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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

末長く愛せる家で親子の夢を継いでいく二世帯住宅

末長く愛せる家で親子の夢を継いでいく二世帯住宅

DATA
設  計:  株式会社りーふ
     (担当/大木聡)
敷地面積: 423.13㎡(約127.99坪)
建築面積: 113.93㎡(約34.46坪)
延床面積: 199.01㎡(約60.2坪)
用途地域: 第一種低層住居専用地域
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2023年6月
建  築: 株式会社 りーふ
     (担当/大木聡)
電  気: 野原電気空調
     (担当/野原光夫)
水  道: 株式会社 第一設備
     (担当/新垣真一)
内装大工: 鳥越内装
     (担当/鳥越拓人
      建築大工一級技能士)

一つ屋根の下、上下でつながり合う二つの世帯。
住みよさに笑みがこぼれ、光と風にやすらぎ、全員集合の賑わいに心もほっこり。

週刊かふう2023年12月1日号に掲載された内容です。

末長く愛せる家で親子の夢を継いでいく二世帯住宅

フェミニンとスタイリッシュが融合

 新たな街づくりが進む読谷村内の一角。3面道路の開放感あふれる角地に建つ家は、外壁の一部が全面杉板コンクリート。見応えのある佇まいです。 

 駐車場から2階に上がればKさん家族が住む子世帯。アプローチを通って表に回れば、Mさんのご両親と妹さんが住む親世帯。外階段を介してつながり合う完全分離型の二世帯住宅ですが、1・2階のプランはほぼ同じ。仕様の一部と居室の用途が異なる以外は共通の間取りで展開されています。けれども1階は庭の、2階は空のと、それぞれに自然の彩りと開放感があり、独自の気持ちよさをたたえています。

 邸内はRC造ながら木の印象が際立ち、壁や天井の白と相まって優しい雰囲気に。そこにシーリングファンやレール照明の黒がアクセントとして加わり、洗練されたスタイリッシュな1面も魅せます。

末長く愛せる家で親子の夢を継いでいく二世帯住宅

男性陣の夢も女性陣への配慮も実現

 南向きの大きな間口から悠々と陽光を招くLDKは、外との一体感も感じられる爽やかな空間。特に1階はすぐそこまで芝生の庭が迫り、生き生きとした空気感を立ち上がらせています。
 縦長レイアウトのLDKに面して3つの居室を配置。西側に集約した水回りへ廊下を設け、奥行きのある重厚感も見てとれます。
 奥さまとお母さまが口をそろえて「家事に便利な造り」と紹介したのは、キッチンの背後に位置する干し場とランドリールームのセット。
「洗い終えたらすぐに干せるし、どこからでも取り込むこともできるんです」
 その干し場を活かし、キッチンに窓を取り付け、採光と風通しを叶えているのもポイントです。「シューズクローゼットも同様に間口が2つがあって使いやすいし、履物を収めながら入ってくるので玄関はいつもすっきり」と嬉しそうに話すお母さま。快適な暮らし心地が伝わってきます。

 以前は実家近くのアパートに住んでいたMさんファミリー。「共働きなので、子育てをよりサポートしてもらいやすいように」と二世帯住宅を選択。ご両親も喜んで賛同されたそうです。
 Mさんが目指した家は「ともかく庭があること」。「幼少の頃から野球をやっていて、家ではコーチを務めていた父が練習相手でした。その経験を今度は僕が子どもたちに与えたい」と思いを明かし、「父も孫との練習を楽しみにしています」と笑顔を見せます。さらに「チームの仲間でよくBBQをしていたので、ここでもできるように」と、楽しい思い出も継いでいきたいと話してくれました。

末長く愛せる家で親子の夢を継いでいく二世帯住宅

快適な暮らし心地を何十年先までも

 夢の実現を託したのは、Mさんの仕事を通して知り合った建築家。日頃から作品を見る機会が多くあったそうで、デザインの方向性などがMさん夫婦の感性にも合っていたことから「ここ1本で決めました」。
 決定打になったもう1つの理由は、住まいの品質を末長く保つための仕様です。クローゼットなどの収納空間と居室の一部には、調湿に優れ消臭効果も高い、自然素材の塗り壁材・EM珪藻土を施工。奥さまいわく「湿気のこもり感が一切感じられず、夏は特に効果を実感しました」。また、室内の木部は自然健康塗料で知られるリボスオイルを塗装し、木の調湿性を損なうことなく強度を向上。長持ちするだけでなく経年によって木の風合いが増すそうです。他にも、外観の美観と躯体の耐久性アップを両立する施工など、多面的に取り組まれています。

