もっと知りたい!不動産マーケットFile.18 石垣市と宮古島市以外の離島の不動産市況
コロナ禍の影響が大きく反映した令和3年地価公示。今回は石垣市と宮古島市以外の離島の地価動向についてみていきます。
週刊かふう2022年1月7日号に掲載された内容です。
久米島は住宅地と商業地ともに下落傾向。
人口の減少や開発需要の少ないことなどが影響しています
Case1 久米島ほか離島で下落傾向
前回お話しした、沖縄県から発表された地価調査では、石垣市・宮古島市の地価は基本的に上昇基調です。
ところが、離島のすべての地価が上昇しているわけではなく、下落しているところもあります。
例えば、久米島の住宅地は昨年-2%の下落でしたが、今年も-1・7%の下落となっています。商業地でも昨年-2・9%下落し、今年は-3・9%と下落幅が拡大しています。実は、久米島の地価は新型コロナ感染症が流行する前から下落していました。その要因の一つとして、人口の減少や開発需要があまり期待できないことなどにより、土地需要が減少していることが挙げられます。
その他にも、多良間村や粟国村でも地価は下落しました。もともと地価水準があまり高くない地域のため、下落したといっても㎡あたり100円とか200円の下落ですので、金額的には小さいですが、需要の弱さを感じます。
離島航路の拠点となる那覇市の泊港。交通手段が船に限られる離島では観光需要の取り込みが難しいケースもあります
Case2 下落の要因は離島特有の課題
以前も指摘しましたが、例えば久米島など離島の地価が下落したひとつに、宅地は余っている状況にも関わらず、宅地開発が行われて供給過多になっています。
もう一つは、交通アクセスの問題です。久米島以外の小さな離島は通常、交通手段として船を利用します。しかし、船でのアクセスは受け入れられる人数に限界があるため、観光需要をうまく取り込むことが難しい背景があります。
また、受け入れるためのインフラが十分ではないといった事情もあります。このインフラの問題はかなり深刻で、観光客が増加したことによる飲料水の確保やごみの増加、医療施設などの不足により、離島の住民の生活自体に影響が出てしまう場合もあり、これが常態化することを危惧する声も聞かれます。
インフラ整備は非常にお金がかかりますし、維持するのも簡単ではありません。これらは新型コロナ感染症が流行する前から指摘されており、その後もこれらの対応についてあまり進展はありません。
新型コロナ感染症が流行したため、観光客が減少し、これらの問題は先送りになっているような気がします。
次回は沖縄県不動産鑑定士協会が発表している不動産DIについてお話しします。