あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

開放感と“きちんと”が調和するお手本のような家

開放感と“きちんと”が調和するお手本のような家

DATA
設  計: 株式会社 福地組
      担当/棚原
敷地面積: 709.26㎡(約214坪)
建築面積: 126.13㎡(約38.15坪)
延床面積: 116.28㎡(約35.17坪)
用途地域: 指定なし
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2020年12月
建  築: 株式会社 福地組
      担当/高江洲
電  気: 有限会社 丸興電気
      担当/目取真
水  道: 株式会社 ふくエンジニアG
      担当/竹島
キッチン: タカラスタンダード株式会社

ゆとりたっぷりの敷地を活かし、包容力豊かな平屋を実現。一方で、伸びやかな空間を引き立てる整いの美しさや、メリハリを生む空間づくりも特徴的なNさん宅です。

※週刊かふう2022年4月1日号に掲載された内容です。

開放感と“きちんと”が調和するお手本のような家

土地探しの間にプランを磨いたNさん夫婦

 3.6mの高い天井。約26帖もある広々としたLDK。キッチンは回遊性に優れたアイランド型。フルオープンできる大開口窓はタイルテラスと連なり、芝一面の広い庭へ──。まさに絵に描いたような、平屋ならではの光景が展開されるNさんの家は、この春で築1年と4カ月を迎えます。

 土地はご主人のお父さまが所有していた土地で、急勾配の崖地の下。Nさんたちの新居建築にあたり、お父さまのはからいで擁壁工事が行われ、本格的な家づくりがスタートしました。
 設計はご夫婦が「誠意と情熱を感じた」と絶賛する建築家に依頼。「初対面で私たちの理想に賛同してくれて、次にお会いした時は模型まで制作されていたんです」と、当時の出会いの喜びを今のように話してくれました。

 実は土地を決定するまでに6、7年ほど費やしていたというNさんご夫婦。その間も住みよさのためのアイデアや建築に関する情報などを収集し、住まいや暮らし方のイメージを常にブラッシュアップ。結果、新居にはオリジナリティあふれる発想と仕様が随所に活かされ、住み手の想いがくみ取られた家づくりのあり方と魅力を体現した好例となっています。

開放感と“きちんと”が調和するお手本のような家

自然と生じる学びと遊びの切り替え

 プランニングを牽引したのは奥さま。その中で「天井は高く、リビングは家族が集まりやすいように中央に。そしてカフェスタイルのファミリー書斎を設けることを必須としました」と話します。

 書斎はダイニングとキッチンに面して配置され、窓際にはPCカウンターを、左右の壁にはお子さん2人のデスクなどを背中合わせで設置。また、書架は造作で、仕切りは収納物の高さに合わせて構成。見た目もすっきり整い、自ずと学習や仕事に打ち込める良質な環境となっています。
「カフェ巡りが好きなので、家の中にもカフェコーナーがあったらいいなと思って」とこだわりの理由を話し、イメージがしっかり伝わるようにと自ら採寸して手描きデザインを作成したとのこと。見せていただくと、まるでプロの出来栄え。描かれたそのままが目の前に広がっています。

 圧倒的な広さを確保したリビングは、連続して展開される畳間の存在でさらに広く感じられ、その畳間はベンチを設けるなどLDKに溶け込むモダンデザイン。「いずれは仏壇を継ぐので必要性があったわけですが、今は、子どもたちがおもちゃで遊ぶための場でもあるんです」とご主人が話すように、Nさん宅では開放感の中にも自然と“けじめ”が生まれる、メリハリの効いた空間づくりが行われています。それは決して窮屈なものではなく、逆に、家の中にいろんなコーナーがある楽しさ。実際に畳間にはご主人の趣味のけん玉とコマがディスプレイされ、お子さんの作品もここに展示。遊びの要素が集約され、温かみと心地よさを醸しています。

