もっと知りたい!不動産マーケットFile.19 第15回沖縄県不動産市場DIレポート 前編
今回から2回にわたり、沖縄県内の不動産相場の現状や先行きを指数で示した不動産市況の業況判断指数(DIレポート)についてお話しします。
週刊かふう2022年2月4日号に掲載された内容です。
沖縄県不動産鑑定士協会は、県内の不動産業者に不動産相場の現況や先行きについてアンケート調査を行い、それを指数に示した不動産DIレポートを半年に一度発表しています。今回は、2021年5月~21年11月に調査した内容についてです。
「DI」とは、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、現況や先行きの見通しにおいて、(数値化しにくい)定性的な判断を指標として集約加工した指数のこと。
この調査の目的は「本調査は、沖縄県の経済に大きな影響を及ぼす県内不動産価格や賃料の近時の動向や今後の見通しなどについて、県内不動産関連業者の意識を把握することにより、不動産市場の動向判断に関する基礎資料を得ること、及び本調査結果公表により、市場関係者の意思決定、市場環境の改善に資することを目的とする。」とうたわれています。
具体的な計算式は、例えば、「今後の地価動向についてどう思いますか?」という質問を設定した場合に、次のような6項目の選択肢を用意し、その各選択肢を集計します。
「今後の地価動向についてどう思いますか?」
上昇する……A
やや上昇する……B
横ばい……C
やや下落する……D
下落する……E
わからない……X
計算式:DI={(A+B)-(D+E)}÷(A+B+C+D+E)×100
すなわち、地価の上昇を予想する不動産業者が多ければプラスの値を示し、地価の下落を予想する不動産業者が多ければ、マイナスの値を示すことになります。
住宅地は上昇
商業地・軍用地は下落の予測
例えば、上記の地価動向のグラフにおける住宅地を見てみましょう。
令和3年11月時点の住宅地は、+9.9と示されています。これは地価が9.9%の上昇ではなく、「上昇した」または「やや上昇した」と思っている不動産業者が多いという意味です。
商業地を見ると、-18.5となっており、「下落した」または「やや下落した」と思っている不動産業者が多いことになります。軍用地は、より値が小さくなっており、多くの不動産業者が「下落した」と考えています。
グラフの最後の点線部分は、予測を数値化したものです。商業地を見ると、-9.3とマイナスのため、「下落するだろう」または「やや下落するだろう」と予想する不動産業者が多いですが、現在値の-18.5よりはマイナスが小さいので、下落はするだろうけど、下落すると考える不動産業者は少なくなっているといえます。もっとも、上昇すると予想する不動産業者が増えていると言ってもいいかもしれません。
住宅地は、商業地や軍用地と逆の動きをしています。プラスの予測ではあるものの、その数値は小さくなっており、上昇すると予想した不動産業者は少なくなったと言えますし、下落すると思った不動産業者が増えたのかもしれません。
次回は不動産DIレポート後編についてお話しします。