納得! 目からうろこの土地評価 File.22 コロナ禍で最も下落した住宅地

新たな視点で不動産市況や注目ポイントを考察する本コラム。前回のコロナ禍で地価が上昇した地域に続き、今回は下落率が一番大きかった住宅地はどこだったかを見ていきたいと思います。
週刊かふう2025年11月7日号に掲載された内容です。
コロナ禍で変わった沖縄の地価動向
令和3年地価公示における地価下落率トップ4は【表】のとおりです(カッコ内は令和2年地価公示における変動率を示しています)。
ランキングの5位は±0%で横ばいでしたが、同様に地価が横ばいとなった地点は50か所以上にのぼり、那覇市、宜野湾市、石垣市、浦添市、名護市、糸満市、沖縄市、豊見城市、うるま市、宮古島市、南城市、本部町、北中城村など、県内各地に広く分布しています。
いずれもこれまで地価上昇が顕著だった地域ですが、コロナ禍の影響により地価の変動が見られなかった地点が続出しました。逆に言えば、全国的に地価が下落する中でも、沖縄では下落しない地点が多かったということです。
一方、全国で下落率が大きかったのは、熊本県人吉市(人吉―2)のマイナス14・6%や福島県いわき市(いわき―19)のマイナス10・5%などが挙げられます。

リーマンショックでも地価の下落がなかった新都心だったが・・・・・・
新都心でも下落!
そして、沖縄県で最も下落したのは那覇市おもろまちの住宅地(那覇―19)でした。下落率はわずか0・8%でありますが、新都心地区に所在する土地の地価が「下落した!」という事実は、長年沖縄の不動産動向を見てきた中でもかなりの衝撃でした。新都心地区はリーマンショックなどでも下落しなかったのですから。
この那覇―19の公示地価は令和2年が㎡あたり38万5000円でした。令和3年では38万2000円となり、㎡あたり3000円の下落ではありましたが、沖縄の住宅地で一番下落した地域となりました。那覇―19という地点はマンション用地として評価されている公示地点で、面積が1362㎡と大きく、一般の戸建住宅地とは需要者が異なるのですが、それでも新都心地区にある土地の地価が下落したのは印象深い結果でした。
なお、令和7年(2025年)3月に発表された最新の地価公示では、那覇―19は1㎡あたり43万3000円となり、前年から5・1%の上昇で推移し、現在は再び上昇基調に転じています。
次回は商業地を取り上げます。住宅地以上に、地価の上昇と下落がはっきり分かれた商業地。まずは、どのような地域で上昇が見られたのかを見ていきましょう。

令和3年地価公示で下落率1位になった那覇―19(標準地)

