僕の好きな風景 第65回 セカンドリビングの楽しさ
2階の廊下を膨らませたセカンドリビング
週刊かふう2022年11月4日号に掲載された内容です。
ここ10年ほど、断熱性能や気密性能の向上に取り組んできました。
建物の性能が上がってくると、真冬や真夏でも少ないエネルギーで吹き抜けや広々した空間を快適に保つことができることがわかってきました。
そうすると設計の自由度が増して、住まい手に負担をかけないで、1年を通して快適な空間を提案することができるようになったのです。
特に、吹き抜けのようなダイナミックな空間は真冬に大きなリスクがあるのですが、安心して一歩踏み込んだ提案ができるようになりました。
その中の一つに、1階のリビングに吹き抜けでつながるセカンドリビングがあります。
2階の廊下を膨らませて、ただの廊下でなく、通り抜けできる居場所とするとスペースの有効活用ができます。
子供たちの図書リビングとして……あるいは二世帯住宅としての子供世帯の家族ルームとして活用するのにも、良い距離感が確保できて良いのではないでしょうか?
仕事から趣味まで対応できる大きなデスクを置くのも良いでしょう。
香川県に建つこの住まいは、まるで日本昔話に出てくるような、おむすびみたいな山々の風景に囲まれています。
2階のセカンドリビングからもその風景が楽しめて、図書リビングとしても機能する居場所となりました。
吹き抜けは単に天井が高いだけの空間ではなくて、上と下の空間がつながることが大事……。
住まいの居場所は緩やかにつながり、多義的な役割を持たせることで、住まい全体が楽しく豊かになっていくように思います。
1階のリビングと緩やかにつながる
讃岐地方らしいおむすび山の風景