僕の好きな風景 第58回 楽しい本棚
週刊かふう2022年4月1日号に掲載された内容です。
情報はネットで手に入る時代となりました。
そんな時代ではありますが、本好きの方もまだまだ少なくありません。
本に囲まれた独特の高揚感……本好きのひとりとして、本棚に囲まれた空間は憧れでもありました。
2年前、住まいの設計を依頼していただいたクライアントからブックカフェの設計依頼をいただきました。
ブックカフェは、本屋さんとは設計の組み立てが少し異なります。
単に本をたくさん見ることができるということではなく、心地良く本に囲まれて、ゆったり浸れる空間と時間を設計したいと考えました。
本棚が楽しい……本棚が照明器具でもあり、インテリアとして空間を創り上げます。
そんな空間の中でお茶を飲みながら、それぞれの居場所で、好きなだけゆったり本の世界に浸る……オーナーの審美眼でセレクトされた本棚の周りに(このカフェは美術書が主体)、同じ価値観の人が集まって緩やかなコミュニティが生まれます。
オーナーのSさんは本のディスプレイもプロ級、お勧めの本をさりげなく、楽しく展示しています。
ディスプレイの仕方で思わず本に手を伸ばしたり、なんとなく気持ちよくなったりすることが「デザインのチカラ」です。
ブックカフェでなくても、自宅でも少し本棚まわりを楽しくできないだろうか?……伊礼智設計室の素っ気無い本棚の様子をご紹介。
本屋さんでも見かけるやり方ですが、読みたい本やいつも手に取りたい本を平立てにするだけで乱雑さが和らいで、ちょっとお洒落な感じになります。
自分の好きな本を平立てにするだけで本棚が変わる
ギャラリーの大テーブルもプレイコーナーとして活用