稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.17 「相続直前の不動産購入」に新たな評価ルール

「不動産を買えば相続税が下がる」とは限らなくなります。令和9年以降に始まる新たな評価ルールにより、取得後5年以内の貸付用不動産は従来と異なる評価となる可能性があります。今後の相続対策で押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。
週刊かふう2026年9月11日号に掲載された内容です。
不動産による相続対策
取得後5年以内は要注意
相続対策として、現金を不動産に組み替える方法はこれまで広く活用されてきました。特に賃貸アパートや賃貸マンション、軍用地などの貸付用不動産は、相続税評価額が購入価格より低くなるケースがあり、相続税対策として検討されることも少なくありません。
しかし、こうした対策について、令和9年(2027年)1月1日以後に発生する相続・贈与から新たなルールが導入される予定です。
ただし、今回の改正は不動産を活用した相続対策そのものを否定するものではありません。見直されるのは、「相続の直前に不動産を購入すれば大きな評価減が得られる」という考え方です。対象となるのは、被相続人や贈与者が課税時期前5年以内に対価を支払って取得または新築した一定の貸付用不動産です。
懸念されるケース
78歳のAさんは、預金を多く保有しており、将来の相続税を心配していました。
ある日、不動産会社から「賃貸不動産は家賃収入が期待できるうえ、購入価格より相続税評価額が低くなることが多い」と説明を受けます。
そこでAさんは、相続対策の一環として賃貸不動産を購入しました。従来の評価方法では、この賃貸不動産の相続税評価額は購入価格を下回る可能性があり、その差額分だけ相続税の対象財産を圧縮できるケースがありました。
Aさんは、「預金をそのまま保有するより、賃貸不動産に組み替えた方が相続税対策になる」と考え、安心していました。
ところが購入から3年後、Aさんに相続が発生した場合、新ルールでは、取得後5年以内の一定の貸付用不動産については、従来の相続税評価額ではなく、実際の取引価格に近い金額を基に評価することになります。
その結果、Aさんが期待していた評価減効果が十分に得られないケースも考えられるのです。


