気積を大きく、素材にこだわり。 眼福を極めた職住一体型の家
- DATA
- 所在地:那覇市
- 家族構成:夫婦
- 設計:株式会社屋島組一級建築士事務所(担当/田場翔)
- 敷地面積:231.59㎡(約70.05坪)
- 建築面積:135.37㎡(約40.94坪)
- 延床面積:490.61㎡(約148.40坪)
- 用途地域:第2種住居地域
- 構造:鉄筋コンクリート造4階建て
- 完成時期:2018年3月
- 建築:株式会社屋島組(担当/與那嶺)
- 電気:克電気工事株式会社(担当/前田)
- 水道:有限会社サンユウ設備(担当/西平)
- キッチン:パナソニックリビング九州(担当/高良)
大通りに面した約70坪の敷地に職住一体型の4階建てのビルを建て、3階を住居スペースに充てたNさんご夫妻。ボリュームの大きな空間に本物志向のインテリアをコーディネートして、贅沢感のある住まいに仕上げました。
空間が持つ贅沢感・ボリューム感は
建築でしかつくれない
限られた敷地を目いっぱい使い、一つ一つのフロアも天井を高く。商業地近くの大通り沿いに建つNさん宅は、2階にご夫妻が営むオフィス、3階に住居が入った4階建ての建物ですが、周囲に林立する背の高いビルやアパートと比べると、5階建てに匹敵する高さがあります。
「内装は住んだ後でも自由につくり替えられるけど、空間の持つ贅沢感やボリューム感は建築でしかつくれない。家づくりではあとから変えられるものと変えられないものがありますからね」とご主人。子どもたちが独立した後の夫婦2人の新居とはいえ、一戸建ての実家を改装して暮らしていた今までと比べて、「手狭さを感じないように。孫たちが来たときにのびのびと遊べるように」との思いもありました。
元々所有していた土地の広さは現在の半分。「隣地を買い足して、職住一体型の新居を建てる」という構想自体は以前からありました。しばらく難航・膠着が続き、やむなく「オフィスだけでも」と考え始めた矢先に残り半分の土地の購入が決まり、「それでも合わせて70坪。住居としても仕事場としても十分快適で開放感ある環境を用意するには、平面だけではなく上方向にも空間を有効活用するしかない」。設計は長年信頼を置く建築会社に依頼しました。
4つのフロアのうち、1階は必然的に駐車場に。2・3階は完全に分離して、玄関の向きも「2階は来客のアクセスを最優先。3階は風水を意識して」とそれぞれ切り分けました。3階と内階段でつながった最上階の4階は、「バレエを習っている孫たちが、大勢の友だちを連れて一緒に練習できるように」とホール的な空間に。さらに大通り側とは反対の南面には、大人も子どももゆったりくつろげる広々としたベランダを設けました。
インテリアは「本物志向」。
大好きなものに囲まれた至福の毎日
3階のNさんの住居は、居室の数だけをカウントすれば、食事・団らんの場とベッドルームから成る1LDK。もちろんそれぞれに十分な広さがあり、例えばLDKはフロアの約半分を占めるほど。キッチンは吊り戸棚がなく手元もオープンな対面式で、リビングの折上天井や南面に並んだ大開口と相まって、室内全体の開放感を引き立てています。水回りや収納も贅沢にスペースが取られており、ウォークインクローゼット(WIC)やシューズクロークなどは一見、一つの居室と見違える広さ。他にも階段下の空間を書斎にしたり、トイレに専用の空調を設けたり、細部にもこだわりを詰め込みました。
こだわりといえば、室内を彩るインテリアは「本物志向」でセレクトしたものばかり。県外海外メーカーのショールームにも頻繁に足を運び、歴史・伝統のあるブランド、デザイン性・機能性が高く評価されているものを中心にコーディネート。床材やタイルはご主人が、キッチンをはじめその他のスペースは奥さまが、といった具合に夫婦で役割分担し、お2人好みの住まいに仕上げていきました。
「面積だけの比較なら、以前まで住んでいた主人の実家をはじめ、今以上に広い家にも住んできたけれど、一から自分たちの手で家づくりをするのは初めての経験。おかげで大好きなものばかりに囲まれて、快適に暮らせています」と奥さま。WIC内部の棚やハンガーパイプ、家族の思い出の写真を飾るキャビネットなど、既製品ではカバーしきれない家具は造作しました。
ボリューム感や贅沢感に加えて、家の四方全体に大きな窓があることもNさん宅の特徴の一つ。これは採光・通風の確保という機能面もさることながら、「どの部屋からでも月が見えるようにしたかったんです」。
大通りを望むジャグジー付きの浴室しかり、4階ベランダしかり、家中が月見の特等席。キッチンからもリビングのハイサイドライト越しに、夜空にぽっかり浮かぶ月を眺められるそうです。