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もっと知りたい!不動産マーケット File.1

もっと知りたい!不動産マーケット File.1

新型コロナの影響は、不動産にも及んでいます。先日発表になった路線価と不動産DIを基に沖縄県内の今後の不動産市況を概観します。

週刊かふう2020年8月7日号に掲載された内容です。

もっと知りたい!不動産マーケット File.1

路線価で40%以上上昇した国際通りだが……

昨年までの地価上昇はすごかった

 先日、本年の路線価が公表されました。
 国際通りは1㎡あたり145万円で前年から40.8%の上昇。新都心地区のサンエー那覇メインプレイス前では35%の上昇で81万円でした。
 宮古島においては、西里大通りが45.8%も上昇し、10万5000円。県内6税務署の最高路線価はすべて上昇です。
 3月に発表された公示地価においても上昇が顕著で、全国1位の地価上昇率に。路線価も公示地価も本年1月1日時点での調査ですので、地価の上昇は顕著でした。
 しかし、2月以降、すべての状況が一変しました。

コロナ禍の不動産市況は?

 コロナ禍の影響により、不動産取引の多くは停滞しました。
 とくに地価上昇を牽引していた県外の不動産プレイヤーが来沖できなくなったこともあり、多くの取引が延期や中止になりました。
 取引件数については、やや回復する傾向もみられますが、それでも先行きの不透明感や不安感から停滞していると言っていいでしょう。
 このような状況は先に公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会が発表した不動産DIにも明確に示されています。

もっと知りたい!不動産マーケット File.1

那覇新都心の地価は、ここ数年、最高価格を更新し続けている

不動産の価格はどうなる?

 実は、バブル崩壊後もリーマンショック後も、わずかな期間ではありますが、地価は落ちなかったのです。理由はいくつかありますが、たとえば売り手がいろいろな事情により価格を下げることができなかった(わかりやすい例でいえば、ローン残高を下回って売却することはできないので、売却タイミングによっては不動産価格を下げることができなかった)などにより、すぐには価格が下がらなかったのです。今回もおそらくそのような傾向になる可能性が高いと考えます。
 ですが、商業地については思いのほか早く影響が出てくる可能性があります。
 観光立県である沖縄県では、観光業は経済の柱といえる業種です。日本銀行那覇支店が7月16日に発表した主要なホテルの稼働率(本年5月)は3%です。昨年が77%でしたので、そのインパクトは非常に大きい。
 県内の非常に高い不動産取引はこのホテルの収益を前提としていたものが多くあり、県内の地価は収益性の高いホテル用地取得の影響を受けていました。その前提であるホテルの収益が期待できないのであれば、このような高額取引は当然のことながらなくなります。
 すなわち、建築費という負債を抱えたままで企業体力がなければ、ホテルを含めた不動産の投げ売りも出てくるでしょう。
 現時点では家賃や人件費など補助金により支えられてきたとはいえ、今後はこれがさらに深刻化する可能性が高く、その場合には事務所や店舗の閉鎖により、家賃収入が減少し、収益性の低下による不動産価格下落というシナリオは非現実的とはいえません。

 次の不動産動向に関する指標は9月に発表される沖縄県地価調査ですが、どのような結果になるのでしょうか?
 次回もコロナ禍の影響を受けている沖縄県の不動産市況についてもう少し考察したいと思います。

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