僕の好きな風景 第101回 人の居場所、猫の居場所

ソファのこの位置が最も心地よい居場所。人も猫も変わらない
週刊かふう2025年11月7日発行号に掲載された内容です。
2024年に新しい住まいで暮らし始めました。
3人家族+猫のトラ。
ネコ好きの家では新築時に猫が喜びそうな仕掛けを凝らすのが一般的だと思いますが、我が家では人間のための工夫で手いっぱいで、トラへの気遣いや忖度はほとんどなされていません。
それでも、断熱をしっかりしたので、隅から隅まで寒くない住まいとなり、トラも家中動き回れて心地良かったと思います。
猫は居心地の良い場所を見つける天才だとよく言われるだけあって、好みの居場所を見つけて楽しんでいました。
温熱的に心地よい場所だけではなく、見通しがきく場所や肌触りが良い場所を好んで、一日中、家の中のあちこちを移動して暮らしています。

冬の朝は2階で日向ぼっこ。視線が抜ける日当たりの良い場所
開口部に近い、ソファの端っこに寝転がって、庭の様子を窺っていたりするのですが、ここは僕が好んで陣取る最も気持ち良い居場所のひとつなのです。
「開口部近傍に心地よさは宿る」と日頃から思っているのですが、外部を感じながら安心していられる内部・・・・・・人も猫も同じなのだな? と思います。
冬になると、トラは最も日当たりの良い2階のサンルーム(室内干しスペース)の細い窓枠に器用に寝そべってうたた寝をしています。まさに猫らしい居場所です。
また、階段途中の小窓は玄関からの視線の抜けと広がりを意識して設けたものですが、トラにとっては監視窓のようで、ここから外部を窺っています。

外部を警戒している時の居場所。すぐに2階へ逃げることができる
意図して仕掛けた設計の工夫をトラなりに活用していることがうれしい。
そんなトラは今年の夏、腎臓を患い、治療の甲斐もなく15年の生涯を終えました。
病気で元気のなかった息子の励まし役として、我が家に迎えた役割をしっかり全うしました。


