琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 旧暦七夕あれこれ【石ころ編】

週刊かふう2026年7月10日号に掲載された内容です。
Q:毎年、七夕には、石ころをお墓の右に置いて拝んでから、お墓掃除を始めます。その石ころは、オバアが「マギサンド~(大きいよ~)!」「クーサンドー(小さいよ~)!」とサイズにこだわりすぎで、孫一同、誰が取ってきた石ころがオバアに気に入られるか大騒ぎです。今年は絶対、勝利したいので、みんなに内緒でオバア好みの石ころのジャストサイズを教えてください。(Oさん・浦添市・30代・女性)
A:Oさんのおっしゃる通り、石ころのジャストサイズは、司祭者(儀式・法要の責任者)の私から拝見しても……あるようですね。もちろん、琉球・沖縄のしきたりは、地域性・家庭性・個人性に富み、一概には言えないかもしれませんが、ウシージャーカタ(ご年配の方々)から「トー、ジョートー(上等)!」とお褒めいただける可能性が高いケースを、私見を交えつつご紹介させていただきたいと思います。
ウコーの枕石
この石ころにおける『3分の1の法則』、気づかれている県民の皆さまは、かなり多いのではないでしょうか? そもそも、旧暦七夕のお墓掃除の前後に、なぜ石ころを地面に置くのでしょうか? 多くの沖縄の地域・家庭では、ヤシチヌウグヮン(屋敷の御願)・シバサシ(柴差し)・ウグヮンブトゥチ(御願解き)・フニシンヌウンチケー(納骨)など、屋外の儀式・法要のとき、ミージーチヌカンガナシーメーやトゥーティークンガナシーメー(土地の神様)をお敬いするため、土地(地面)にヒラウコーやウチナーウコー(沖縄御香)を置いて(燃やして)お供えすることがあり、旧暦七夕のお墓掃除も屋外で行うため例外ではありません。
そのとき、直接土地に置いて(燃やして)お供えするとウコーが消えてしまうため、石ころを置き、その石ころを枕(台座)やウコール(香炉)に見立て、ウコーの消火防止・延焼補助を行うわけです。ウコーの石の枕であることから、『枕石(まくらいし・ちんせき)』と呼ばれることがあります。
枕石は自然を象徴する石ころであることが大前提ですので、間違えて、コンクリートや土の塊を持参しようものなら、ウシージャーカタから、「クリヤアランサ~(これではないよ~)!」と笑顔でなだめられている光景を拝見することもしばしばです。
『3分の1の法則』
さて、その枕石のジャストサイズですが、基準になるのは、上に乗せるウコーのサイズであることを記憶に留めておきましょう。そうです、ウコーが落っこちないよう、枕石が下から支えていなければなりません。そこで、前述の『3分の1の法則』の出番です。
ウコーの横幅から考えるとき、チュヒラ(割っていない1枚)で採寸すると、横幅は約1・5センチあります。風の強い沖縄ですので、枕石に乗せたウコーの揺れ幅を考慮すれば、枕石から落ちない安全圏は、ゆとりを持たせて約4・5センチといったところでしょう。ウコーの横幅の3倍くらいの枕石、枕石の3分の1くらいのウコー……つまり、これが『3分の1の法則』といわれる理由です。
また、ウコーの縦幅は約14センチあり、火が点いている先に枕石が近すぎると、枕石でウコーが消えることがあるため、ウコーの先から3分の1くらい枕石を手前に離し、お供えされている光景をよく目にします。イメージ的には、枕石から3分の1くらいのウコーは宙に浮き、3分の1くらいのウコーは枕石に乗り、3分の1くらいのウコーは地に着いている様子です。このとき、約14センチ÷3=約4・7センチ、やはり縦幅でも約4・5センチに近い数値が出てくるようです。
よく、ウシージャーカタから、「握りこぶし半分くらいの石ころを探してきて!」と指示されている光景を目にしますが、大小の違いこそあれ、握りこぶしを約8~10センチに仮定するとき、その半分は約4~5センチと、その数値に近づくから不思議なものです。
必ずしも3分の1でなければならないことはなく、あくまで次世代が琉球・沖縄のしきたりに興味を持ってくれたり、参考にしてくれたり程度の格言なのでしょうが、果たして、一体、どなたが言い始めたことなのか……。今年の旧暦七夕のお墓掃除、Oさんが探してくる握りこぶし半分くらいの石ころが、どうかおばあちゃんのお目にかないますように。

