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沖縄島建築 インサイドストーリー Episode5 夢見る 水タンク

沖縄島建築 インサイドストーリー Episode5  夢見る 水タンク

週刊かふう2020年9月11日号に掲載された内容です。

 建物を介して沖縄の歴史や文化、そして暮らしを見ていく「沖縄島建築 インサイドストーリー」連載第5回は「水タンク」です。

 今では北部を中心に貯水ダムが造られ、空梅雨であっても給水制限が出ることはほとんどなくなりました。
 しかし、それ以前は時間給水や夜間の断水など段階的な給水制限は時として頻繁に行われ、水確保におおわらわになった記憶もあるのではないでしょうか。
 降水量そのものは少なくはない沖縄ですが、それは年間平均ということであって、降ってほしい時に降るというわけではありません。また、河川も幅が狭く短いため、水確保も容易ではなかったのです。
 暮らしの中での水確保は非常に重要で、人々は雨水や湧水や井戸をとても大事にし、“ガー”や“カー”、あるいは“ジャー”と呼ばれた井戸は、時として信仰の対象にもなりました。
 そのような水事情の中、戦後にセメント瓦屋根や赤瓦屋根の住宅を建てる時に屋根を伝った雨水を確保しようと、コンクリート製の円筒型の雨水タンクが作られました。雨どいを伝わってためられた水を下方に取り付けられた蛇口から取水する仕組みです。
 建物もコンクリート化していく中、取水タンクも水道管直結型に変わり、屋根の上に設置されるようになりました。
 これは、水道水をあらかじめタンクにためておくので、給水制限が出てもたまった水を使用することで断水に対応することができました。
 当初はやはりコンクリート製、その後、強化プラスチックのFRP、そしてステンレス製へと変化して行きました。

 私個人としてはFRP期の水タンクがデザイン的に優れていると感じています。
 FRPは加工がしやすいということもあったのでしょう。デザイン的に魅力のあるものが作られましたが、強い紫外線の影響を受けて経年劣化が進みやすく、若干光を通すので藻が発生しやすいなどの理由で、残念ながらステンレス製にとって変わりました。
 そして、ダムが多数造られた現在では水確保に困ることもなくなり、マンションや団地などの大型住宅以外の個人宅では、水タンクを設置することは少なくなりました。

 水不足の中で作られた水タンクですが、その形はさまざまであり、宇宙への憧れを共有していた時代にはスプートニクを彷彿させる宇宙船型のものも作られました。
 たかが水タンクですが、人々の夢をはらんで今でもセメント瓦屋根やコンクリート平屋の屋根の上で颯爽と起立している姿を見ることができます。

沖縄島建築 インサイドストーリー Episode5  夢見る 水タンク

沖縄島建築 インサイドストーリー Episode5  夢見る 水タンク

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