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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

ホテルライクな在宅勤務、理想を実現した移住ライフ

ホテルライクな在宅勤務、理想を実現した移住ライフ

DATA
設  計: 株式会社 新洋
     (担当/上原佑一)
敷地面積: 472.19㎡(約142.83坪)
建築面積: 112.62㎡(約34.06坪)
延床面積: 102.27㎡(約30.93坪)
用途地域: 未指定
構  造: 木造軸組工法
完成時期: 2023年7月
建  築: 株式会社 新洋
     (担当/金城純)
電  気: 株式会社 メガテック
     (担当/當山秀和)
水  道: 泉水設備 株式会社
     (担当/上原義貴)
キッチン: クリナップ 株式会社
     (担当/梅崎哲郎)

コロナ禍をきっかけに沖縄へ移住して、在宅勤務をかなえたSさん夫妻。
大好きな海の近くでリゾートライクな日常を満喫しています。

週刊かふう2025年1月10日号に掲載された内容です。

ホテルライクな在宅勤務、理想を実現した移住ライフ

海の近くの在宅勤務をホテルライクにかなえる

 沖縄に身内が住んでいることもあり、しばしば来沖してマリンスポーツを楽しんでいたSさん夫妻。コロナ禍を機に沖縄の賃貸住宅でリモートワークを試みたところ、支障なく仕事ができたことから「これならマイホームを沖縄に建てても大丈夫」と家づくりをスタートしました。

 サーフボードに立って櫂(かい)を漕ぎながら進むSUP(スタンド・アップ・パドル)を趣味に持つSさんは「海の近くに住みたいと思っていました」とプランニング当初を回想します。
 海から車で数分の場所に、朝日が昇る東側に開けた傾斜地が見つかり、建築会社を探すことに。夫妻の希望は平屋の木造住宅、個室の広さは抑えつつLDや洗面所、家事室は広く割り当て、キッチンは完全な独立型。IT関連の仕事に携わる夫妻の仕事部屋と、来客用のゲストルームを用意することなどでした。
「3〜4社の完成見学会を訪ねましたが、新洋さんの設計の感性に共感することが多く、一緒に考えながら家づくりを進められると思いました」とSさんは振り返ります。

ホテルライクな在宅勤務、理想を実現した移住ライフ

LDとデッキテラスで心ほぐれる日常へ

 玄関の上がり框(かまち)に仕込んだ間接照明、LDのアーチ状に仕上げた入り口など、リゾート感あふれるインテリアにワクワクしながら足を進めると、鮮やかな緑の眺望が広がるデッキテラス、リビング奥のアクセントウォールとして琉球石灰岩を貼った壁面、一部を下がり天井に仕上げて空間にワイドな印象を与える壁際など、上質さと開放感で満たされたシーンが広がります。また住まい全体のフロアが〝浮造り(うづくり)〟に仕上げられ、足裏に優しい感触が伝わってきます。
「漆喰調の白壁とダーブラウンを基調とした木部の配色は、バリ島の落ち着きあるリゾートホテルを参考にしました」と奥さま。特に照明については、3D画像でイメージを設計士に伝えるほどこだわって仕上げてもらいました。
「テラスで朝食を取ったり、仕事の合間に座っていると心地よい風や景色に癒やされて、リフレッシュできます」と、忙しい日々もリゾートへ変える贅沢なライフスタイルを満喫しています。

ホテルライクな在宅勤務、理想を実現した移住ライフ

オープンラックの収納で模様替えの自由度アップ

「レイアウトを変えるのが好きで、入居から1年半ですが、すでに4回も模様替えしています」と笑顔を見せるSさん。
 各個室や家事室はレイアウトの自由度を高めるために、扉で閉じる収納部はなく、造作のオープンラックやハンギングバーなどを活用しています。シューズクロークを兼ねた納戸にはOSBボード合板を使ってマリンスポーツやキャンプ用品、庭の手入れ用具などを収める棚を手作りしました。非常用発電機も納戸に常備しています。

 要となるキッチンは完全な独立型を選択しました。
「調理中や食材の匂いがLDへ流れると生活感が出るため、別空間にしています」と奥さま。ゴミ箱の位置には専用の換気扇を設置するほどの徹底ぶりです。
 カウンターは高めにして下部を収納スペースとし、屈(かが)まなくてよい家事ラクをかなえました。

どこでも仕事ができる通信環境を整えて

 本社が首都圏にある企業にお勤めの夫妻は、マイホームのどこにいても仕事ができるようWi−Fi環境を整えています。
 ゲストルームが2室あるので「本社から同僚が泊まりに来て、こちらで仕事をすることもあるんです」とSさん。お子さんが生まれたら子ども部屋へと転用できるシンプルな造りにしてもらいました。その1室に飾られた絵は、Sさんが10歳ごろに描いたカラフルな魚の絵です。
「父が額装してくれて、引っ越してもずっと持っています」とうれしそう。家族や同僚たちとのあたたかな交流が紡がれるSさん夫妻の住まいです。

写真ギャラリー

ホテルライクな在宅勤務、理想を実現した移住ライフ

「こだわり」からデザインを導き、暮らし心地をランクアップさせる

株式会社 新洋/上原佑一さん(二級建築士)

 株式会社新洋は自社で手がける設計・建築にとどまらず、他の企業へ建材や資材を供給する総合建築会社です。鉄筋コンクリート造と木造のどちらの構造にも対応しており、クライアントが希望するマイホームに適した構造や工法、設計・意匠などのプランニングを提案し、建築までトータルにサポートしています。

 Sさんの敷地は事前に行った現地調査で、かなりの高低差があるとわかりましたので、敷地の利用価値を高めるために外構擁壁を計画し、Sさんのご要望である木造平屋を建築することができました。

 間取りへのご希望で特徴的だったのは、キッチンを独立した空間として仕上げることでした。現在はリビングと空間をひと連なりにする対面式キッチンが主流ですが、リゾートをイメージしたホテルライクな住まいのためには、生活空間がすべて見えてしまうよりも、今回のように廊下を隔てて仕切りのある独立タイプの方が、より理想に沿うと考えました。

 そのほかにホテルライクを演出したポイントとしては、広い洗面所に設置したワイドなミラーやグレードを上げた化粧台などを採用することにより、いわゆる生活感を払拭しています。通常より広めの1.25坪のバスルームを採用したこともホテルライク感をアップしています。
 スタイリッシュな印象を演出できる間接照明を随所に取り入れたこともリゾート感を盛り上げています。玄関の上がり框(かまち)や、リビング壁際から廊下にかけて続く下がり天井、洗面所のミラーが、それに当たります。またアーチ状になったリビング入り口に床と同じダークブラウン色の木材で仕上げた施工も、ワンランク上の印象をもたらします。

 Sさんのお住まいの一番のアピールポイントは、セカンドリビングとしてお使いいただけるデッキテラスです。屋根があるので日差しや小雨などを遮って、半戸外の爽快感を楽しんでいただけます。こちらの開口部は幅2m70cm。フィックスタイプのピクチャーウインドーとするご意見もありましたが、ここはぜひ開閉できるワイドな掃き出し窓で風を楽しんでいただきたいとご提案し、完成後にご満足の声をいただいています。

 私が設計に取り組むときのベースは「おうちに帰ってくることを楽しんでほしい」という気持ちです。Sさんのお住まいではラグジュアリーなリゾートの高揚感を一部に取り入れつつ、暮らしの場としてみたときの生活機能はしっかりと備えた設計をご提案しました。

設計・施工会社

浦添市西原5-7-1

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