あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ライフスタイル

新 よくわかる不動産相続Q&A File.9

新 よくわかる不動産相続Q&A File.9

週刊かふう2019年11月22日号に掲載された内容です。

「特別の寄与」の制度について

「特別の寄与」は、今法改正で新たに創設された制度です。相続人以外の親族が被相続人の介護に尽くしても、相続財産を取得することができないといった不公平感を考慮し、相続人に対して金銭の請求をすることができるとしました。これは高齢化が進む社会情勢にも鑑みたもので、介護に関わる諸問題解決の考え方・ヒント・情報としてご活用いただけましたら幸いです。

Q.私妻B(70歳)は、46年間連れ添った夫A(75歳)との間に長男C・次男D(42歳)がいましたが、長男Cを10年前に35歳で亡くしました。

 更に、夫Aは5年程前から体調を悪くし、一人で外出することも出来ない状態でしたが、長男Cの嫁E(45歳)が夫Aの介護に努めてくれ、嫁Eには本当に感謝しています。
 最近、その夫Aが亡くなりました。夫Aの遺産としては、築30年の2階建の自宅(土地建物、土地は約2000万円・建物は約1000万円の価値)と預貯金があるのみです。
 私妻Bとすれば、嫁Eにも夫Aの遺産の一部を分け与えたい気持です。何か良い方法はないでしょうか。

A.本件において、被相続人(夫A)の相続人は、妻Bと次男Dになります。

亡長男Cの妻E(以下「嫁E」という)は、相続人ではありません。従って、嫁Eが、亡夫Aの遺産(本件土地・建物、本件預貯金)の分割協議に参加し、その遺産を取得するということはありません。
 現行法には寄与分という制度があります。本件との関連で説明すると、被相続人の療養看護を行い、被相続人の財産の維持・増加に寄与した者は、被相続人の遺産からその寄与分を控除した財産を相続財産とみなし、寄与者には、相続財産の法定相続分に寄与分を付加した相続分を認めようとするものです(民法904条の2)。被相続人の遺産を公平に分配しようとの考え方に基づくものです。
 しかし、この寄与分制度でいう寄与者は相続人に限られています。本件では、嫁Eは相続人ではありませんので、寄与者にあたらず、寄与分は認められません。
 とは言え、本件において、被相続人Aの療養看護に努めた嫁Eが、被相続人Aの分配に頂かることはないというのは、いかにも不公平です。そこで、改正相続法は、「特別の寄与」の制度を設けました。本件との関連でいうと、被相続人の相続人ではない親族で、被相続人の療養看護に努め、被相続人の財産の維持・増加に寄与した者は、「特別寄与者」として、相続人に対し、それぞれの相続分に応じた「特別寄与料」の支払を請求できるというものです(民法1050条)。公平の原理を拡大するものです。しかし、ここで「特別寄与者」が求めることが出来るのは、「特別寄与料」の請求という金銭債権であり、不動産の所有権・持分の譲渡を求めることはできません。
 本件でいうと、嫁Eの介護(療養看護)により、被相続人たる夫Aの財産が維持されたと評価しうるときは、「特別寄与者」である嫁Eは、相続人妻B・次男Dに対し、それぞれの相続分に応じた「特別寄与料」を請求しうることになります。嫁Eは、妻B・次男Dとの協議が調わない場合は、家庭裁判所に判断を求めることができます。
「特別の寄与」の制度は、既に本年7月1日から施行されています。今後は、その利用を検討してみるとよいでしょう。

新 よくわかる不動産相続Q&A File.9

このカテゴリの記事