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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

母の想いを受け継いだ 美しい眺望と中庭がある住まい

母の想いを受け継いだ 美しい眺望と中庭がある住まい

DATA
設  計: Style Create
      (担当/上江洲峰子)
敷地面積: 303.19㎡(約91.71坪)
建築面積: 173.90㎡(約52.60坪)
延床面積: 176.88㎡(約53.50坪)
用途地域: 第二種低層住居専用地域
構  造: 鉄筋コンクリート造
完成時期: 2020年5月
施  工: 有限会社 秀林組
      (担当/松田)
電  気: 和電設(担当/志喜屋)
水  道: 有限会社 名設
      (担当/知名)
キッチン: パナソニック(担当/山城)

東シナ海まで見渡せる高台に、亡きお母さまの夢をかなえたMさん邸。
住まい中央のパティオを囲む回廊は暮らしの利便性を高め、デッキテラスの外に大きく広がる風景が、日々の豊かさを物語る。

週刊かふう2022年9月23日号に掲載された内容です。

母の想いを受け継いだ 美しい眺望と中庭がある住まい

母が決めた場所に長年の夢を実らせて

 内陸にありながら、見下ろす街の向こうに東シナ海まで視界が開けた高台。約92坪の広々とした敷地を存分に生かした平屋造りのMさん邸は、亡きお母さまが20年以上も前に購入を決めた場所に建っています。

「この眺望をすっかり気に入った母が2世帯住宅を建てる予定で買い求めたものの、建築費用の都合が付く前に他界してしまいました」と、お母さまの住まいに対する思い入れや、自身のマイホームにかける熱い想いを語るMさん。興味のあることはとことん探求する性格から、建設に取りかかるまでの長い年月をかけて、住まいづくりや建材などについて知識と見聞を深めていったといいます。

「こだわりの一つが床材で、バーチやアカシヤの突き板という新しい建材を選びました。ベニヤ下地にスライスした天然木を貼り合わせたもので、しっとりとした天然木の“照り”が見た目に美しく、足裏は優しい感触。また湿度や温度による収縮がほとんどないという特性を持ち、コスパにも優れています」と、うれしそうに話します。

 そのほかにも随所で豊富な情報を詳しく説明してくれ、Mさんが心から楽しんで住まいづくりに取り組み、その結果に満足している様子が伝わってきます。

母の想いを受け継いだ 美しい眺望と中庭がある住まい

明るいパティオの回りに各室を配置した回遊動線

 焼き杉板を転写した打ちっぱなしのヒンプンやアクセントに加えた外壁の加工、クルマ好きなMさんの趣味を反映した広い駐車場など、シャープなフォルムが風格を物語るファサード。ポーチを抜けて玄関ドアを開くと、正面に明るい光が降り注ぐパティオが現れます。

「中庭のある造りも、母の希望でした」と回想するMさん。
 シマトネリコの葉影が涼しげなパティオの周囲に廊下を巡らせ、ミニキッチン付きのお父さまの居室、成長に合わせて仕切り方を変えられる子ども室、ハイサイドライトから優しい光が差し込むLDK、モダンに仕上げた和室をレイアウト。そして、ぐるりと周回できるようランドリースペースや洗面所、トイレ、バスなどを配置した回遊型の動線が、住まいの中の移動や家事をラクにしているとのこと。

 回遊型といえばアイランドタイプのキッチンとDKを行き来するラインや、キッチン横の主寝室からウォークスルークローゼットを抜けてサニタリースペースへ移動できるラインもあり、三つの回遊型動線が豊かな暮らし心地を支えています。
「ファーストプランではペニンシュラタイプだったキッチンですが、動線を考えてアイランドタイプへ。その際キッチン周りの通路幅を確保するために、壁の位置を外側へ20センチメートル移動するよう設計へっこうしてもらったんですよ」と笑うMさん。その徹底したこだわり具合に驚くエピソードでした。奥さまも「おかげで使い勝手がよいです」とほほ笑みます。

 この話を聞いているとき、下のお子さんが玩具用カートで家中をサーキットのように周回走行! 広さと回遊型動線のおかげで、“おうち”がお気に入りの遊び場となっています。

母の想いを受け継いだ 美しい眺望と中庭がある住まい

クロス種類は通常の3倍。カラートーンを揃えて全体の調和を図ろう

 リビングの壁一面に造作した棚の後方は、少し間を空けて電化製品のコードを通せる工夫がなされ、TVボードと在宅ワーク用デスクの色やデザインイメージを揃えて一体感を演出。モノは多くとも細部まで心をくばったアイデアが、すっきり整った空間という印象を与えます。
「例えばランドリーの壁紙は3種類使っていますが、石調の床材も含めてトーンを揃えるとまとまりが生まれます」と、インテリアのコツをアドバイスいただきました。Mさんたちは参考イメージとしてホテルや商業施設のインテリアを取り入れたとのこと。

 お母さまの夢をベースに、じっくりと時間をかけて家族の笑顔が輝くマイホーム像を具体化し、住まいの知識や理解を深めたMさん一家。それだけに愛着と居心地のよさも格別のご様子でした。

写真ギャラリー

母の想いを受け継いだ 美しい眺望と中庭がある住まい

クライアントのニーズに寄り添いつつ
それぞれのご家族の個性で彩る住まいを

上江洲 峰子さん(スタイルクリエイト 一級建築士事務所)

 私たちスタイルクリエイト一級建築士事務所が大切にしているのは、クライアントが住まいに抱く理想や希望に寄り添い、ニーズをくみ取って実際のカタチへと具現化することです。そのためにはコミュニケーションを重ねる中から、何が求められているか抽出することを心がけています。

 その点、Mさんはご自身のニーズをかなり明確に捉えていました。眺望に恵まれた高台のロケーションを存分に生かすこと、この地にかけたお母さまの夢を実らせること、その上でMさん一家の嗜好などを取り入れた住まいを創造することです。

 具体的には、お母さまがぜひ欲しいとおっしゃっていたというパティオ(中庭)を設け、眼下に広がる景色を眺めるにふさわしいデッキテラスやリビング、「ヒンプン」を玄関の前に設けることなどでした。

 当初は2階建てをご希望でしたが、せっかくの敷地の広さを生かした平屋のプランも私たちから別案としてご提案しました。日々繰り返される暮らしを考えると、家事労働の負担を軽減するためにも将来にわたって使い勝手がよいとプレゼンテーションした平屋のプランを受け入れていただき、大変ありがたく思っております。

 細かい点になりますが、造作したリビングの大きな収納棚やTVボード、カウンターデスクは、オーディオ機器やパソコン周辺機器の配線が見えないように収めるための工夫を凝らしました。

 またMさんは勉強熱心な方で、使用したクロス(壁紙)の種類は一般的な住宅の約3倍にもなります。一つの空間に2〜3種類を組み合わせても統一感があり、色選びや質感のコーディネートがとてもお上手だと思います。
 
 敷地は3方が道路に面しているので、通行人などの視線が届きそうな高さに位置するお父さまの居室には、テラスの外側にルーバーの目隠しを取り付けました。光や風は確保しつつ、人目を気にせずゆったりと過ごすことができると喜んでいただいています。

 一般に、予算に関しては実際の金額を開示したがらない方もいらっしゃいますが、専門家である私たちと資金のかけどころを相談の上、ご満足いただけるマイホームを手に入れていただければと考えます。

設計・施工会社

Style Create(スタイルクリエイト) 有限会社秀林組

TEL:098-934-7338https://www.stylecreate.net

TEL:098-934-7338https://www.stylecreate.net

沖縄市美原1-5-23 2F

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