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よくわかる不動産相続 Q&A File.5

よくわかる不動産相続 Q&A File.5

週刊かふう2017年6月16日号に掲載された内容です。

遺言書をお勧めいたします!

今回のテーマは相続を円滑に進めるための遺言書作成のお話です。
これまでに相続人の範囲や、特別受益・寄与分などのご説明をいたしましたが、それでも相続は難しいものです。それらの諸問題を解決できるのが遺言書ではないでしょうか。
私、弁護士の尾辻克敏がわかりやすく解説いたします。

よくわかる不動産相続 Q&A File.5

Q.私は、会社を定年退職して、10年になります。

 妻は他界し、現在は自宅で、長男の一郎家族と一緒に暮らしています。子は、一郎の他に、次男の次郎、三男の三郎がいます。私には、住宅ローンを完済済みの自宅(土地・建物、時価3000万円相当)と1500万円の預金があります。
 長男の一郎には、トートーメと仏壇を継いでもらうために自宅をあげようと考えています。次郎や三郎が、一郎が自宅をもらうことにとやかく言うことはないと思いますが、円満に一郎に自宅を譲るにはどのようにしたらいいか教えてください。

A.相談者が「遺言」を作成しないまま、亡くなられた場合、一郎、次郎、三郎さんの3人が相続人となり、法定相続分は3分の1ずつとなります。

 一郎さんら3名の遺産分割協議で、一郎さんが自宅を取得するとの遺産分割協議がまとまれば、相談者の生前の意向に沿った形で遺産を分けることができますが、次郎さん・三郎さんが、一郎さんが自宅を取得することに反対した場合、一郎さんは自宅を取得できないかもしれません。
 そこで、生前に「遺言」を作成することをお勧めしています。

■相続では遺言が優先!

「遺言」とは、生前に自分の財産を誰にどのように分けるか等を決めることです。被相続人が、自分の財産をどのように分けようと自由なので、相続では、「遺言」に書かれた内容が優先されます。そのため相続が開始されると、まずは「遺言」が有るか・無いか、有る場合には、その内容を確認することになります。

■「遺言」はどのように作成するの?

「遺言」は、民法で作成方法や条件が決められているため、それらを守って作成しないと無効になります。「遺言」には、通常、自筆証書遺言(遺言者が、遺言書の全文、日付および氏名を自分で書き、これに押印して作成するもの)、公正証書遺言(遺言者が、遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成するもの)、秘密証書遺言(遺言者が遺言の内容を秘密にした上で遺言書を作成し、公証人や証人の前に封印した遺言書を提出して遺言証書の存在を明らかにするもの)の3種類があります。
 私たちは、通常、公正証書遺言をお勧めしています。公正証書遺言は、公務員である公証人が関与して作成するので、法的に問題のない遺言書を作成することができ、原本を公証人役場で保管するので、紛失や改ざんのおそれもありません。他の遺言では必要とされている遺言書の存在・内容を確認する家庭裁判所での検認の手続きも必要ありません。
 ただし、公正証書遺言を作成する場合、事前に弁護士に相談して、自分の財産をどのように分けるかをきちんと決めてから、公証人役場に行きましょう。

■実際に遺言書を作成する人は多いの?

 遺言書の作成が大切なのは分かるけど、遺言書を作成する人は多いのですか? と聞かれます。やはり、まだまだ作成されているケースが少ないのが現状です。まだ元気だから必要はない、うちの子供たちは仲がいいから相続争いをするはずがないと言われる方が多いです。しかし、被相続人の死後、相続争いとなり、相続で苦労される方はたくさんいます。相続争いにより、身内が清明祭やお盆に集まれないと、よく聞きます。相続争いの防止にも遺言書の作成は非常に大切です。

■遺言書を作成するタイミングは?

 遺言書をどのタイミングで作成するかは、難しい問題です。自分がいつ亡くなるかは分かりません。ただ、そのうち作ればいいと考えて作成されないケースも多いです。早ければ早い方がいいとは思いますが、ご自身の相続や子供の将来等を考えるようになった時が、作成のタイミングと思われます。

■遺言書の内容は変更可能!

 早めに遺言書を作成した後、状況が変わったり、財産をあげたい相手が変わった場合、「遺言書の内容を変更できますか?」と聞かれます。遺言書は、遺言者の気持ち次第で、いつでも撤回や変更ができます。実際、親の死後、複数の遺言書が見つかるケースもあります。その場合、日付が新しい遺言書が有効となります。

 ここまで、「遺言」について説明させていただきましたが、被相続人が生前に「遺言」を作成し、どの財産は誰に継いでもらうかを明確にしておくと、将来の親族間の紛争を予防することにもつながります。自身の財産を相続人にどう分けようか、どのように遺言書を作成していいのか分からないなど、相続問題についてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

よくわかる不動産相続 Q&A File.5

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