もっと知りたい!不動産マーケットFile.13 豊見城市・糸満市の不動産市況
コロナ禍の影響が大きく反映した令和3年地価公示。今回は、豊見城市や糸満市の地価動向についてみていきましょう。
週刊かふう2021年8月6日号に掲載された内容です。
マンションが立ち並ぶ豊崎地区。今年の変動率は横ばい
Case1 住宅地全般は現状維持 工業地は上昇をキープ
まずは豊見城市からみていきましょう。今年3月に発表された地価公示の結果では、住宅地の平均変動率は+0.7%の上昇でしたから、コロナ禍においてもわずかではありますが上昇しています。しかし、昨年の変動率は+4.8%でしたので、やはり上昇幅は減少しました。
各地点の変動をみてみると、マンション用地である豊見城-5(豊崎)は6.0%の上昇でしたが、今年は横ばいとなりました。
現在のマンションは二極化している傾向があり、順調に売れているマンションもあれば、価格調整し、なんとか売り切るといった物件もあります。このあたりはまた別の機会にお話できればと思います。
そのほかでは豊見城-3(我那覇)などは昨年4.4%の上昇でしたが、今年は横ばいとなっています。住宅地全般に需要は減少傾向にありますが、供給も少なく、結果として現状を維持しているような状況です。那覇市に近いのに地価は割安であり、個人的には狙い目かなとは思いますが、売り物件が少ないので選択に苦慮する場面もあるようです。
豊見城市の商業地は非常に限られたエリアであり、実は地価公示のなかで商業地は設定されていません。商業地の動向については9月に発表される沖縄県地価調査まで待つ必要があります。
そして、特筆すべきは工業地です。読者の皆さまにはあまりなじみがないと想いますが、豊崎の工業地は全国で一番地価が上昇しているのです。
豊見城9-1(豊崎)は昨年32.1%の上昇でした。今年も29.1%も上昇しています。もともと工業地が少ないうえに、那覇空港への利便性は良好で、しかも新型コロナ感染症の影響で通販などが増加している状況から、物流施設用地の需要は増大しています。
糸満市西崎の工業地は豊崎同様、地価は大きく上昇している
Case2 住宅地の上昇幅は減少するものの工業地で大きく上昇
糸満市は昨年、住宅地は平均で17.0%も上昇していましたが、今年は2.3%の上昇にとどまっています。30.3%も上昇していた糸満-5(西崎2丁目)が今年は4.7%の上昇でした。また、22.6%も上昇していた糸満-1(西川町)も1.4%の上昇となっています。コロナ禍においても上昇しているのはすごいとも言えますが、昨年の上昇率を考慮すると、大きな差を感じますね。
商業地は糸満5-1(兼城)は昨年10.3%も上昇していましたが、今年は0.8%の上昇となりました。やはり、全体的に新型コロナ感染症の影響によって、地価の上昇は抑えられたような印象ですね。下落地点がないので、イメージとしては高止まりといったところでしょうか。
糸満市の工業地も豊見城と同様、非常に高い需要に支えられ、地価は大きく上昇しています。糸満9-1(西崎町5丁目)は昨年31.8%の上昇でした。今年の上昇率は減りましたが、それでも22.4%も上昇しています。
この上昇率は豊見城市豊崎について、全国第2位となっています。商業地は厳しい状況にあるなかで、工業地(物流施設用地)の地価は上昇するというように、新型コロナ感染症の影響力は業種によって異なる状況を生み出しています。
不動産は、特に土地については、利用する人によって、また、その利用方法によって価値が増大する場合もあれば、減少してしまうこともあることを知っておく必要がありますね。
次回は南風原町・八重瀬町の不動産市況についてみていきます。