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琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 旧正月 VS 新正月

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 旧正月 VS 新正月

週刊かふう2022年12月9日号に掲載された内容です。

旧正月 VS 新正月

Q:私はユタなので、旧正月でお祝いします。ダンナは県外の人なので、新正月でお祝いします。お互い、相手の正月はお祝いしません。旧正月と新正月、専門的にはどちらが正式な正月になるのでしょうか?(糸満市・Uさん・50代)

A:Uさんは、ユタの先生であり、旧暦を大切にする糸満のご出身でもありますから、旧正月を大切にされているのでしょうね。ご相談を詳しくうかがいますと、お父さまは今でも現役の海人、お母さまはユタの先生だったそうですので、糸満魂は夫婦でも譲れないとのこと。

 そういえば以前、コザにお住まいの糸満出身の方に、私が新歴の元旦、「明けましておめでとうございます」とお年賀のご挨拶をしたところ、「ちゅ~や、新年あらんど~! わった~、糸満は旧正ど~!」と冗談交じりにご教授いただいたことがあります。

 世の中は、新正月でお祝いするようになりましたが、「せめて私たち、糸満人だけでも、旧正月を大切にしていきたいと考えています」と力説されるUさんのお言葉に、地域を愛することは、とても素晴らしいことだとほほ笑ましく思いました。




琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 旧正月 VS 新正月

《旧盆? 新盆?》

 たしかに旧正月は、気候的にも肌寒くなり、新正月より正月らしいイメージがありますよね。しかし、会話の途中、ふと素朴な疑問が生じてきました。旦那さまが県外のご出身であれば、お盆はどうされているのでしょうか? やはり、お正月と同じように、Uさんは旧盆、旦那さまは新暦のお盆でご供養されているのでしょうか? Uさんにお尋ねしましたところ、お盆は、夫婦そろって沖縄の旧盆でご供養され、旦那さまもウンケーではジューシーをウサゲ、ウークイではカビアンジまで手伝われているのだそうです。これは、素晴らしい旦那さまではないですか。ちゃんと、Uさんの旧盆を大切にしてくださっているのですね。

『みーとぅんだ や かーみ ぬ ちびてぃーち(夫婦は甕<かめ>の尻一つ)』という夫婦の絆の強さを表すクガニクトゥバがあります。夫婦はお互いが理解し合い、支え合うことが大切。旦那さまが旧盆をお手伝いしてくださっているのであれば、そのお礼として、Uさんも旦那さまの新暦の新正月のお祝いをお手伝いされてみてはいかかでしょうかと、私からご提案させていただきました。もしかしたら、また、そのお礼に、旦那さまもUさんの旧正月のお祝いをお手伝いしてくださるかもしれませんよね。

 Uさんのお話では、旦那さまはご結婚を機に、東京から糸満に住んで20年余り。まったく違う環境の中、親戚・近所のお付き合いもキチンとされ、難しい沖縄のしきたりもよく頑張られているのだそうです。

《どちらも正式なお正月》

 旧正月と新正月、どちらが正式かと問われましても、どちらも旧暦・新暦の正式なお正月ですからね。とUさんにお伝えしたところ、「確かにそうですよね」とウチアタイされ、「今年からは、ダンナと一緒に、東京などの県外で床の間にお飾りする、新正月の鏡餅を買いに行こうと思います」と、笑顔にて、ご自身で今回のご質問の回答を見つけられていました。「これからは、夫婦で仲良く旧正月と新正月をお祝いしたいと思います」とのお言葉を聞いて、ご相談をいただきました私もひと安心。ご家族みんなでお祝いするのがお正月の醍醐味、ご夫婦いつまでも仲良く、『一年の計は新正月・旧正月の元旦にあり』となりますように。

 追記、私への質問・回答の特徴は、ご相談される皆さまの表情にあると自負しています。皆さま、ご相談が始まったときは深刻な表情、ご相談が終わったときは明るく笑顔になられます。「琉球・沖縄のしきたりは、人を不幸にするためにあるのではなく、人を幸福にするためにある」と多くの恩師からご教授いただきました。

 令和4年、読者の皆さまには、『週刊かふう』をご愛読くださり、誠にありがとうございました。来る令和5(2023)年も『向学の志』高らかに、さらなる精進をさせていただきたいと思いますので、今後ともご愛読のほど、何とぞ、よろしくお願い申し上げます。



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