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教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第16回 不動産コンサルティングの報酬

教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第16回 不動産コンサルティングの報酬

前回は不動産会社への仲介手数料について取り上げましたが、今回は不動産コンサルティングの報酬についてです。不動産コンサルの業務内容や事例を交えながら解説します。

報酬規定の定めのないコンサル業務

 はじめに、「不動産コンサルティングマスター」は、不動産全般に関わるアドバイスや提案を行う不動産のスペシャリストです。不動産コンサルの報酬と仲介手数料には大きな違いがあります。それは、不動産コンサルには「報酬規定が設けられていない」ことです。
 仲介手数料のように報酬規定があると、依頼者にとって費用の目安になると思います。一方、不動産業者としては、報酬規定がないと取り組むのが難しいと言われています。そのため、売買や賃貸業務にからめて「仲介業務における予定外業務を、コンサル費用として請求できるか」など、同業者から質問を受けることがあります。そこで、今回は私の事例を交えながらコンサル業務や報酬についてお話します。

提案内容で業務も異なる

 今回は、那覇市内に約80坪の土地を所有するTさんの事例から。Tさんから「将来を見据えた土地活用を教えてほしい」という相談を受け、コンサルを前提に3つの段階的な選択肢に分け、コンサル費用の見積書を提出しました。
① 土地活用企画書提出のみを行う ② ①に加え事業資金の借り入れ、複数の建築会社と請負金額の交渉、建物着工時までの業務を行う ③最終引き渡しまでに関わる業務に加え、賃貸管理会社の選択、家賃設定交渉、満室までのサポート業務などを行う、というもの。
 Tさんからは、③の依頼を受けました。プランは、所有する土地が駅近でしたので、将来性を見据えて土地を2分割にして段階的な土地活用を提案。1区画にアパートを建築して、2区画目は一時的に貸し駐車場にし、将来、2棟目のアパート建築、戸建て賃貸、または売却して1区画に建てたアパート借入金を減らし1棟目建物の収益率を上げるなど、将来を見据え変化に対応できる企画にしました。
 不動産コンサル費用は、事前に業務内容や報酬の見積書を書面で提出し、契約書を交わし成果物を書面で提出して成立します。ですので、事前に書面説明がないまま費用の支払いを請求すること、売買や賃貸仲介業務を行った後に、別途不動産コンサル費用を請求することは禁止されています。

価値ある業務の大切さ

『不動産コンサルティング制度検討委員会報告書』では、不動産コンサルの業務範囲は広く、不動産価格が特定されない業務も含まれること、さらに事例によって個別性が強いことなどから画一的な基準を設けることは難しいとされています。
 その上で、報酬を受け取る一つの方法として、業務内容を作業項目に分類し、各作業項目の質・量に応じた費用を積み重ねたものに技術料を付加するコスト・アプローチ法(費用接近法)の採用もできるとしています。
 分かりやすく言うと、報酬=直接人件費+経費+技術料+特別経費+消費税となります。
 不動産コンサル業務の報酬は、依頼者に対して、業務の過程を事前に書面で、しっかりと説明し、業務の広さや深さを理解してもらい、支払う価値があるか否かを判断してもらうことです。支払う価値がないと判断されれば、費用の請求は一切できません。ケースごとに提案内容やコンサル費用も変わりますので、相談したい方はお近くの不動産コンサルティングマスターにご相談ください。

 次回は、「不動産コンサルの事例」についてお話します。

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