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僕の好きな風景 第81回 木造・瓦屋根は地震に弱い?

僕の好きな風景 第81回 木造・瓦屋根は地震に弱い?

香川県で設計した、銀古美という美しい瓦を載せた木造2階建ての住まい。許容応力度計算を施し、耐震性の高い木造建築となった

週刊かふう2024年3月1日号に掲載された内容です。

 

 今年の元日、能登地方を震度7の大地震がおそいました。
 日が経つにつれ、木造住宅の倒壊や火災による消失が目につくようになりました。瓦屋根の木造住宅の倒壊した姿がテレビで何度も映し出され、多くの人が木造は地震に弱く、瓦屋根は特にダメだと感じたことでしょう。
 しかし、倒壊している木造住宅はほとんど古い建物で、それも構造計算されていないものです。果たして、本当に木造の瓦屋根は地震に弱いのでしょうか?

 建築基準法では、ある規模を超えなければ木造の住宅は構造計算書を確認申請時に添付しなくて良いという特例があります(4号特例)。
 それは構造計算をしなくてよいということではなく、建築士の責任として任せるので、審査機関が「確認」はしないというだけのことです。
 しかし、実際は構造計算されることのない事例が数多く存在する可能性があります。
 特に古い木造住宅は、大工さんの勘で耐震的な措置を取られているものがほとんどだと思われます。


 伊礼智設計室では4号特例の木造住宅でも、必ず許容応力度計算を行い、耐震等級3(震度7の地震でも軽微な損傷で済むことが見込まれる)を目指します。
 瓦屋根のような重たい屋根でも耐震等級2はクリアできるように工夫します。ちゃんと構造計算をすれば木造住宅は問題ありません。
 木造だから、瓦屋根だから、地震に弱いというのは間違っています。

 2025年4月以降は4号特例が縮小されます。これからは許容応力度計算をしなければならなくなるのです。

 そして将来、増築する場合に、小さな平屋以外は、既存部分も許容応力度計算書類を要求される可能性があるので、これからの木造住宅は全て構造計算をしっかりやるべきだと思っています。
 住まい手の安全のため、かつ、日本の木造文化の進化のためにも……。

僕の好きな風景 第81回 木造・瓦屋根は地震に弱い?

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