僕の好きな風景 第21回 屋根の建築
屋根の建築
最近、仕事で地方に行くと瓦屋根の美しい屋根並みに目を奪われます。
それまでは、瓦の屋根は伝統的な住まいの屋根材で自分の設計には関係ないものと考えていたものです。
ところが歳を取ったせいでしょうか? 木造建築の瓦の屋根が日本の風景として無くてはならないものに思えるようになりました。瓦の屋根の堂々とした佇まいの品格は時代を超え、魅力を持ち続けると思うようになったのです。
瓦の屋根を葺(ふ)いた建築は屋根が主役。屋根自体の美しさ、軒先の美しさに神経を使います。
日本の建築美は屋根にあると言っても良い。
そんな風に、最近はどの地方であっても、屋根のデザインには気を使うようになりました。
写真の「福島の家」は周辺の山々の風景に合わせて、屋根並みが連なり、1軒の家が小さな集落のような佇まいとなるようまとめました。
屋根を考える事はプラン(平面)の骨格を明快にする事。屋根を美しく架けようと思えば、プランも良くなることが分かってきました。
沖縄ではとうの昔にコンクリートの家になり、屋根が屋上に変わって、屋根のない風景となりました。それはそれで、沖縄らしい風景として定着していたように思います。
しかし、最近は沖縄でも町づくり条例で屋根勾配の指定を受け、さらに木造の住宅も増えて、屋根のある住宅が復活してきました。
瓦の屋根は簡単でないにしても、沖縄の風景が、屋根の美しい佇まいとなる事を願います。