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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

2世帯住宅へ建て替えて、それぞれにフィットする空間へ

2世帯住宅へ建て替えて、それぞれにフィットする空間へ

DATA
設  計: 株式会社新洋
     担当/上原邦広(一級建築士)
敷地面積: 172.66㎡(約52.22坪)
建築面積: 77.24㎡(約23.36坪)
延床面積: 1F 73.51㎡(約22.23坪)
      2F 72.45㎡(約21.91坪)
用途地域: 第一種低層住居専用地域
構  造: 木造
完成時期: 2021年1月
建  築: 株式会社 新洋
      (担当/西野義宏、山城豊)
電  気: トーマ電工
     (担当/當間敏夫)
水  道: 金田設備
     (担当/金田宗和)
キッチン: タカラスタンダード
     (担当/美里幸希)

1階はSさんのご両親、2階は趣味を堪能する若夫婦が暮らす2世帯住宅。 一つの家で、異なるライフスタイルが見事に調和する住まいに、変化していく人生を謳歌する秘訣(ひけつ)を発見しました。

週刊かふう2022年4月8日号に掲載された内容です。

2世帯住宅へ建て替えて、それぞれにフィットする空間へ

実家の建て替えを機に地盤改良も実行

 Sさん夫妻がマイホームについて考え出した頃、まずはいろいろな建築会社の作品を見てみようと、完成見学会に出掛けたと言います。
「その中で、知人からの紹介で訪れた新洋の見学会に2世帯住宅があり、無垢材を使った木造住宅が持つ温かみのある空間や、スムーズな動線に配慮した間取りに魅力を感じました」とSさん。
 当初は鉄筋コンクリート造を希望していたSさん夫妻ですが、株式会社新洋の営業担当・崎濱秀作さんから同社の木造住宅について詳しい説明を受けるうち、台風時の揺れやシロアリに対する懸念が払拭されたとのこと。30年という長期保証にも同社の自信と信頼性を感じ、Sさんの実家を2世帯住宅に建て替えることにしました。

 建築工事の前に敷地の境界を整理したり、地盤調査も行いました。その結果、地盤の強化が必要となりパイルを打ち込むことに。
「予想外の出費でしたが安全のためですし、後々の安心のためにも良かったと思います」

2世帯住宅へ建て替えて、それぞれにフィットする空間へ

スムーズな動線と“推し”で満たす日々

 玄関を共用して内階段で世帯をつなぎ、1階は車いすを利用するお父さまの利便性に配慮して段差を少なくし、廊下を広めに取るなどの工夫を凝らしています。間取りをほぼ同じくした2階は、Sさん夫妻の趣味を最大に楽しめる造作家具などで仕上げました。

 壁沿いに手すりが設置された階段を上り2階へ着くと、足裏の感触が心地よいことに気づきます。
「2階のフロア材は、表面におうとつのある浮造り(うづくり)に仕上げた杉材を柿渋で色付けし、ミツロウを塗っています」と説明する奥さま。
 仕切りのないLDKは広々とした空間。ダイニングの天井は開放感を演出するため、キッチンやリビングに比べて15センチメートル高く取りました。むき出しになった梁をカバーするように耐火性に優れた建材で覆い、空間に豊かな表情を添えています。

 南側に大きな開口部を取ったリビングは、床にも埋め込み式のコンセントを設置。ソファに座りながらパソコンを操作するなどのデジタルライフに寄り添う設備を採用しました。Sさん夫妻はお気に入りアーティストのライブ映像を大型画面のテレビで鑑賞することを楽しみにしています。そのため、テレビやアーティストのオリジナルグッズなどをピッタリと収納できる寸法でテレビボードを造作してもらいました。
 その延長線にカウンターデスクを造作して書斎コーナーとしていますが「ここは『趣味部屋』です」と共に笑う夫妻。壁一面のマグネットボードに、大きなポスターなどがディスプレーされています。ちなみに、キッチンにはスピーカー内蔵の照明を採用し、お気に入りの音楽をいつも流しているそうです。

