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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

中庭を囲んで 家族が集う。緑を感じ、青空を仰ぐ家

中庭を囲んで 家族が集う。緑を感じ、青空を仰ぐ家

DATA
所在地:那覇市
家族構成:夫婦、子ども2人、愛犬1匹
設計:仲間郁代建築設計事務所株式会社(担当/仲間郁代・比嘉律)
敷地面積:252.79㎡(約76.47坪)
建築面積:125.96㎡(約38.10坪)
延床面積:164.47㎡(約49.75坪)
用途地域:第一種低層住居専用地域
構造:壁式鉄筋コンクリート造2階建て
完成時期:2017年2月
建築:株式会社比嘉組(担当/大城正)
電気:松島電気工事株式会社(担当/竹島寬)
水道:有限会社ライフ工業(担当/高山佳晃)
キッチン:有限会社モブ(担当/照屋涼子)
植栽:プランタドール(担当/新城圭吾)

整然と家が建ち並んだ住宅街で、中庭デッキに家族が集まるような新居のイメージを、建築士の力を借りて実現したTさんご夫妻。中庭や吹き抜けを介して家族の気配が伝わり、家のあちこちに快適な居場所がある理想のわが家になりました。

中庭を囲んで 家族が集う。緑を感じ、青空を仰ぐ家

中庭の緑を望む開放感とプライバシー対策を両立

 Tさんが望んでいた新居のイメージは、緑を身近に感じられる家。「小さいながらも植栽を施した中庭とデッキがあって、そこに自然と家族が集うような暮らしをしたい」との生活シーンを思い描き、完成の2年ほど前から家づくりの相談を始めました。
 購入した土地があるのは、周囲に家々が建ち並んだ住宅街。つまり緑豊かな中庭を眺めるような開放感を求めるには、プライバシー対策は必須。さらに実生活の面から「リビングは吹き抜けにして、2人の子どもたちがどこにいても気配を感じられるように、あちこちに小さな居場所をつくりたい」、「車4台分の駐車スペースを設けて、そのうち2台分はインナーガレージに」等々の要望も加わりました。
 そんなTさんのイメージを鮮やかに具現化してくれた建築士と出会い、設計をお願いするに至ったわけですが、提示されたプランが気に入ったのはもちろんのこと、「過去どの作品を見てもセンスが感じられて、共通の趣味の話で盛り上がるなどフィーリングが合ったから」と振り返ります。以後、打ち合わせを重ねること1年余り。大まかなレイアウト自体は、完成した現在の形態もプラン初期からほぼ変わりなし。南側道路に面した敷地半分は駐車場で、その北側に住居スペースが置かれています。
 中庭があるのは、リビングと和室に囲まれた場所。さらに中庭を望むデッキに沿って、LDKと玄関を結ぶ廊下があり、家の中を移動している最中に、あるいは廊下途中にある洗面室で身支度などをしながら、いつでも緑を感じられるように設計されています。
 要望していたリビングの吹き抜けは、中庭に面して2階までガラス張りになっており、開放感は抜群。いざ暮らし始めてみると、その癒し効果は想像以上のものがあり、「家の中から空を仰ぎ見るような感覚があって、とても新鮮」と感想を口にします。

中庭を囲んで 家族が集う。緑を感じ、青空を仰ぐ家

気配が伝わる安心感。居心地のいい場所があちこちに

 デザイン選びの基準は、中庭が映えることを意識して、「奇をてらわず飽きが来ないように」することを最優先。それでも一つ一つの材料に思いを込めて、建築士と一緒にコーディネートを考えていきました。
 最もインパクトがあるのは、吹き抜けの壁面全体を杉板型枠コンクリート仕上げにしたリビングのテレビ背面。その雰囲気に合わせて他の壁の塗装色を選んだこともあり、木目が入った独特の存在感が一段と引き立ちます。
 シックにまとめた対面式のアイランドキッチンは、奥さまの要望を詰め込んだオリジナル。天板は石目が美しい人造大理石のシーザーストーン、扉部分にはマホガニーの突き板を採用し、背面の壁は左官材の質感に似た塗壁材で仕上げました。
 新居が完成したのは3年前。予期せぬうれしい発見は、「ガレージからリビングまで一直線の動線が、住み手にとても優しいこと」。ガレージと玄関は内ドアで通じており、天候を気にせず出入りが可能。廊下を進めば中庭の緑が感じられ、リビングに入ると視界が縦横に一気に広がり、気持ちのオン・オフの切り替えが自然と促されます。また玄関ドアの位置も「絶妙」で、換気のために開け放しにしても外から家の中は見えず、プライバシーが確保されます。
 狙い通りに居場所もあちこちにできました。例えば2階の吹き抜けに面した一角には、読書・勉強などに使えるように造作のカウンターと本棚で囲まれた空間をつくり、本棚の奥は成長に合わせて柔軟にアレンジできるようになっています。一方で完全に仕切られた個室は、2階主寝室とご主人の書斎のみ。1階和室も独立しているとはいえ、中庭越しにリビングから目が届く位置関係にあるせいか、「子どもたちが好んで過ごす居場所の一つになっています」。
 キッチンでも2階でもどこにいても、気配が伝わる安心感とともに中庭を介して天気の移ろいまでが感じられます。いわば家全体が快適な居場所になっており、Tさんはこれからもその時々で居心地のいい場所を発見し、穏やかな毎日を過ごしていくことでしょう。



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