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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

家族の笑顔が集う2階と休息に特化した3階

「予算を考慮しつつ見つけた敷地は約20坪。社長に相談したら『この方向でプランしてみては？』と、私たちの希望以上に仕上げてもらった家です」と話すTさんは、実は屋島組の社員。住宅が建ち並ぶなかの狭小地ながら、家族5人が快適に暮らすための工夫が満載のお住まいです。

　幸い中高層住居専用地域にあってプランニング当初は4階建ても構想に上がりましたが、多角的な視点から考えたのちに3階建てへと着地しました。

「設計を担当してくれた外間由高さんから、フロアごとに住まいの機能を分配したプランを提案されました」と、Tさんが屋内を案内してくれました。
　1階はガレージと倉庫、玄関、シューズクローゼットを配置。階段を上っていく途中、頭の上の階段裏側まで木製であることに驚きます。これは、熟練した職人さんの手による造作階段。コンクリート打放しの壁に木製のぬくもりが映えます。

　ひと連なりに開けた2階はバルコニーからの優しい光で明るく、実寸以上の広さを感じさせます。
「リビングセットは置かず、ソファ調のベンチとチェアを組み合わせたダイニングセットを選んで、くつろぎを感じさせるＬＤを心がけました」と奥さま。家具を工夫して空間を広々と使う好例です。

　キッチンは空間を広く使える壁つけ式をセレクト、レンジフードの存在感も抑えました。作業台と収納を兼ねたカウンター背面に床材を貼って、全体の統一感を演出しています。
　3階には主寝室と、こどもたちの寝室。将来、子どもたちが独立した後のアレンジにも対応できるよう、フリースペースと個室を用意しました。

太陽光発電システムを導入し、省エネと快適さを両立

　Ｔさんの住まいには太陽光発電システムが設置されています。
「まだ導入したばかりで正確な数値は示せませんが、賃貸住宅で支払っていた電気料金2万円がマイホームでほぼ同額、ガス料金は2万円が4千円へ、水道料金8千円が5千円へと減少しています。太陽光発電システムが稼働後はさらにコストダウンできますし、売電にも期待しています」と説明するＴさん。
　奥さまは「深夜電力の時間帯に家事を済ませようとテキパキ動くようになりました」と笑顔になります。その分、時間にゆとりができ家族との時間が増えそうです。

「リビングに家族が集まるマイホーム」を希望していたＴさん一家。「新居では子どものクラブ活動の保護者がわが家に集まったり、子どもの友だちが泊まりに来たりと、暮らしの幅が広がりました」とうれしそう。家族の新たな日々がここで紡がれます。

目的を分けた空間構成で豊かな居住性を

左：外間由高さん（設計・企画）、右：金城玲生さん（建築部）

　約20坪の敷地に延床面積約35坪の3階建てを。高さのある外観はホワイトとブラウンの２色で陰影が生まれるよう塗り分け、落ち着きあるファサードを演出しています。「限られた面積を有効に活かし、フロアごとの役割を明確に分けた“水平方向につながる家”を提案しました」と話す外間由高さん。２階は家族やゲストが集うＬＤＫをメインに水回り設備をプラスしたパブリックフロア、３階は寝室に特化した３部屋とトイレを設置したプライベートフロアです。

　室内はコンクリートのクールな表情と天然木が醸し出すあたたかみをスマートに融合させたシンプルモダンな住まい。木造の造作階段について金城玲生さんは「図面で寸法をきっちり割り出し、大工さんと調整しながら進めた」と、当時を振り返ります。

　３階の子ども部屋はオープンスペースと個室を組み合わせて世帯人数や生活スタイルが変化しても柔軟にアレンジできるよう計画しています。また厳しい日差しの遮へいに配慮して、２階テラスの庇（ひさし）を限界まで伸ばしました。

　建物の高さ制限があるため、３階は床下を設けず床材を直貼りして室内空間をできるだけ広く確保、その結果２階天井に出てしまう排水管を梁型で目隠しして飾り天井のように仕上げるなど、豊かな居住性とスタイリッシュさを両立させています。