- 用途地域: 第二種住居地域/
第二種中高層住居専用地域 - 構 造: 鉄筋コンクリート造3階建て
- 完成時期: 2023年1月
- 建 築: 有限会社 ナイソ
- 電 気: 克電気工事 株式会社
- 水 道: 有限会社 海西工業
- キッチン: トーヨーキッチン
週刊かふう2025年8月15日号に掲載された内容です。
高層マンションの目の前に開放感ある住宅を建てる
南側隣地に18階建てのマンションがそびえる、台形状の変形地。「生活利便性は申し分ない場所だけど、一戸建てには不向きだろうか」。
4年前、家づくりの計画を始めたTさんご夫妻は、一緒に土地探しをしていた建築家に相談を持ちかけました。鑑定結果はいい意味で予想と異なり、「すてきな家ができそうですよ、とその場で言われ、すぐにプランの素案をつくってくれました。目からうろこが落ちる思いでしたね」。
Tさん宅はRC造の3階建て。1階は「ライフステージの変化に応じて柔軟に使えるように」と水回り完備の予備的なフロアに充て、2・3階を夫婦と子ども3人の生活フロアにしています。
木をふんだんにあしらった内装は温かみにあふれ、敷地形状に合わせて三角形にかたどられたLDKは2面大開口と吹き抜けの効果で開放感抜群。目の前のマンションはリビングのコンクリート壁によって完全に遮られ、打ち放しの武骨な表情とブルーに輝く琉球ガラスの採光窓が、空間を引き立てるアクセントになっています。
のびやかな空間構成と機能的な家事動線
居室と水回り・収納スペースが機能的に連動したレイアウトは、変形地であることを感じさせないバランスの良さ。キッチンはLDや和室を見渡せる位置にあり、リビングの両サイドに取られた窓を介して屋外まで視線が抜けていきます。
すぐ左手には洗面・洗濯室とバスルームが続き、家事動線もスムーズ。また主寝室・和室の奥に置かれた大容量のクローゼットは、洗面・洗濯室側からも行き来できるウオークスルー仕様です。
「漠然とした要望しか話していなかったのに、最初に提案されたプランを見たら、ポイントがしっかり押さえられていてびっくり。おかげでキッチンやサニタリーのタイル選びに時間を割くことができました」。
3階はご主人の書斎と子ども室が並んだプライベートフロアですが、「寝る時以外はほぼ全員がLDにいる」ため個室はあまり出番なし。それでも吹き抜けに面した家族共用のスタディースペースは、「テスト前の勉強場所」として狙い通りに役立っています。
「2階テラスもフル活用していますよ。周囲の目線が気にならないので、よくBBQを楽しんでいます」とご夫妻。新居で迎える3回目の夏。ここが住宅地であることを忘れるほど、リラックスした生活を送れています。
写真ギャラリー
強固なRC造の躯体の中に、木造の生活空間をつくる
一級建築士 島田潤さん
設計者目線での住宅地の評価は、広さや形だけで決めるものではありません。今回の土地は真南に高層マンションが建っていましたが、建物周辺の敷地スペースは視界が開けていました。つまり見方を変えれば、マンションが取り壊されない限り、抜け感のある今の景色は確保されます。東側隣地方面からの採光も申し分なかったので、マンションの正面に目隠し壁を立ててその両サイドに大開口を設ける現在のプランを考案しました。
建物自体の構造はRC造ですが、2、3階の生活フロアは木を主体にして仕上げています。間仕切りは極力設けず、どこにいても家族の気配が感じられるように空間を構成し、開放的で温かみある雰囲気を演出。改修も比較的容易に行えるので、将来的には3階個室をすべてつなげてワンルームにするなど、ライフステージの変化に応じた柔軟な住まい方が可能です。
キッチンを基点に水回りはコンパクトにまとめ、衣類収納との連動性も意識しながら家事・生活動線をプランニング。随所に採光・換気できる窓を取り入れて、長く快適に住まえるように設計しています。
設計・施工会社
株式会社デザインネットワーク
TEL:098-858-2008 | http://www.dn-okinawa.com/