 コーヒーマシンを3台所有するほど凝っているため、ダイニングに設えた造作家具もコーヒーを楽しむためのアイテムをすっきりと収納するサイズにしました。家具や梁を深い色で統一しているため、お気に入りグッズがたくさんあっても空間に落ち着きや居心地の良さが生まれています。

2世帯住宅へ建て替えて、それぞれにフィットする空間へ

安心のオール電化は家計にもやさしい

 Sさんはご両親の年齢も考慮して、安全性に優れたIH調理器具を選択したとのこと。食器洗い乾燥機を設置したことも家事の軽減につながっているそうです。太陽光発電システムと蓄電池を採用したおかげで1階で使う電気は賄えて、蓄電池の電気がなくなるタイミングがほぼ深夜電力に切り替わる時間でもあることから、オール電化はトータルとして節約に貢献していると言います。断熱性に優れた複層ガラスと樹脂サッシも省エネに一役買っています。
「入居から1年が過ぎましたが、リビングやダイニングでくつろぐ時間が多いですね」と話す奥さまに、わが家としての居心地の良さに満足している様子がうかがえました。

写真ギャラリー

2世帯住宅へ建て替えて、それぞれにフィットする空間へ

クライアントの希望に機能やデザインを添えて
いきいきと輝くライフスタイルをサポート。

株式会社 新洋/上原邦広さん(一級建築士)

 今年70周年を迎える株式会社新洋は自らが手がける設計・建築にとどまらず、他の企業へ建材や資材を供給する総合建築会社として発展してきました。鉄筋コンクリート造や木造などの構造を問わず、クライアントが希望するお住まいに適した構造や工法、設計などのプランニングを提案し、建築までトータルにサポートしています。

 Sさん邸では事前に行った地盤調査により、小規模建築物を対象とした杭状地盤補強「ピュアパイル工法」で地盤を強化しました。
 2世帯としての設計プランニングでは、ご両親が暮らす1階に特に配慮しています。駐車場から玄関にかけて続くなだらかなスロープ、車いすもラクに通せる玄関や室内の扉の広さ、廊下の幅、トイレや浴室、段差のないバリアフリーのフロアなどを心がけました。木造住宅では、耐震性を維持できる柱の間隔のピッチ調整が難しいのですが、Sさん邸では広めに取りつつ耐震性もクリアしたご提案ができました。

 木造住宅というと耐久性を気にする方が多いと思いますが、当社ではシロアリに強く腐朽しにくい骨格材「緑の柱」を土台から屋根の下地材にまで採用し、高温多湿の沖縄でも長期保証を実現しています。木材と木材の接合部分を固定する金物には、高い強度と腐食や塩害にも耐久性に優れた製品を採用。また、筋交い部分に制震ダンパーを組み合わせているので、地震や台風などの強風による揺れを逃して住まいを守ります。

 2階では、Sさん夫妻のお気に入りアーティスト・アイテムや音楽で暮らしに彩りを添えたいとのご希望を受けて、大型画面のテレビ、アーティストのロゴが入ったトレーラーのミニチュアに合わせたテレビボードや、コーヒーマシーンやカプセルを収納する棚を造作しました。リビングの収納棚の1つは、下部にロボット掃除機のホーム用にあらかじめ空間を空けています。当社では独自に家具・建具などの木工製品を製造する部門を備えており、また資材の供給会社という側面から、豊富な木材から選べる造作家具をご提案・ご提供しています。ダイニング天井の梁は耐火性のある素材でカバーし、結果的に広々とした空間のアクセントとなるデザインに仕上がりました。

 車いすでのスムーズな動線をご希望のご両親、ご趣味を生かしたインテリアをご要望の若いSさん夫妻。どちらにもライフスタイルを大切にした暮らし心地をご提案できた好事例でした。

設計・施工会社

浦添市西原5-7-1

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