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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

ゆとりの空間とDIYが彩る、 家族の未来へ変化する木造平屋

ゆとりの空間とDIYが彩る、 家族の未来へ変化する木造平屋

DATA
設  計: 株式会社 西建設
敷地面積: 459.28㎡(約138.93坪)
建築面積: 94.4.㎡(約28.55坪)
延床面積: 79.49㎡(約24.04坪)
用途地域: 都市計画区域内
      区域区分非設定
構  造: 木造軸組工法
完成時期: 2021年5月
施  工: 株式会社 西建設
電  気: 株式会社 大名電設工業
水  道: 有限会社 サンユウ設備
キッチン: タカラスタンダード株式会社

広い敷地を生かして、伸びやかな木造平屋を実現したOさんの家。
新築でありながらDIY好きな施主の手を加えつつ、家族の成長に合わせて「変化する住まい」です。

 

週刊かふう2022年12月23日号に掲載された内容です。

ゆとりの空間とDIYが彩る、 家族の未来へ変化する木造平屋

ゆとりある敷地に住まいの夢を描いて

 緑が茂る丘陵や風に揺れるサトウキビ畑。そんな牧歌的な風景に囲まれ、太陽の光を浴びて青々とした芝生が広がるOさんのお宅。広い敷地の5分の4は庭に配分し、その前面には並列で5・6台は駐車できそうなスペースが用意されている、ゆとりの空間に圧倒されます。
「隣が私の実家です。両家で共有するこの庭では、うちの子たちといとこが一緒に遊んだりしています」と、笑顔で子どもたちを見守りつつ話し始めた奥さま。

 夫妻は以前から「木造らしさを感じる家を建てたい」と意見が一致。屋根は勾配を付けたい、太い梁を現しに仕上げた広いLDKがいいね、リビングを見渡せる対面キッチンを選ぼう、住まい全体を回遊動線で移動できるようにしたいね、と語り合いながらディティールの共通イメージを固めたといいます。

 家づくりを本格的にスタートしたのは2年前のことで、きっかけは西建設の完成見学会を訪れたときの“共感”でした。
「キッチンの上に勾配屋根を利用したロフトがある物件で、夫も私も木造専門の建築会社という点に興味を持ちました。うちの見積もりをお願いしたところ予算内に収まりそうで、家づくりに取り組みました」

ゆとりの空間とDIYが彩る、 家族の未来へ変化する木造平屋

色彩計画の妙を楽しむ基本色とアクセントカラー

 玄関の引き戸を開くとポーチから連なる大判タイルの三和土(タタキ)が現れ、その一部には玉石を敷き詰めた装飾仕上げ、格子を通して見える畳間など、「和」の設えで迎えられます。
 リビングに威風堂々と渡した太鼓梁や化粧梁を現しにした高い天井を見上げると和風家屋の特徴が色濃く感じられますが、切り妻屋根の棟の高さを違えてハイサイドライトを設けた意匠などに、Oさんたちが目指した和モダンのエッセンスが薫ります。

「カラーリングにも相当凝りました」というOさん邸の基本色は、壁のホワイトや木目の美しさを生かしたブラウン。そして、奥さまが好きなグレーやゴールドなどのアクセントカラーを利かせた色彩が見事に調和しています。
「同じ色調でもマットなグレーやキラキラ感のあるライトグレーなど、違うクロス(壁紙)を一つの空間に組み合わせたりしています」というこだわりよう。
「クロス選びに迷ったら、すぐにサンゲツのコーディネーターに色の取り合わせや素材選びについてアドバイスを仰ぎました」というかいあって、満足のいく出来栄えとのこと。
「リビングのTVボードの背面はグレーのアクセントクロス、子ども部屋と主寝室をつなぐウォークスルークローゼットには、子どもたちが好きなキャラクターの壁紙。キッチン背面の壁はタイル柄の“キッチンらしい壁紙”を選びました」
 リビングや個室のフロア材は足裏に優しい感触の突板を採用していますが、キッチンの足元は「色を変えたい」とのことから、防水性のあるクッションシートを選択しました。

