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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

古の風情をまとった 木造セカンドハウス

古の風情をまとった 木造セカンドハウス

DATA
所在地 :大宜味村
家族構成:夫婦、子ども1人
設計:建築工房ibox(担当/比嘉功)
敷地面積:800.44㎡(約242.13坪)
延床面積:52.17㎡(約15.78坪)
建築面積:66.24㎡(約20.07坪)
用途地域:都市計画外
構造:木造軸組工法平屋建て
完成時期:2019年6月
建築:株式会社はーとほーむ産業(担当/具志堅悟)
電気・水道:新垣電設工業
キッチン:タカラスタンダード

海・山・川に囲まれた小さな集落に、セカンドハウスを主目的にした木造平屋を新築したNさんご夫妻。リビング・キッチン・畳間をワンルームに収めたコンパクトな空間に、伝統的な沖縄民家のエッセンスを詰め込み、木の風合い漂う爽やかな住まいに仕上げました。

古の風情をまとった 木造セカンドハウス

床・頭上の梁・雨端柱に無垢の木をふんだんに使用

Nさんご夫妻が憧れていたのは、伝統的な沖縄民家。普段は中南部の都市部で忙しく過ごしているがゆえに、日に日に昔ながらの沖縄情緒が恋しくなって、「せめて週末だけでも息抜きできるセカンドハウスを建てよう」と動き出しました。本心をいえば「有形文化財に登録された築百年超の古民家を模したような家」を望んでいましたが、利用頻度とコストのバランスを現実的に考え、「古民家のエッセンスを残し、無垢の木をふんだんに使って小屋組を現したようなぬくもり深い家にしたい」と方向性を絞り込みました。
 土地探しは理想的な環境を求めているうちに、徐々に北へ北へ。やがて出会った大宜味村の土地は、海と山と川を身近に感じる小さな集落にあり、もともと築年の古い平屋の家が建っていて、その脇にはこんもりと木々が茂った小高い丘がありました。「周囲の集落の雰囲気もとても気に入り、訪れる度に子どももとても楽しそうだったので」と購入を決断。当初はリノベーションを検討したものの傷みが激しく、建て替えて木造の平屋を新築することにしました。
 設計の依頼先は不動産会社から紹介を受け、北部で実績のある建築士事務所に一任。Nさん自ら希望の間取りをスケッチして建築士に伝え、細かい点は微調整してもらいました。「基本的にセカンドハウス使いだから、ゆったりと寝泊まりできれば十分」と個室はあえてつくらず、キッチン・リビング・畳間がひとつながりになったワンルームの空間に。床、頭上の梁、軒を支える雨端柱には無垢の杉材を用いることにしました。

古の風情をまとった 木造セカンドハウス

真四角のコンパクトな空間。家具は少しずつDIYで

新居の広さは建坪約16坪。平面的にはシンプルな真四角の形状で、天井は張らず吹き抜けにして小屋組を現し、開放感と木の風合いを存分に生かしました。敷地内の丘を望む西側には掃き出し窓を並べ、木々の緑と光を感じる爽やかな空間に。屋外にはコンパクトながらも雨端をつくり、「軽やかな印象に仕上げたかったので」と赤瓦の代わりに朱色のスレート瓦を葺いた外観は、伝統民家らしいたたずまいを漂わせ、古い町並みにもすっかりなじんでいます。

古の風情をまとった 木造セカンドハウス

 念願だった木の家は、今年6月に引き渡しを終えたばかり。完成直前から頻繁に通い始め、「やっぱり木の香りはいいですね。見た目も肌触りも温かみがあって、家にいるだけで癒されます。窓を開ければ風がよく抜けるし、夜はかえって寒いくらい」と奥さま。現時点では家具を買いそろえる予定はなく、テーブルを一つ置いているだけ。今後は「少しずつDIYで増やしていきたい」とご主人は話し、まずは第一弾となるダイニングチェアが出来上がりました。さらには屋外環境の充実も企てており、「次の予定はウッドデッキ。それが済んだら目の前の丘にツリーハウスをつくりたい」ともくろんでいます。
 当面は週末だけの利用になりそうですが、「親類や友人と一緒に泊まってホームパーティーをしたり、遠方から沖縄旅行で訪ねてきたゲストに宿代わりに使ってもらったり、週末のセカンドハウス以外にもいろいろ用途はありそうですね」。とはいえ新築後間もない今はまだ自分たちこそがゲスト気分。この夏休みは行き来する機会が多くなりそうです。

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