「カッコイイ」をコンセプトにした ロック感のある、こだわり住宅
- DATA
- 設 計: 株式会社スタイルホープ
(担当/山口純希) - 敷地面積: 179.76㎡(約54.47坪)
- 建築面積: 95.42㎡(約28.91坪)
- 延床面積: 87.71㎡(約26.57坪)
- 用途地域: 第一種中高層住居専用地域
- 構 造: 在来軸組工法
- 完成時期: 2022年9月
- 施 工: 株式会社スタイルホープ
(担当/山口純希) - 電 気: 株式会社セイリング
(担当/坂口順人) - 水 道: 株式会社純設備
(担当/豊里純也) - キッチン: TOTO株式会社
(担当/嘉数務)
金属サイディングで躯体を包んだモスグリーンの住まい。
住む人の個性が意匠や設備から伝わる仕上がりです。
週刊かふう2023年2月3日号に掲載された内容です。
写真提供/スタイルホープ
こだわりの防音室を木造住宅で実現
夜中のサトウキビ畑に響くドラムの力強い音。趣味でパンクバンドのドラマーとして活動するTさんは「大きな音でまわりの方に迷惑をかけないよう、車にドラムセットを積み込んで人影のない夜の畑まで遠出して、練習していました」と、以前の様子を振り返ります。
「それで自分の家に防音室を造って、思い切り自由に練習することが夢でした」
防音室のあるマイホームを建てるにはどうしたらよいのだろう? その疑問は福岡県にある防音施工専門会社へつながり、そして沖縄県内でその技術がある株式会社スタイルホープを紹介されました。
防音というとコンクリート造の建物を想像しがちですが、スタイルホープは木造住宅を専門とする会社です。音楽スタジオで採用されている重厚な2重ドア、吸音性や遮音性に優れた建材を用いて壁や天井を3重に仕上げる施工技術を駆使することにより、木造住宅でも十分に防音できる部屋を設けることが可能との説明を受け、念願の「マイスタジオのあるわが家」に向けた道筋が見えてきました。
それから月日が経ち、今回の取材で訪れた新居への引っ越し当日。マイスタジオの防音レベルを試聴しようと2重ドアの前に立って耳を澄ませると、くぐもったドラムの音がわずかに聞こえる程度まで軽減されています。一般的な生活音よりも小さな、ほとんど気にならない音です。
「私のわがままをかなえてくれた妻には感謝いっぱいで、頭が上がりません」と話すTさん。その横で笑顔になる奥さま。
しかしTさんのこだわりは防音室にとどまらず、スタジオ横に二つ並んだトイレにも現れています。
「私はトイレタイムを誰にも邪魔されたくないんです。それで私専用のトイレを作ってもらいました」
奥の壁はツヤなしの深い黒で立体感を引き立て、ロートアイアン系のペーパーホルダーにも質感が異なるブラックを選択し、クールな印象で仕上げています。
NOカッコイイ, NOマイホーム
「プランニングの段階でスタイルホープの山口純希さんと相談を重ねていくうち、互いの“カッコイイ”と感じるポイントがシンクロしていくのを感じられました」とTさん。
例えば外壁に金属サイディングを提案されて、その構造的な強さはもちろんクールな質感もすぐに気に入りました。色はTさんが好きなモスグリーンを選び、その色と相性の良いブラックで引き締めることにしました。駐車場側に設置する水栓は躯体の意匠にマッチするよう少しレトロ感のある、ブルックリンスタイルのデザインを採用。
「山口さんが建材やいろいろなアイテムを見せてくれるときに『これ、カッコ良くないですか?』と言って提案してくるんです。こちらも『いいですね!』と応えて」と回想するTさん。
奥さまも“カワイイ”よりは“カッコイイ”がお好みとのこと。
「子ども部屋はシンプルに仕上げて、成長する過程に合わせて子どもの好きなようにアレンジして行ってほしいと考えています。個性を大切にしたいですね」
家事動線が機能的なキッチンの奥には、棚板の高さを調整できるパントリーや床下収納を設けました。
「ミシンを使って自作アイテムを創るのが趣味なので、このスペースはいろいろと工夫を加えていく予定です」とクリエーティブな一面が顔をのぞかせます。
毎日の暮らしを考えて、室内物干し場も必須とオーダーを入れました。
「以前住んでいたアパートでは、雨になると私が洗濯物を取り入れに帰ったりしていました」と笑いながら話すTさん。
リビングにある柱を挟まない4枚引きの開口部を全開できるよう希望したのは奥さま。「子どもをのびのび育てたくて、リビングからテラスへの開放感を持たせたいと思いました」
テラスが向いている隣家は、Tさんの家と同時にスタイルホープに建築を依頼した実兄とご両親が暮らしており、ファミリーで楽しめる場になりそうです。
ワクワクと心はずむビートを刻む新しい暮らしが、Tさんの住まいで始まりました。
写真ギャラリー
スタジオ級の防音室や居住性に優れた住まいを
施主との共感から創造する独創的なプラン
株式会社 スタイルホープ 代表取締役:山口純希さん(二級建築施工管理技士)
株式会社スタイルホープは沖縄県内で木造住宅のプランニングから設計・施工、メンテナンス、リフォームやリノベーションまで一貫した流れで、案件やクライアントと丁寧に関わることをコンセプトに掲げる建設会社です。
代表を務める山口純希さんは、県外で建材を供給・施工する企業に従事していた経歴があり、その豊かな知見を生かした提案を得意としています。
「すべての過程に私が携わることでクライアントや施工者との間に認識のズレが生じないため、その結果としてご満足いただける住まいを提供できると考えています」
今回紹介するTさんの住まいは、福岡にある防音設備専門の施工会社と一部連携して、趣味部屋としての防音室を木造住宅でかなえたユニークなプランです。スタイルホープが展開する自由設計の注文住宅ブランド「沖縄スタイルハウス」をセレクトし、パンクバンドでドラムを担当するTさんと“カッコイイ”を共通キーワードとして、プランニングがスタートしたといいます。
「道路に臨む敷地の前面は駐車スペースに割り当て、遮音性や吸音性に優れた建材を用いる防音設備を壁や床に3重に施工した防音室も道路側へ配置しました。居住スペースはLDKから続くテラスをTさんのお兄さまとご両親が暮らす隣家方向に設け、玄関アプローチの袖壁が道路からの視線を遮る、内々に開けた空間構成を練りました」と山口さん。
南欧のプロヴァンス風に仕上げた隣家も山口さんがプランから設計・施工まで手がけており「テイストの異なる2件を同時進行で任せていただき、とても楽しく臨んだ案件でした」と振り返ります。
Tさんのリビングの隣には2室に仕切ることも可能な子ども室を配し、リビングを中心とした家族の絆を育むレイアウト計画を図っています。
「外壁と片流れ屋根には耐久性に優れた金属サイディングを選択し、スタイリッシュな印象を演出しました。Tさん好みの落ち着きあるモスグリーンとブラックを配色し、一般的には塗装しない基礎部分にもグレーを塗装して全体の意匠性を高めています」
収納スペースは、LDとキッチンの間の壁収納、キッチン奥のパントリー、パントリーの床下収納、ウォークインクローゼットにも活用できるゲストルームなど多彩に用意し、整った住まいづくりをサポート。
「幅広い材料から厳選した安全で快適な住まいをご提供します」と抱負を語ってくれました。
設計・施工会社
株式会社 スタイルホープ
TEL:090-6864-8129 | https://stylehope.jp