沖縄島建築 インサイドストーリー Episode2 時を重ねる直書き看板
週刊かふう2020年5月22日号に掲載された内容です。
Episode2 時を重ねる直書き看板
建物を介して沖縄の歴史や文化、そして暮らしを見ていく「沖縄島建築 インサイドストーリー」。連載第2回は「直書き看板」です。
主にコンクリートで建てられた建物にペンキで直に描かれた看板。それを「直書き看板」と呼んでいます。
台風の被害を避けるためだったのでしょうか、後付けの看板ではなく、壁面に直接書かれた看板が戦後の沖縄にはたくさんありました。
以前のお店の屋号がうっすらと染み上がってきているもの、何度も塗り重ねられ、ところどころ剥がれ落ちてきているものなど、時間の流れを感じさせ、その表情は多彩です。
職人の技とセンスがものをいう「直書き看板」 ですが、最近ではコンピュータを介してデータ出力した後付けの看板が幅をきかせて、少しばかり肩身の狭い思いをしています。
それでも、古い商店やビルの壁面を気をつけて見ていけば、南部、中部、北部と、沖縄各地で見つけることができます。
アメリカ文化の影響を強く受けたものや、ただただ屋号を伝えるもの、縦書きや横書き、マークやロゴなど、それらはとても魅力的です。
その魅力に気づいたのか、今またカフェやセレクトショップの壁面が直書き看板で飾られることもあります。
直書き看板を見ながら、そこで営まれた時間や暮らしに思いを馳せてみようではありませんか。