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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

家中に視線が 真っすぐ伸びる リズミカルな 外観の明るい箱

家中に視線が 真っすぐ伸びる リズミカルな 外観の明るい箱

DATA
家族構成:夫婦、子ども1人
所在地:読谷村
設計:株式会社建築工房亥(担当/伊佐強)
敷地面積:373.17㎡(約112.88坪)
建築面積:141.17㎡(約42.70坪)
延床面積:120.20㎡(約36.36坪)
用途地域:未指定
構造:鉄筋コンクリート造2階建て
完成時期:2017年10月
建築:有限会社仲真組
電気:合同会社屋宜電気工事
水道:有限会社ライフ工業
キッチン:有限会社 ファイン

ご主人、奥さまそれぞれの「推し」の建築士が偶然一致し、用意していた110坪強の敷地を使って家づくりを始めたSさんご夫妻。細長い敷地形状に沿って直線上に居室が並び、上にも横にも視線が抜ける開放的な平屋の住まいが出来上がりました。軽やかでリズミカルな形状の外観デザインも特徴です。

家中に視線が 真っすぐ伸びる リズミカルな 外観の明るい箱

外観はリズミカルに。室内は明るく開放的に

 メインコンセプトは「5つの箱」。通りに立ち外観を眺めると、トンネルのようなアプローチから敷地奥に向かって、南面の庭に大きく開いたコンクリートの「口」が段々に連なっています。
「家全体が宙に浮いたようなデザイン。圧迫感がなくやわらかな印象になるように、建築士さんと相談してイメージを形にしてもらいました」とご主人。日が暮れて足元の照明がともりライトアップされると、浮遊感が一層際立ちます。
 軽やかでリズミカルな形状の外観に対し、室内は視線の抜けがよく開放感でいっぱいです。先ほど見た「口」が段状になっていたのは、LDKにロフトがある分だけ、和室や他のスペースより天井が高いから。窓の外には斜面状に整備された庭を望み、「すぐ上にあるのが私の実家。新築後に父親が造園し、滝もある和風庭園になりました」。
 Sさん宅が完成したのは3年前。家づくりの準備には結婚後早々に取りかかり、「目を肥やすために」とモデルハウスを巡って意思を共有し、子どもが生まれるのを機に本計画に着手。県内の建築家の作品を集めた書籍を買い、お互いそれぞれに順位を決めて発表し合った結果、「偶然にも一位が同じ建築士事務所だったんです」。協議はめでたくそこで打ち切り。すぐさま相談希望のメールを送り、本格的に打ち合わせがスタートしました。
 マイホーム用に用意していた土地の広さは110坪強。西側道路に面して東西に細長く、実家と接する南側斜面はただの崖の状態でした。建築士との顔合わせ前には夫婦で再度意見のすり合わせを行い、新居でかなえたいことをまとめた「希望リスト」を提出。そして後日、提案されたファーストプランはほぼすべての項目を網羅しており、それが現在のSさん宅の原型になりました。

家中に視線が 真っすぐ伸びる リズミカルな 外観の明るい箱

戸一枚で公私をゾーニング。トップライトで水回りも快適

 Sさん宅の平面形状は敷地に沿った細長い長方形。間取り・動線も東西のラインを軸に組み立てられており、キッチン脇の戸を公私の境として、手前の玄関側に和室とLDK、奥に個室と水回りがそれぞれ配置されています。戸を開ければ室内全体が直線上につながり、和室から最奥部の家事室まで真っすぐに見通せます。
「住み始めたのがちょうど子どもがハイハイを始めた時期。家の中を行ったり来たり、運動させるには最高の環境でした」と奥さま。逆に戸を閉めるだけで公私を分離できるので、来客時もプライベートな生活は保たれます。
 LDKは気積が大きくオープンな空間でありながら、キッチンとLDの天井高に差があったり、和室が小上がりになっていたり、メリハリがあることもポイントの一つ。セパレート型の対面キッチンは「細長い間取りだけにどの向きがベストなのか」を再三検討し、正面に庭を望む現在のポジションに落着しました。「室内全体を見渡せる上にちょっとしたおこもり感があるし、庭も見違えるほどきれいになったので、この位置で正解でした」。インテリアは白を基調にした清潔感のある雰囲気に仕上げつつ、アクセントとしてキッチンにはネイビーを選択しました。

家中に視線が 真っすぐ伸びる リズミカルな 外観の明るい箱

 コンセプトの5つの箱のうち、通りから見えなかったのが個室と水回りです。個室は中央で2室に仕切れる可変式で、「部屋は部屋として広々使いたいから」と収納を廊下にまとめた代わりに、ワンポイントでニッチの飾りスペースを造作しました。また洗面室・バス・トイレにはすべてトップライトを設置し、室内物干しユニットを導入。家事効率がグンと上がり、「わが家の自慢ポイント」の一つになりました。
 実はこの日は撮影用に、リビング脇に仮設した子どものプレイスペースを撤去したのですが、「改めて見ると、こんなに広かったんですねえ」とご夫妻。他にもロフトや個室など、家の中にはまだまだ「余白」があり、「イメージ通りの家ができた」と喜びに浸った新築時から時を経て、これからは住みこなしていく楽しみが待っています。


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