開放感と“きちんと”が調和するお手本のような家

自分たちらしい快適さと楽しさを

 洗面室やバスルームなどの水回りは西側に集約。特筆したいのは「物干し室」が設けられていること。白を基調にした清潔感あふれる空間に昇降式と収納タイプ2種類のバーを取り付け、さらに衣類乾燥除湿機を配置。「アパートに住んでいた時から室内干しが多かったことと、この地域は湿気が高いことから思い切って設備を完備しました」と奥さま。すっきり乾いた後はハンガーに掛けたまま隣接するウォークインクローゼットに収納。「タオル以外は畳まないので家事効率がアップし、すごく気に入っています」と大満足のご様子です。

 ほかにも、湿気対策として住まいの要所にエコカラットを導入。その一部はDIYで施工した箇所もあり、快適に暮らすアイデアが光ります。
 また、家族団らんの場となるLDKと庭は道路側に面するため、玄関アプローチから連続する外構の壁は高く仕上げ、コートハウスを思わせる高いプライバシー性を確保。外部からの視線をしっかり遮断しています。これによりカーテン要らずのすっきり感も実現。広々とした空間はよりクリアな印象に。そこに庭の緑が美しく映え、内と外がつながる気持ちよさを引き立てています。

「家ができてからは、仕事のスピードも向上。少しでも早く帰って土いじりやDIYなど、あれこれしたいと楽しみが増えて」とご主人。奥さまは「心地よくてずっと家にいたいくらい」と満面の笑み。お子さん2人はご主人を巻き込み、近隣に広がる自然の中で虫取りや魚捕りを楽しみ、リビングの一角で大事に飼育。観察コーナーを思わせる演出に、Nさん宅らしい心の豊かさを感じました。

写真ギャラリー

設計・施工会社

嘉手納町水釜112番地

開放感と“きちんと”が調和するお手本のような家

目指したのは、開放性とプライバシー性の美しい融合。
空間のメリハリは気配として感じられるまでに昇華。

住まい手の思いを真摯に受け止め 建築士とインテリアコーディネーターが中心となりチームで取り組む。

一級建築士 棚原彰悟さん(右)・インテリアコーディネーター 知花真澄さん

 Nさん家のケースは、私たちが普段から理想としている「施主さまの想いをくみ取った家づくり」でした。空間に暮らしを合わせるのではなく、暮らし方に合った住まいを求め、特に造作や家具の配置に関係する箇所はセンチメートル単位でのご要望があり、こだわりの理由もしっかりともっていらっしゃいました。広い空間をよりすっきりと見せることはもちろんですが、ひいては家事効率の向上につながり、時間にも気持ちにもゆとりが生まれ、我が家や暮らしをもっと楽しめるというストーリがあったのです。作り手としてもぜひ叶えたく、何度も会話を重ね、実現に向けてチームで取り組みました。
 内装やインテリアも同様に、使い勝手や性能まで奥さまと検証し、心から満足いただけるプランとなったことをうれしく思います。

 設計上の核となったのは、開放性を維持しながら外部からの視線を遮り、なおかつ庭という外部空間をより有効に活かす連続性の創出です。プランとしては庭ごと壁で囲んだコートハウススタイルを採用していますが、壁の存在が外部を切り離さないように、また、圧迫感を与えないよう、高さ設定には細心の注意を払いました。併せて、リビングの大開口窓は割れにくい合わせガラスを採用し防犯性を高めています。また、リビングは南向きなので直射日光を遮るよう、テラスの庇は深めに計画。テラスも熱を含みにくいタイル仕様で、清掃の容易さも兼ね備えています。

 Nさん宅では、空間にメリハリを生む手法の1つとして、フローリングの色を3色で展開。LDKは明るく温かみのある色を、主寝室とファミリー書斎は落ち着いたダーク系に、子ども部屋やウォークインクロゼットはアイボリー系を用い、壁紙は床の色を基調にコーディネートしています。他にも、照明の陰影や天井の高低差など複合的な手法と合わせて、主張しすぎない表情の変化を目指しました。
 統一感をもたせながらも時やシーンに合った心地よさの創出と、洗練された奥さまの感性にお応えできたことは私たちの喜びでもあります。

このカテゴリの記事