内と外がグラデーションでつながる2つの離れを抱えた端正な平屋

- DATA
- 設 計: 一級建築士事務所
コバヤシ401.Design room
(担当/小林進一) - 敷地面積: 361.60㎡(約109.38坪)
- 建築面積: 115.83㎡(約35.04坪)
- 延床面積: 94.03㎡(約28.44坪)
- 用途地域: 第一種低層住居専用地域
- 構 造: 壁式鉄筋コンクリート造
- 完成時期: 2023年4月
- 建 築: 株式会社 徳里産業
- 電 気: 株式会社 山空
- 水 道: 株式会社 サイオングループ
- キッチン: TOTO 株式会社
※週刊かふう2026年1月9日号に掲載された内容です。
南北両面の大開口から周囲の景色を取り込む
ディテールまで計算されたシンプルなデザインに、低重心の端正なプロポーション。西原町の住宅街に建つGさん宅は、夫婦2人が暮らす平屋のRC造住宅です。開口部の操作や素材使いによって、敷地の南北に広がる緑地と畑が日常の一部のように感じられ、コロナ禍以降、在宅勤務という働き方を選んだお二人のライフスタイルにも無理なく対応。雨端、アシャギといった沖縄民家の伝統的な要素も踏襲しており、すっきりと整った空間の中には、場所・人・時間に関わる無数の情報が蓄積されています。
「建築士さんの作風が以前から気に入っており、木とコンクリートに包まれたような雰囲気の家にしたいと考えていました。間取りもおよそ私たちには想像できないプランを提案してもらい、一目で気に入りました」とご夫妻は振り返ります。

平面形状は建坪35坪の長方形で、東西両サイドに寝室・収納と水回りをまとめたプライベートな箱が置かれています。その間に大きくLDKがレイアウトされ、周囲の緑を取り込むように、木製サッシのガラス戸が南北両面に並んでいます。リビングの横には小上がりの畳間があり、「ここからの眺めが好き。何気なく腰掛けたまま、窓の外を眺めてのんびり過ごすことがよくありますね」。大開口を介した屋外側は深い軒に覆われたテラスになっており、時間帯や天気によって移ろう陰影が、居心地のよさを増幅させています。

建築作品として専門家から高評価
南側テラスの両脇には、リモートワークに最適な個室が2つ。室内からはつながっておらず、お二人は毎朝テラスを通って「出勤」します。いわばアシャギのような離れ部屋になっており、「会議中などに声を張っても音漏れの心配がないのが一番。お互いに気を遣うことなく仕事に集中できます」。ランチや休憩時も一度屋外へ出ることで気持ちがリセットされ、「持ち帰った資料をダイニングテーブルへ広げて、”残業”することも多々あります」。
内外装はより快適でストレスのない環境を求めて、精度を高めることに注力しました。例えば南北のテラスのタイルはLDKを挟んで目地のラインをそろえたり、板張りをシンメトリーかつ均等に割り付けたり、視線や意識がスムーズに流れるように細部まで徹底。外観にも気を配り、設備類の露出を避けるだけではなく、電線が目に入らないように敷地入り口に引き込みポールを用意するなど、どこから見ても純粋に住宅を鑑賞できる環境を整えました。
完成度の高さは専門家の間でもお墨付き。格式のある建築賞で表彰実績があり、「素直にうれしいですね。理想の住まいを目指し、建築士さんと話し合いを重ねて築き上げた家が、現代の住宅作品として高く評価されたことを誇らしく思います」と笑顔。オープンなお二人の人柄と呼応するように開かれたその空間は、時に親類・友人の集いの場となり、心地よいひとときをおすそ分けし続けています。
写真ギャラリー

建築的な操作で、開かれた空間に濃度をつける
一級建築士:小林 進一さん
コロナ禍によって多様な働き方や住まいの形が議論されるようになった時代を背景に、在宅勤務する共働き夫婦のために設計した住宅です。
敷地は北側道路に間口が接した旗竿地で、南側には長期的に景観が保証された緑地が隣接。一方で北側の畑は借景かつ通りからの目隠しとして利用できると考え、敷地中央に開放的なLDKを据えて、南北に視線と風が抜けるオープンな空間を創出しました。また室内外をつなぐ緩衝帯として深い軒に覆われた雨端スペースを設け、空間の濃度がレイヤー状に展開していくように計画しました。その中で周囲の自然との調和を意識して、大開口には木製サッシを採用したり、テラスに面した床だけを同じタイル張りにしたり、内と外がシームレスに連続するように工夫しています。
開かれたLDKの東西両サイドには、閉じた箱の中にプライベートな機能を集約。仕事部屋はアシャギのように一度外に出てアクセスする配置とし、私的領域の確保と併せてライフとワークの切り替えを促しています。
設計・施工会社
一級建築士事務所 コバヤシ 401.Design room
TEL:098-923-4578 | https://kobayashi401.com/
沖縄市中央 3-1-8
【東京OFFICE】
品川区小山6-5-10 千代田ビル4F
TEL:03-6426-4814










