納得! 目からうろこの土地評価 File.3 土地の相場を知る・その3
不動産の新たな視点や再確認という観点から不動産市況のポイントを見直してみましょう。
今回も土地価格を把握できる指標をご紹介したいと思います
週刊かふう2024年4月5日号に掲載された内容です。
税金の指標となる相続税路線価
前々回は地価公示という国土交通省が発表する指標を、前回は地価調査という沖縄県が発表する指標をご紹介いたしました。
今回ご紹介するのは、国税庁が発表する相続税路線価です。
これは国税局が相続税や贈与税を算定するための指標で、道路ごとに価格が付設されています。毎年1月1日時点を基準として価格が付設されており、これを基に土地1㎡あたりの評価額を割り出しています。地価公示や地価調査との違いは、地価公示や地価調査がある定められた地点を評価して公示しているのに対し、路線価はほとんどの道路に付設されている点です。私道や通路など付設されていない場合もあるのですが、公道であればほぼ付設されています。
ここで気を付けなければいけないのは、路線価は地価公示価格等を基にした価格の80%程度をめどとして表記されている点です。そのため、国税庁が考える時価を算出するためには0.8で割り戻すという作業が必要です。実際の取引ではこの国税局が考える時価よりも高かったり、安かったりと必ずしも取引価格と一致するわけではないのですが、土地価格を求める場合の参考になると思います。
付設のない土地は⁉
路線価は全国の民有地の宅地、田、畑、山林などを対象として定められており、例年7月に発表されています。ただし、すべての地域に付設されているわけではなく、離島や北部の一部の地域などでは路線価が付設されていません。そのときは評価倍率表を使って算定することになります。
この路線価が付設されていない場合の評価額を求めるためには、評価倍率表に記載されている倍率を固定資産税評価額に乗じて相続税等の評価額を算定することになりますので、固定資産税評価額がわからないと算定できないことになります。
相続税路線価の県内最高額は那覇市久茂地3丁目国際通りの1㎡あたり1,450,000円で、評価額は0.8で割戻した1,812,500円になる
那覇市久茂地3丁目の「路線価図」(国税庁/https//www.rosenka.nta.go.jp/)
多くの地域を網羅する固定資産税路線価
今回はもう一つご紹介しましょう。次は市町村が発表する固定資産税路線価です。
不動産を所有すると毎年固定資産税を納税する必要があると思いますが、その納税額を算定するための指標です。市町村が土地を評価するために、標準宅地の時価を参考として各道路に付設している価格です。これも相続税路線価同様、各道路に付設されており、土地価格を求める場合の参考となります。標準宅地の価格は、原則として3年に1回見直されており、毎年評価を行っている地価公示や地価調査、相続税路線価とは異なりますが、多くの地域を網羅しているので、指標となると思います。
しかし、これも市町村によっては標準宅地しか表記されておらず、道路部分に付設されていない場合もあります。
もうひとつ注意点があります。この固定資産税路線価は地価公示等の7割をめどとして表記されていますので、市町村が考える時価を求めるためには0.7で割り戻す必要があります。あくまでも市町村が考える時価ですので、相続税路線価と同様、取引においては必ずしも取引価格と一致するわけではなく、この市町村が考える時価と比較して高い場合もありますし、低い場合もあります。
さて、次回は高く売れる土地と安くなってしまう土地、売れない土地の違いをご紹介したいと思います。