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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

切り拓いた山の頂に建つ 全室オーシャンビューの家

切り拓いた山の頂に建つ 全室オーシャンビューの家

DATA
設  計: アイムホームデザイン
     (担当:仲順裕二)
敷地面積: 2696㎡(約815.5坪)
建築面積: 235㎡(約71坪)
延床面積: 374.5㎡(約113.2坪)
用途地域: 未指定
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
      2階建て
完成時期: 2020年2月
施  工: 株式会社 アイムホーム
電  気: 合名会社 オールシステム
水  道: 有限会社 雅建設工業
キッチン: Panasonic

海岸線近くから続く斜面地一帯を購入し、夫婦と子ども2人が住む2階建ての新居を頂付近に建築。今年は屋外プールを造成し、自慢の眺望がより魅力的なものになりました。

 

週刊かふう2022年12月16日号に掲載された内容です。

切り拓いた山の頂に建つ 全室オーシャンビューの家

1、2階すべての部屋を海に向かってレイアウト

 敷地はまるで山。Bさん宅が建つのは、海岸線近くにそびえる丘の頂上付近。眼下に東シナ海を見渡す開放的なロケーションを生かし、ゲストルーム2室を含む1、2階のすべての部屋が海側に大きく開いています。
「海の眺望を求めて本島内を巡り、ようやく探し当てた土地。計画当初から、全室オーシャンビューの家をつくりたいと考えていました」と奥さま。新居から100m以上アプローチを下った先までBさんの敷地が続くため、自慢の眺望が将来にわたって担保されるという安心感もあります。

 集いの場であるLDKは1階に、主寝室と2つの子ども室は2階にそれぞれレイアウト。外国籍のご主人の生活スタイルに合わせて、居室に限らず廊下や水回りなどあらゆる空間がボリューミーにデザインされており、さながら海外リゾートの雰囲気が漂います。また建物海側には日よけを兼ねたベランダが併設し、1階はセカンドリビングとして、2階は気軽にリフレッシュできる場所として、毎日の暮らしにゆとりを与えてくれます。

 海とは反対側に回り込めば、敷地の最頂部は目と鼻の先。「最初は山のてっぺんに家を建てるつもりだったんですけどね」と振り返りますが、アプローチの取り方・眺望・地盤のバランスを考えれば、ベストの立地であることは納得済み。Bさんの要望をかなえるために、建築会社のスタッフ全員が知恵を絞り、実用面・技術面からも適切にサポートしてもらえたことが、依頼先選びの決め手になりました。裏の斜面には階段を整備しており、山頂まで簡単に登ることができます。

切り拓いた山の頂に建つ 全室オーシャンビューの家

家事効率に優れた生活動線。今年は屋外プールを造成

 ガレージを除いた床面積は約110坪。数字から受ける広大な印象とは裏腹に、「家事動線がコンパクトにまとまり、生活のしやすさは想像以上」でした。1、2階ともに、居室に沿って南北に貫通する廊下が生活動線の役割を担い、例えばキッチン脇にある戸を開ければ、パントリーやユーティリティーとの間を楽々と行き来できます。またフロアの南端にあるゲストルームには廊下を挟んで水回りスペースが併設し、普段は主に子どもたちが使いつつ、来客時はゲスト専用にできるので、お互いに気を遣うことなくゆっくりと宿泊してもらえます。

「LDKは40畳以上の広さがある大空間ですが、廊下に面した戸を閉めておくだけで、他からは完全に独立したスペースになる。プライベートな部分が一切見えないので、ゲストをおもてなしする傍ら、他の家族はいつも通りの過ごし方ができます」。夏のエアコン使用時は、冷房効率の面でも効果的です。
 視線の抜け感がよい開放的な間取りにも関わらず、あちこちに居場所があることは、思いがけない発見でした。日常的な食事の際も、「前菜は夕日を見ながらベランダで、主食はダイニングでゆっくりと、そして食後はリビングで団らんするといった具合に、その時々の気分に合わせて楽しんでいます」。

 住み始めてから2年が過ぎ、今年はかねてから計画していた屋外プールの工事に乗り出しました。新築時同様、建築会社のアイデアを借りて条件を精査し、ダイニングから2メートルほど下がった位置にインフィニティプールを造成。自身が関わった完成までのプロセスが隠し味となって、目の前の眺望に目に見えない豊かさ・奥行きなどがプラスされています。

写真ギャラリー

切り拓いた山の頂に建つ 全室オーシャンビューの家

実用性・安全性を担保し、最高の眺望を確保
厳しい条件・要望を確かな技術で克服する

代表取締役社長:三家本真大さん(中央)
設計部次長:仲順裕二さん(右)
インテリアコーディネーター・IC企画課課長:松田和歌奈さん(左)

 初めて計画地を訪れた日のことは今でもよく覚えています。Bさんに案内され、目の前に現れたのは、丘の中腹から頂まで広がるまさに「山」。果たしてこの広大な斜面地のどこを建設地とすべきか、皆目見当がつきませんでした。

 Bさんからの要望は「見晴らしの良い土地の魅力を最大限に生かすために、山頂に家を建てたい」というものでした。しかし麓の公道から敷地内にアプローチを引き、車で上っていって山頂のガレージに収めるには、実際の傾斜を考えるとかなり無理があります。そのため海の見え方を常に確認しながら、山頂付近の基礎地盤調査をして支持層を決定し、緩やかなカーブを描くようにしてアプローチをデザインしました。

 全体的なプランの考え方としては、毎日の暮らしの中に眼下の眺望を取り込めるようにすべての居室を海側に並べて、水回りや収納は山手側に集約。1階はLDKをメインに据えてパブリックなフロアとし、2階はプライベートスペースとして主寝室と子ども室を配置しました。また南北に抜ける廊下は単なる通路ではなく生活動線と捉え、家事負担が少なくなるように、Bさん一家とゲストがともに快適に過ごせるように、それぞれの位置関係を決めています。

 デザイン面では、ご主人が望む「シンプル・上質・開放感・ボリューム感」といった方向性を軸にコーディネートしていきました。空間が冗長にならないように意識しながら、配色は極力減らして全体を落ち着いたトーンに抑え、階段や手すりには視界の広がりを損ねない部材を選定。3DCGで繰り返し建築パースを作成してイメージを共有するとともに、床タイルなど一部の素材は、色味に加えて質感にもこだわりました。

 屋外プールの造成工事では、新築時同様に、全神経の集中を要する作業が続きました。プールの水面と水平線が重なって見えるのがインフィニティプールですから、建築中に少しでも傾いたり、経年とともにゆがみが生じないように、高度な施工精度が要求されます。結果的にはダイニングから2mほど掘り下げた位置に良質な地盤を発見し、支持層を決定。Bさんが求める見え方・使い方にかなった、上質なプールに仕上げることができました。

設計・施工会社

北谷町桑江251-2

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