納得! 目からうろこの土地評価 File.2 土地の相場を知る・その2
不動産の新たな視点や再確認という観点から不動産市況のポイントを再発見!今回も土地価格を把握できる指標をご紹介したいと思います。
週刊かふう2024年3月8日号に掲載された内容です。
時点も地価指標の重要なポイント
前回は地価公示という国土交通省が発表する指標をご紹介いたしました。例年ですと3月下旬に発表されますので、時期としてはそろそろ、といったところですね。今回ご紹介するのは沖縄県が発表する地価調査というものです。仕組みとしては国土交通省が発表する地価公示と同じではあるのですが、評価するタイミングが異なります。
不動産を判定する日(基準日)をわれわれ不動産鑑定士は「価格時点」と呼びますが、不動産の価格というのはその時期によって異なります。極端なことをいえば、平成2年のバブルの頃と今では同じ土地でも価格がまったく異なるのは読者の皆さまも実感できると思います。この価格時点ですが、国土交通省の地価公示では毎年1月1日、沖縄県の地価調査は毎年7月1日と異なるのです。半年の差があるということですね。
この地価調査は全国の都道府県で実施されており、各地域の不動産鑑定士が評価を実施し、例年9月くらいに各都道府県において発表されています。
広範囲の調査と公示
地価公示と地価調査では調査する範囲も異なります。地価公示では原則として都市計画区域内の土地を抽出して評価するので、山原地域や小さい離島などでは評価の対象地点がありません。一方で地価調査は沖縄県全域を調査対象としますので、国頭村や久米島、南大東島や粟国島なども調査の対象となり、評価の対象地点が広範囲に存在します。
従いまして、地価調査のほうが地価公示よりも調査範囲が広いことから移動距離が長いことが多く、また関連するデータ、例えば取引事例などの調査も併せて行う必要があるので、不動産鑑定士としては少々大変です。
都道府県地価調査(沖縄県)
前置きが長くなりましたが、地価調査をご紹介しましょう。
前述のとおり年に1回、7月1日を基準日として沖縄県が発表している土地価格の指標なのですが、沖縄県庁の言葉を借りますと次のようになります。
『地価調査は国土利用計画法施行令第9条の規定に基づき、都道府県知事が毎年7月1日時点における県内の基準地の標準価格(または地価)を調査し、その結果を公表するものです。この標準価格は国が行う地価公示(価格判定基準日1月1日)とあわせて一般の取引価格の指標となるものです。』
令和5年の地価調査では284地点が評価対象となりました。この対象となる地点を不動産鑑定士があらゆるデータを使って評価し、沖縄県が発表していることになります。
この地価調査制度の概要や標準価格は沖縄県庁のホームページで見ることが可能です。鑑定評価書も見ることが可能です。沖縄県地価調査でネット検索してみてください。すぐに見つかると思います。
この地価調査の結果については毎年9月下旬くらいに発表されます。
ちなみにこの沖縄県地価調査において1番地価が高いところは「那覇(県)5-1」という地点で松山にあります。令和5年地価調査では㎡あたり127万円でプラス4.1%でした。一番安いところは「渡名喜(県)―2」で村西という地域に設定しています。ここは㎡あたり1470円で変動はなく横ばいでした。一番上昇したところは「恩納(県)―1で真栄田」にある地点なのですがなんとここは1年間でプラス28.9%という上昇率でした。逆に一番下落してしまったところは「久米島(県)―4」で仲泊という地域に設定している地点でマイナス4.0%でした。一昨年がマイナス3.1%でしたから下落幅は拡大していますね。
さて、次回も土地価格を把握できる指標をご紹介していこうとおもいます。