木の心地よさが隅々まで続く土間的ダイニングのある家
- DATA
- 設 計: 株式会社 新垣工務店
(設計担当/渡久地政哉) - 敷地面積: 249.03㎡(約89.10坪)
- 建築面積: 110.65㎡(約33.53坪)
- 延床面積: 104.82㎡(約31.76坪)
- 用途地域: 未指定
- 構 造: 木造住宅金物工法
- 完成時期: 2024年10月
- 建 築: 株式会社 新垣工務店
(担当/新垣) - 電 気: 吉電設(担当/吉平)
- 水 道: 株式会社 みやぎ水道設備
(担当/宮城) - キッチン: LITTAI(担当/仲地)
週刊かふう2025年5月2日号に掲載された内容です。
連続した一つの空間を床レベルの差で仕切る
Mさん宅の食卓スペースは、玄関から床がフラットにつながった土間的な空間になっています。屋内の一部でありながら、他の居室がすべて一段高い位置に並んでいるため、ダイニングとキッチンはいわば屋内外をつなぐ中間領域的な場所として機能しています。
「以前に宿泊した施設がまさにこうした造りで使いやすく、”わが家でもぜひ取り入れたいね”と話をしていたんです」とご夫妻。すぐ隣にはリビングがあり、平面図だけ見ればLDKは連続したワンルームといえますが、「境界部分には段差があって、開閉できる格子状の引き戸も付けてもらったので、それぞれが独立した部屋のように感じられます。リビングにいる子どもたちの様子を眺めつつ、ダイニングで本を読んだり家事をしたり、自分の時間を過ごせるのがいいですね」。
構造は木造を選択しました。「依頼したのは、住宅誌などを見て作風が気に入っていた建築会社です。せっかく木の家を建てるなら、温かみある雰囲気や視覚的な存在感を存分に味わえるようにしたかったので」。頭上に架かる梁や各居室の床材だけではなく、家具や建具、収納も木で造作。どこにいてもその素肌感が伝わってきます。
使い勝手を考え抜いた細長いレイアウト
新居は建坪約34坪の細長い平屋です。敷地南側の庭に面して土間ダイニングがあり、そこから横並びでリビング・応接間・子ども室が連続。各居室間はフローリングの廊下を通って移動できる他、土間廊下沿いに行き来することもできます。
「普段は応接間がセカンドリビングのようになっていますね。育ち盛りの子どもが4人いるので、多目的に使えて重宝しています。子ども室は細かく仕切らずに一室だけ用意し、全員が並んで使える一枚板のカウンターと人数分の本棚・収納ボックスを造作で用意してもらいました」。
屋根裏をすべてオープンにした室内は縦横に視線がよく通り、応接間・子ども室・主寝室の上部はロフトとして活用。また玄関からDKへ続く土間スペースは、ダイニング脇の水回り一帯まで広がっており、家事の効率アップに大きく貢献しています。
「計画当初は明るさを抑えた陰影のある空間をイメージしていたのですが、提案通りにして大正解。特にダイニングの窓は大きくて開放感があり、屋外の様子も感じられて気持ちがいいですね」とMさん。「どこにいても子どもたちの顔がよく見える。ゆっくりと家族の時間を育んでいけたら」と穏やかに話しています。
写真ギャラリー
建築士 渡久地 政哉さん
Mさん宅では、仕口や継ぎ手といった部材の接合部に金属製の部品を使った「金物工法」を採用しています。従来の一般的な木造軸組工法と比べて、品質にバラツキのある無垢材に金物は不向きと言われてきましたが、曲げ強さなどが厳格に数値化された高知県産の杉材を用いることで、金物工法のメリットを最大限に生かすことに成功しました。
また当社では以前から、高気密・高断熱の家づくりに取り組んでおり、屋根から壁、基礎まで隙間なく断熱材で覆う「外張り断熱」を標準施工しています。引き渡し前には繰り返し散水試験をして水の侵入がないことをチェックし、確かな性能を担保しています。
今回のプラン面では、間口が狭くて奥行きのある敷地形状の中で、土間ダイニングやロフトといったMさんのご要望をいかに盛り込むかを念入りに検討しました。話し合いを重ねて理想的な間取りを実現でき、オリジナルキッチンや家具、格子引き戸なども取り入れながら、デザイン面でもバランスの取れた仕上がりになったと考えています。
設計・施工会社
株式会社 新垣工務店
TEL:098-945-5747 | https://www.arakaki-koumuten.com/