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知っておきたい 相続の基礎Q&A File.13

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.13

週刊かふう2020年7月24日号に掲載された内容です。

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.13

遺言書の探し方と遺言書が出てきた場合の対応について

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三つがあることについては以前に触れましたが、今回は、遺言書が見つからない場合にどのように探せばよいのか、また実際に遺言が出てきた場合にどのように対応すれば良いのかをみていきましょう。テレビドラマのようにやろうとすると思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。

Q.母が最近亡くなり、私が実家を片付けていると、「遺言状」と書かれた封がされた封筒が見つかりました。

 私の母は、父が亡くなってから長い間一人で、1年のほとんどを生まれ育った他県で生活し、冬になると気温が暖かく過ごしやすい実家に戻ってきて生活するという風に気ままに生活していました。(母の)生活費は、母名義のアパートの賃料収入と年金でまかなっていたようです。私を含めて兄弟は3人いますが、私たち兄弟は性格がかなり異なり、法事の時くらいしか顔を合わせません。実家を誰がどのように継ぐのかでも意見が合わず、口論のようになっていました。
 そのような様子を見たからか、実家での法事の際に、母は私たち兄弟の仲が心配だから公証役場で遺言書を作っているという話をしていました。
 その母が最近亡くなり、私が実家を片付けていると、「遺言状」と書かれた封がされた封筒が見つかりました。
母は公証役場で遺言書を作ったと言っていたのにおかしいなと思ったのですが、これはどのように扱えばいいでしょうか。以前テレビで、親戚みんながそろっている前で開封するという場面を見た記憶があるのですが、そのようにすればいいでしょうか。
 また、母が言う公証役場がどこの公証役場かわからないのですが、母の遺言書をどのように探せば良いのでしょうか。

A.遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないとされています。

 まず、相談者が発見した「遺言状」の取り扱いですが、公正証書遺言を除く遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないとされています。
 本件の「遺言状」は自筆証書遺言と思われるものですので、検認が必要となります。検認とは、家庭裁判所で、裁判官が、遺言書の枚数や形状、日付、署名などを確認し、検認の日における遺言書の内容を明確にする手続きです。この検認の手続きは、相続人に対し遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、検認以後の遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
 封がされている場合も、封がされている状況を含めて裁判官に確認してもらうことになります。そのため、親戚の前で開封するということではなく、裁判所に検認の申し立てをし、検認の場で裁判官に開封してもらいましょう。
 次に、本件では他にもお母さまが公証役場で遺言書を作成しているようですが、どこの公証役場を利用したかわからないという場合には、平成元年以降に全国の公証役場で作成された遺言公正証書であれば、公証役場の遺言検索システムにより、最寄りの公証役場で検索することができます。この検索システムの利用には、検索システム利用請求者が遺言者の相続人であることを示す戸籍謄本や本人確認書類等が必要になります。
 公証役場での検索システム利用により、複数の遺言書が見つかった状態になった場合、どの遺言書が優先するのかどうかについては、File11でも触れたように最も新しく作成された遺言が優先されます。詳しくはFile11の「遺言の撤回や変更について」をご確認ください。

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