 完成から約半年、今の心境をうかがうと「日中は太陽と風を感じて気持ちいいですし、夜は照明の演出が素敵で。1日中家にいるのが楽しくて」と顔をほころばすお母さま。その笑顔を囲むように、元気にはしゃぐお子さんたちと、一緒に遊び見守るMさん夫婦と妹さん。永遠のぬくもりを思わせる優しい時が流れていました。

写真ギャラリー

末長く愛せる家で親子の夢を継いでいく二世帯住宅

景観の一部になることを自覚して外観・外構にもこだわりを
住まいの内外から「きれい」を保ち、長寿命な住まいを目指す

強固な構造体でありながらデザインの自由度が高いRC造の魅力に、木や自然素材が導く「健やかさ」をプラス。
日常のひと時に寄り添い、次世代の暮らしにも思いを馳せる家づくり。

株式会社りーふ 代表取締役:大木 聡さん

 計画地はいわゆる新興住宅地。初めて敷地に足を運んだ時、真っ先に心動かされたのは空の大きさ。見上げていると自然に建物のイメージが湧き上がり、庭を駆け回るお子さんたちの姿も脳裏に描いていました。

 三面道路の角地は開放感に恵まれると同時に、見られる面が多いという課題も伴います。そのため今回は特に外観の意匠も重視。東側の外壁は、質感があり周囲の自然環境とも相性の良い杉板打ち放しコンクリートで仕上げ、シンプルなフォルムでありながらメリハリのある表情を創出。杉板打ち放しコンクリートには、美観の維持と躯体の保護に貢献するガラス質の塗装を用いています。また、エッジの効いた直線美を損なわないよう、室外機や配管などは表から目につきにくい坪庭スペースに集約。加えて、要所に設けた植栽には雑草対策として防草シートを施すなど、住まいが生み出す景観づくりにも注力しました。

 私たちが目指す二世帯住宅のテーマは「程よい距離感」です。つながる安心感をベースに、それぞれの生活リズムやライフスタイルも大事にした家と暮らし方。今回のケースはご両親も元気でいらっしゃって活動的であることから、ファーストプランの段階で外構から2本の動線を持つ完全分離型で提案しました。
 上下階の空間構成を同じにすることでコストコントロールがしやすく、通風・採光プランなど土地のポテンシャルを最大に活かした住みよさををどちらも等しく享受できるメリットがあります。間取りは変えずステージを変える発想で、1階の和室と主寝室は、2階では子ども部屋2室になっています。 

 暮らし心地を高める工夫の1例として、リビングから家事の光景が見えないようキッチンの腰壁を高く造作したことが挙げられます。このプランはお母さまもすごく賛同され、くつろぐ時は心からくつろぐ暮らしを満喫されているようです。照明にもこだわり、例えば天井には目線を受ける位置に温かみのあるオレンジの灯りを用いています。日が落ちて帰路から我が家を見た時、優しく美しい明かりが灯り、いい感じだなあと気持ちよくなり、家に入ればやっぱり心地いいなあと思えるような、幸福感につながる照明プランを常に目指しています。

 私たちの家づくりでは内装に木を多用し、建具や造作家具は腕利きの大工職人が担います。その木の性能を長く活かしながら見た目の美しさを深めるためにドイツリボス社の「健康塗料」を使用しています。お客さま自身で塗り替えのメンテナスが必要ですが、作業は簡単ですし、何よりご自身で手を施すことで愛着が深まります。 

 健やかさが末長く続く躯体と空間、流行に左右されない普遍的なデザイン、美しさを長く保つ丁寧な仕立て。これらは、設計から施工まで一貫して手掛ける弊社だからこそ実現できるものだと自負し、Mさまの家も50年、100年と笑顔が継がれるよう願いをこめて担当させていただきました。

設計・施工会社

宜野湾市伊佐3-9-18

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