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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

木と人と技術が呼応する 快適さに満ちた住空間

木と人と技術が呼応する 快適さに満ちた住空間

DATA
所在地:浦添市
家族構成:1階/親世帯、2階/夫婦、子ども2人
設計:一級建築士事務所HARMOdesign
(担当/岸田匡史)
敷地面積:595.89㎡(約180.20坪)
建築面積:122.66㎡(約37.10坪)
延床面積:200.39㎡(約61.60坪)
構造:木造軸組工法2階建て
用途地域:第一種中高層住居専用地域
完成時期:2018年8月
建築:HARMOdesign(担当/岸田匡史)
電気:優でんき(担当/大湾優)
水道:巧設(担当/大庭保)
キッチン:LIXIL(担当/山内浩司)

木の家の魅力に引かれて、木造2階建て・完全分離型の2世帯住宅を建てたAさんご夫妻。大きな特徴は、外気温の影響を受けにくく、快適な室内環境を保つ省エネ性の高さ。整理収納アドバイザーチーム「沖縄片付けLabo」のメンバーとして活動する奥さまと、建築士がコラボしてまとめ上げた動線・収納プランもポイントです。

木と人と技術が呼応する 快適さに満ちた住空間

高気密・高断熱の木造住宅を建てる

 家を建てるなら木造がいい。子ども時分、祖父母が暮らす昔ながらの赤瓦家屋で経験した心地よさ、真夏でもさほど暑さが気にならなかった快適さが、今でも強く記憶に残っているから。
 5年ほど前、ご主人の実家を移転・新築する話が持ち上がったのを機に、「せっかくだから」と2世帯住宅の計画に着手したAさんファミリー。奥さまが抱く祖父母宅への愛着から、木造を中心に情報収集と検討を重ね、「家づくりに対する姿勢に最も共感した」という設計事務所に依頼を決めました。
「ただ木の家をつくるというだけではなく、Low‐E複層ガラスを標準仕様にするなど、高気密・高断熱で省エネ性の高い住宅の設計に力を入れている点が魅力でした。以前まで住んでいたアパートは構造的に熱がこもりやすく、特に夏の間は暑さ対策のために多大な労力を割かねばならなかったので」と奥さま。沖縄の木造に付いてまわる台風やシロアリの懸念については、「現代の技術を持ってすれば問題ない」ことを最初に確認し、ご主人も親世帯も納得済み。建築士の柔軟な対応ぶりにも好感を覚え、「私たちの細かな意向までくんで、プランに反映してくれた」と振り返ります。
 新居は1階が親世帯、2階にAさんご夫妻と2人の子どもが暮らす完全分離型の2世帯住宅です。平面形状はほぼ真南を正面に据えた建坪約37坪のきれいな長方形で、1階親世帯は沖縄の伝統的な風水に倣い、各居室・スペースをレイアウト。一方で2階子世帯は1階と水回りの位置だけはそろえつつ、「自営業をしている主人が集中して仕事に取り組めるように」、「あらゆる家事を効率的にこなせるように」、「自然と家族の団らんが育まれるように」といった要望を軸に、Aさんの生活スタイルに合わせて自由にプランニングしていきました。

木と人と技術が呼応する 快適さに満ちた住空間

「整理収納」の知識を随所に発揮

 まずは玄関から階段を上ってすぐの場所にあるのが、ご主人のオフィスルーム(書斎)。階段ホールを挟んで職住のスペースは完全に切り分けられており、来客時も家族に気遣うことなく打ち合わせなどに集中できます。
 そして生活スペースにつながる一枚の戸を開けると、24畳もの広さがあるLDKが現れます。室内にそびえる2本の柱は「構造上、これだけの大空間を確保するには露出させざるを得なかった」ものですが、Aさんはそれを逆手に取り、濃茶の木目調に塗装して「木の家らしさ」を演出するシンボルに。またリビングと隣接する子ども室は「最低限、寝られるだけの広さ」に抑えるとともに、LDの一角にはスタディースペースを造作し、家族が必然的に顔を合わせる生活環境を創出しています。

木と人と技術が呼応する 快適さに満ちた住空間

 主寝室とバスルームの間に一列に並んだサニタリースペースは、家事効率アップのキーポイント。洗面化粧台や室内干し用のポールをはじめ、収納棚、作業台などが適所に配置されており、脱ぐ・洗う・干す・畳む・片付けるという一連の作業が一カ所で完結します。さらに各所の収納計画は、整理収納アドバイザーチーム「沖縄片付けLabo」のメンバーとして活動する奥さま発案によるもので、「よく使う場所の近くに指定席をつくるのが鉄則」。例えば趣味のキャンプ道具の保管場所として、玄関脇には階段下の空間を生かし、シューズクロークとは別に大容量の荷物置き場を設けています。
 入居して一年余り。思い描いていた通りの「夏涼しくて冬暖かい」木の家特有の心地よさと、現代の建築技術による住みやすさ、そこにAさん自身のアイデアを反映した使いやすさが加わり、「思い描いていた以上の快適さに、わが家を自慢したくなる」暮らしが今でも継続しています。


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