僕の好きな風景 第75回 夏を涼しく……食べられる日除け
事務所のゴーヤースクリーン。午前中の強い日差しを遮ってくれる
週刊かふう2023年9月1日号に掲載された内容です。
20年以上も前の話。
ゴーヤーの種を東京に持ち込んで育て、夏を涼しく過ごそうと試してみました。
今では日本全国でゴーヤーは知られ、スーパーでも当たり前に並び、食べられるようになりましたが、当時はほとんど知られていませんでした。
自宅の庭と事務所の庭に植えてみると、あれよあれよと建物を包み込み、日射を遮った上で、実をたくさんつけてくれました。知り合いにもお裾分けし喜んでいただき、それ以来、毎年ゴーヤーとキュウリ、ある年はヘチマも含めて「食べられる日除け」に取り組んでいます。
実は密かに、東京でゴーヤーを知らしめたのは僕ではないか? と思い込むほど、東京では食べられていなかったのです。
子どもの頃はこんな苦くて不味い食べ物はないと嫌いだった。
不思議なもので30歳を過ぎた頃から好んで食べるようになり、食べると体の調子が良い、体を整えてくれる食材となったのです。これをソウルフードというのだろうか?
今年もたくさん取れて、毎日料理するのが大変なのですが、簡単でたくさん食べることができて美味しい、家族みんなが好きなメニューが「ゴーヤーたまご」。
皿にのせた卵焼きの上に、ゴマ油でさっと炒めて塩・胡椒してたゴーヤーをのせ、醤油を振り、花かつおをどっさりのせるだけ……サラダ感覚でゴーヤーをシャキシャキ食べる。
とてもシンプルですが美味い。
台湾ではスープにゴーヤーを入れると聞いて、鶏ガラスープにニンニクや豚肉、大根を入れて煮込み、歯ごたえが残るように、遅れてゴーヤーを入れてみると、これも美味しい。
建築家としては建築で涼しい家を造ることも大事ですが、「食べられる日除け」の楽しさにはどうも勝てそうもありません。
ゴーヤーたまご、ミョウガのせ。バリエーションも楽しめる
台湾ではゴーヤーをスープでもいただくとのこと。大根の代わりに冬瓜(スブイ)も合いそう