教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第2回 不動産での共有名義とは?
共有名義の
メリット・デメリット
「共有名義」とは、1つの不動産に対して、名義が2つ以上あることを指します。例えば、夫婦で不動産を購入するときや相続などで親の財産を相続人の数で登記する場合などです。共有名義にすることでメリットがある反面、デメリットにつながることもあるので、どのようなケースがあるのか見ていきましょう。
夫婦で購入する際は、①ローン支払金額を互いに負担できる ②住宅ローン控除を夫婦共に受けられる、など税制上のメリットがあります。相続での共有登記では、①親の遺志を引き継ぐことができる ②相続財産の分け方が決まらない場合に相続人の間で話し合って決める時間を取ることができます。
よくあるトラブルとしては、夫婦であれば、離婚問題が起きた時に所有不動産の売る、売らないの意見の相違や売却後の分ける金額でもめることがあり、専門家に介入してもらうケースもあります。
複数人の共有名義
共有名義で相続した場合は、名義人の数だけ複雑な事情が出てくることもあります。
以前、相続物件を売却したいという方から、こんな相談を受けました。話を聞いた当初は、共有名義人は5人で、全員が高齢の方。所有者のうち、2人はすでに亡くなっており、その方々の子や孫に相続が受け継がれたことでさらに相続人が増え、最終的な法定相続人が30名以上になっていました。その中には法定相続人の中には県外国外在住の方もいたため、相続財産の売却まで時間がかかりました。
そこで、まずは県内在住の相続人全員に集まってもらいました。相続登記に関して理解してもらうために、司法書士も同席して法的な説明を行いました。私自身は、不動産コンサルマスターとして、一人一人の意見や思いをまとめ、みなさんが理解し納得できるように説明しました。そういう話し合いを何度か行う必要がありました。相続人の体調不良や仕事の都合の調整、また、県外や国外の相続人へ連絡したりと時間はかかりましたが、相続人全員が一致団結して進めた結果、相続物件を売却できました。売却後にかかる税金の支払い、申告の準備については、税理士に説明してもらいました。このように、各専門家のプロの知識をお借りしながら、ケースに応じてサポートしていきます。
共有名義の前に
事前の解決策を
共有名義が一番良いと考えて決定する方もいると思います。しかし、とりあえず共有名義して、後で解決しようとか、共有名義が平等な分け方だと結論づける前に、共有名義のメリットとデメリットをしっかり確認してから行うことをおすすめします。その際に、ぜひ専門家の知識を活用してください。もめない相続を行うためにも、プロの知識を借りることが重要です。
次回は、「賃貸併用住宅」について紹介します。
***プロフィール
金城 久雄(きんじょう ひさお)
1963年生まれ、嘉手納町出身。住宅販売や不動産会社勤務を経て、2004年に独立。2016年に、(有)iホーム不動産コンサルティングに社名変更。不動産コンサルティングマスターとして、狭小地有効活用や住宅、住宅兼アパートのプランニングを数多く手掛ける。
沖縄県不動産コンサル実務研修会セミナー講師、暮らしの行政相談員としても活動中。
沖縄県不動産コンサルティング協議会理事