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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

心地よい余白が暮らしを整える 2面テラスに囲まれたミニマルな家

心地よい余白が暮らしを整える 2面テラスに囲まれたミニマルな家

DATA
設  計: 松田まり子建築設計事務所
     (担当/松田まり子)
敷地面積: 150.70㎡(約45.58坪)
建築面積: 79.48㎡(約24.04坪)
延床面積: 128.24㎡(約38.79坪)
用途地域: 第一種中高層住居専用地域
構 造: 鉄筋コンクリート造 2階建て
完成時期: 2024年3月
建  築: 株式会社 沖秀建設
      (担当/棚原)
電  気: 株式会社 セイリング
      (担当/新川、坂口)
水  道: 株式会社 設備技研
      (担当/幸良)
キッチン: 有限会社昭和厨房
      (担当/佐久川)

週刊かふう2025年11月21日号に掲載された内容です。

ワンルーム的なLDK、キッチンはオーダーで

「ミニマル×マキシマル」。設計した建築士がMさん宅に付けた作品名です。日本語にすれば「最小限と最大限の両立」。本当に必要なものを厳選し、空間をシンプルにまとめて余白を残すことで、生活の幅や可能性は無限に広がるとのコンセプトが込められています。

心地よい余白が暮らしを整える 2面テラスに囲まれたミニマルな家

 施主のご夫妻が暮らすのは、RC造2階建ての家の2階部分。東西に細長い敷地形状に沿ってフロアが広がり、玄関を上がるとダイニングテーブル一体型のアイランドキッチンとリビングが真っすぐに連なっています。

 インテリアとしても映えるキッチンは、「左官仕上げにして色味や質感を細かく調整してもらいました」というMさん自慢のオーダーもの。毎日の食事はもちろん、ダイニングスペースに座って「気ままにくつろぐこともあれば、パソコンを置いて仕事をすることもある。シーンを問わず、いる時間が長い場所になっていますね」。またシンク側の壁際には趣のある木のカップボートが置かれ、反対の壁にはお気に入りの小物やアートをセンスよくレイアウト。お二人にとって心休まる、唯一無二の世界観をつくり上げています。

 居室はLDKの他は寝室のみ。水回りはキッチン近くにまとまっています。無駄のないコンパクトな造りの中にも、寝室に大容量のWICを併設したり、洗面台をキッチン同様に左官仕上げにしたり、随所にこだわりが詰め込まれています。

心地よい余白が暮らしを整える 2面テラスに囲まれたミニマルな家

物理的・意識的なゆとりを生む半屋外のテラス空間

 今回の家づくりに際して依頼先を決めた理由は、「自然の風や光を無理なく上手に生かす設計スタイルに共感したから」。
 新居が建つのは整然とした住宅街。南北には隣家が迫り、どこを向いても外部に開きにくい環境ですが、室内に差し込む明かりや景色を通してほのかに町の雰囲気が感じられ、窓を開ければフレッシュな空気が隅々まで流れていきます。

 Mさん宅にはLDKを挟むようにして、室内の延長として楽しめる二つの半屋外テラスがあります。リビングに面したテラスは正面の壁にぽっかりと開口が設けられ、両サイドも花ブロックで構成されているので風通し抜群。開口の真下には外壁一体型のコンクリートベンチがあり、「腰掛けた時に外からの視線が気にならない高さに調整されています。つくって正解でした」。

 一方でキッチン側にある玄関テラスは、正面の壁全体が花ブロックで覆われています。日射の角度や強さによって床に落ちる影の形が変わり、視覚的なアクセントに。室内にいながら時間や天気の移ろいも感じられます。

 天気がよく爽やかな日は窓を開けてテラスやリビングを行き来することが多いご主人に対し、インドア派を自称する奥さまは、落ち着きのある快適さを見つけた寝室で自分の時間に没頭することもしばしば。お互い思い思いにくつろぎながら、ふとしたタイミングで顔を合わせ、時には肩を並べて談笑する。「心地よい家づくりができました」という感覚は、築後1年半を経てますます強いものになっています。

写真ギャラリー

心地よい余白が暮らしを整える 2面テラスに囲まれたミニマルな家

心地よいプランは敷地環境との素直な対話から

松田まり子建築設計事務所
松田 まり子さん

 建物の内と外を完全に分けて室内の温熱環境だけを評価するのではなく、内と外が緩やかにつながり、徐々に変化していくような空間を整えること。そして外からの熱の侵入を防ぐと同時に、室内にこもった熱や湿気を効率的に逃がすこと。沖縄のような蒸暑地域では、特有の気候風土に合わせたこうした設計手法が大切と考え、Mさん宅でも積極的に採用しました。

 敷地は東側前面道路と西側遊歩道に挟まれた細長い平たん地で、南北の隣家によってかなりの日射は遮られていました。東西両サイドの道路では十分な風量を確認できたため、内外をつなぐ中間領域としてそれぞれの道路面にテラスを配置し、花ブロックを活用して風の流れと採光を確保。室内の明かりを補いたい場所には日射熱対策を施しながらトップライトなどを設け、柔らかな自然光を取り込みました。また設備面では太陽光発電や省エネ機器を導入し、ZEHの認定も取得しています。

 室内のプランは造り込み過ぎず、お二人の生活スタイルに合わせてミニマルに。空間に余白を持たせることで時間やものの価値が引き立ち、かえって暮らしの質が高まると考えています。

設計・施工会社

松田まり子建築設計事務所

TEL:090-8291-5256https://matsudamariko.com/

TEL:090-8291-5256https://matsudamariko.com/

浦添市安波茶1-32-13 大平インタービル101



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