ゆとりの空間とDIYが彩る、 家族の未来へ変化する木造平屋

“余白”に手を加えて入居後も変化していく

 和室の裏手にあたる子ども部屋に入ると、天井がまだ工事の途中のようですが?
「こちらの天井は夫がDIYで仕上げる予定で、西建設さんには仕上げ前の段階までお願いしました」と、奥さまが説明してくれました。
 Oさんの実家は木造で、物心ついた頃から親がDIYする際に手伝いをしていたとのこと。自らのマイホームも時間をかけて手を加え、少しずつ「わが家らしさ」を増していこうという計画です。

 そのほかにも、システムキッチンのリビング側に棚を造作したり、サニタリーとリビングの間に設置した洗面所の仕上げ、その横にあるコーナーを活用した収納棚、キッチンからアクセスできるアマハジ(沖縄の伝統家屋にある軒下空間)にベンチチェアを作ったり、子ども部屋に落書きや計算をマーカーで自由に書き込めるホワイトボードを貼ったり、勾配屋根の下に設けたロフトの内装を構想中とのこと。
 木造住宅の “自由度の高さ”は、住まう人の手でライフステージごとに多彩に変化させていく楽しみでもあると実感しました。

写真ギャラリー

ゆとりの空間とDIYが彩る、 家族の未来へ変化する木造平屋

吉野ヒノキや飫肥杉を採用する 沖縄の気候風土に合致した注文住宅

西建設 大工棟梁 西 武彦さん

 株式会社西建設は創業から50年の歴史を数える木造専門の建築会社です。沖縄でも、この地域特有の気候・風土に合わせた自由設計の注文建築において、17年間の実績を重ねてきました。
 中でも国産材にこだわり、湿気に強く耐久性に優れた宮崎産の「飫肥(おび)杉」をはじめ、リビングなどの太鼓梁には自然の姿が美しい京都の吉野ヒノキを採用するなど、適材適所の素材選びに高い評価を得ています。

 広い敷地を生かした平屋を希望されたOさんのお住まいでは、勾配を付けた切妻屋根、風格を物語る太い大黒柱、吉野ヒノキの梁を現しに仕上げたLDK、沖縄では雨端(アマハジ)と呼ばれる下屋(げや)に広がる憩いの空間など、伝統的な日本家屋と沖縄の家屋の特徴を調和させつつ仕上げています。
 また、回遊動線で各所を移動できるレイアウト、天然木の美しさを化粧合板で味わえる突板を採用するなど、住まう家族のライフスタイルを思いながら現代の暮らしにマッチした新たな解釈で伝統との融合を描き出しています。
 玄関ポーチと三和土に同じタイルを用いて、内と外をゆるやかにつなぐ空間づくり。和室と玄関を仕切る壁には格子窓を設けて“抜け感”を演出し、LDKの奥に配置した対面式のキッチンまで視線が届く伸びやかさが、ゆったりとした開放感を創造。日本家屋では珍しいハイサイドライトをリビングに採用したり、勾配天井を活用したロフトスタイルの収納スペースも、くつろぎに満ちた空間を印象づけるパーツです。

 天然木の優しい木目とスタイリッシュな白を基調としたベースカラーに、グレー系のアクセント色が映える色彩計画。手洗い場の水栓にはゴールドをセレクトし、名古屋モザイクのヘキサゴンタイルとも相まってヴィンテージのような風合いは、西建設が提携する資材の供給企業とOさんたちのコラボレーションによるアイデアを反映して完成したインテリアです。
 
 DIYを趣味とするOさんとイメージを綿密にすり合わせ、子ども室の天井やロフトへ上がる階段、キッチン横の洗面スペースなど、入居後にDIYで仕上げる「余白」を残した配慮が、その家族らしさが色濃くなる住まいづくりのサポートとなっています。

 施主の要望に応えつつ、寺社仏閣の建設などで培ってきた豊かな経験と高い技術を、暮らし心地の良い家づくりのために提供する。そんな姿勢に、西建設の矜持(きょうじ)が伝わってきました。

設計・施工会社

八重瀬町安里322-40

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