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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

家中まるでワンルーム 広い玄関土間のある家

家中まるでワンルーム 広い玄関土間のある家

DATA
所在地:八重瀬町
家族構成:夫婦、子ども1人
設計:玉城勝也・Atelier情熱集団(担当/祖堅将一)
敷地面積:358.01㎡(約108.29坪)
建築面積:87.63㎡(約26.50坪)
延床面積:83.81㎡(約25.35坪)
用途地域:未指定
構造:補強コンクリートブロック造平屋建て
建築一式:Creative Team情熱集団
建具:三和木工所

本島南部の自然豊かな環境に建つSさん宅は、床面積約25坪のコンパクトな平屋の住まい。実用性重視で使い勝手の良いプランを求める奥さまと、とにかく広い玄関土間を望むご主人の希望を同時にかなえ、ライフステージの変化を柔軟に許容する箱形のシンプルな新居を築きました。

家中まるでワンルーム 広い玄関土間のある家

4室全体を見渡せるオープンな間取りは、子育て環境にも最適

Sさん宅の平面プランはシンプルな長方形。東側道路に面した床面積の約25%を土間が占め、現在はご主人の趣味道具であるサーフボードやソファなどが悠々と置かれています。玄関からリビングへつながるメインの通路とは別に、土間から直接バスルームへ行く隠れルートも用意されており、やんちゃ盛りの子どもを抱えるお2人にとっては大助かり。「本心をいえば、土間をもっともっと広くしたかった」と本気で残念がるご主人と、「おかげで予定より部屋がコンパクトになってしまった」と冗談吹く奥さま。
 今度は間取りに目を移すと、南面の庭に開いたリビングから左回りに、キッチン・洋室・和室が「田の字」状に配置されています。収納で仕切られた洋室と和室を除けば全室がオープンにつながっているため、家中どこにいても隅々まで目が行き届いて開放的。「昨年9月に住み始めた頃から長男の活動量が増え、走り回ったり、飛んだり跳ねたりするようになったので、子育て面でもちょうどいいタイミングでした」とご夫妻。また先ほど見た隠れルートはキッチン脇につながっており、いわば家全体が行き止まりのない回遊的な動線で設計されています。
 もともと家づくりを始めたいきさつは、「毎月かかる住宅費が賃貸とほぼ同じなら、将来資産になる持ち家に」、「マンションよりは生活の自由度が高い一戸建てがいいだろう」という流れ。予算内に収まる土地を探し求めて現在の分譲地と巡り合い、購入先の不動産会社から「一度相談してみたら」と紹介されたのが依頼した建築士事務所でした。
「最も良かった点は、限られた予算で私たちがやりたいことを実現するにはどうすればいいか、丁寧かつ柔軟に考えてくれたこと。工事が進んでからも内装材などを選ぶ際には、要望ごとにさまざまなパターンの3Dパースを作成してもらい、分かりやすく説明してくれました」とお2人は振り返ります。


家中まるでワンルーム 広い玄関土間のある家

バランスよく意匠を整えた空間に実用的なアイデアを盛り込む

通りから見たSさん宅のファサードは「和モダン」のイメージ。建物全体を黒白2色のモノトーンで塗り分け、円形にくりぬいた玄関脇の外壁や、土間スペースを覆う穴のない花ブロックがアクセントになっています。
 一方で室内は、空間の広がりを意識して白を基調にしつつ、フローリングには「明るすぎず暗すぎない」色合いを選択。和室の床の間の壁紙は、「リビングに入ったときにパッと目に留まる位置にあるから、第一印象が引き締まるように」とトーンの強い色味を選び、あとは全体のバランスを考えながら、和室の収納部の壁紙や、その他ワンポイントになるデザインを決めていきました。



家中まるでワンルーム 広い玄関土間のある家

 Sさん宅のプラン自体はシンプルですが、一つ一つ細部の造りを見れば、奥さまのリクエストに応えてとても実用的。例えば和室と洋室の間にある収納は、どちらの部屋からも出し入れできる両面仕様。さらに和室側の収納は「存在感をなくしたいから」と取っ手を付けず、ワンプッシュで開閉できる扉を造作しました。またリビングとほぼ一体になったキッチンは、動きやすさを重視し対面ではなく壁付けに。シンク脇には水はね防止用のボードを設置し、その外側にちょっとした日用道具を掛けられるように工夫したのも奥さまのアイデアです。
 新居で暮らし始めて丸一年。「遠い将来は夫婦2人で無理なく生活できるように、当初から過度な広さは求めなかったし、私たちには最適なサイズ。ワンルーム的な間取りだからこそ、ライフステージに合わせた柔軟な使い方ができると思うんです」とご夫妻。最近ではキッチンとリビングの間にカーテンレースを設置し、「これだけで暮らしの印象がガラリと変わる。子どもが大きくなって物が増えてくれば、いろいろな使い方を考える機会がますます増えてくるでしょうね」。
 家族の成長に合わせて住まいの変化を楽しむ、新鮮な毎日が続きます。


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