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基礎からわかる相続Q&A File.4 土地の賃借人が亡くなった場合について

基礎からわかる相続Q&A File.4 土地の賃借人が亡くなった場合について

週刊かふう2022年2月25日号に掲載された内容です。

Q 土地の賃借人が亡くなった場合について

 私は、父から賃貸中の土地を相続し所有しています。賃借人(借り主)は、父の代から土地を借りて住宅を所有している高齢の方です。父がこの方に土地を貸したのはかなり昔のことなので書類などは残っておらず、住宅もかなり老朽化が進んでいるように見えます。賃借人の方も高齢のためか体調が悪いことが多く、しばしば入院しているようです。そのため賃料も親族の方が持ってくるようになりました。
 私としては、賃料も父の代に決まった額で現在の相場からかなり低めになっていると思いますし、建物も老朽化しているので、賃借人の方が亡くなったら、建物を取り壊して土地を返してほしいと思っているのですが、可能でしょうか。

A 契約関係にある方が亡くなった場合の処理については、どのような契約かによって違ってきます

 本件では、もともとはお父さまと賃借人(借り主)の方との間で土地の賃貸借契約が成立しており、お父さまの貸し主としての地位は相談者さまに相続されています。
 同様に、土地を賃借されている方の賃借人としての地位も相続の対象となり、賃借人の相続人が賃借人としての地位を相続することになります。すなわち賃借人が亡くなっても土地の賃貸借契約が終了するわけではないので、建物を取り壊して土地を返してもらえるわけではありません。
 建物所有目的の土地の賃貸借契約を終了させることができるかどうかは、賃料不払いの場合等を別として、法律に照らして賃貸借契約満了のタイミングなのかどうかや、法律に照らして賃貸借契約を終了させる正当な事由があるか否かで判断されることになります。
 平成4年8月1日以後に締結された土地の賃貸借契約であれば借地借家法に照らして、それより前に締結された土地の賃貸借契約であれば借地法(旧法)に照らして判断されることになります。このため、この土地の賃貸借がいつから始まったか、賃貸借期間がどうなっているかが重要になります。

 本件では賃貸借契約書が残っていないということのようですので、賃料支払いの資料や建物の建築年月日などを手がかりにして、いつから賃貸借契約が始まったかを判断することが考えられます。
 法律に照らして土地の賃貸借契約期間が満了するときは、終了の1年から6カ月前の間に賃貸借契約を更新しない旨の通知をするという手続きも必要とされています。賃貸借契約を終了させる正当な事由があるといえるかについては、建物の老朽化の程度もこの正当事由の判断の考慮要素となりますが、それ以外にも賃借人と賃貸人それぞれの利用の必要性や立ち退き料の額等さまざまな要素が考慮され判断されます。このように、賃貸借契約を終了させる正当な事由があるかについては、個別のケースのさまざまな事情を考慮することになる法律判断となりますので、法律相談をおすすめします。

 相談者としては、賃貸借契約についての資料を探し、土地の賃貸借契約が満了するタイミングを確認することになると思われます。また、可能であれば、賃借人の方が亡くなった場合の相続人が誰になるのかを確認しておくことも必要かと考えられます。

基礎からわかる相続Q&A File.4 土地の賃借人が亡くなった場合について

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