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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

ライフスタイルを楽しむ防湿に優れたローコストの家

ライフスタイルを楽しむ防湿に優れたローコストの家

DATA
所在地:中城村
家族構成:夫婦、犬1匹
設計:株式会社 新洋 設計部
敷地面積:462.49㎡(139.62坪)
建築面積:99.37㎡(29.99坪)
延床面積:91.09㎡(27.49坪)
用途地域:未指定
構造:木造平屋
完成時期:2019年8月
建築:株式会社 新洋
電気:有限会社かりゆし電気(担当/島袋)
水道:有限会社ダイエイ工業(担当/真栄城)
キッチン:パナソニック(担当/金城)

自然体の暮らしを慈しむMさんご夫婦がようやく見つけた理想の土地は、擁壁工事を必要とする傾斜地。限られた予算の中、家づくりの専門家として培った知恵と人脈を活かし、自分たちらしく過ごせる
「わが家」を実現しました。その時々を楽しむ姿が日々を輝かせています。

ライフスタイルを楽しむ防湿に優れたローコストの家

この風景をわが家の眺望に 空と緑と、家族の笑顔と

 心やすらぐ環境に暮らしのベースを構え、家族が自然体で過ごせる住まい。好きなこと、楽しいこと、日々の暮らしで大切にしたいことが、共通の価値感としてしっくりと馴染んでいるMさんご夫妻は、理想をかなえる土地探しに約2年を費やしたといいます。
「いろいろな土地を見ましたが、何よりもこの風景が決め手になりました」と微笑む奥さま。のんびりと草を食む闘牛が飼われている原っぱ、夏になるとホタルの淡い光が飛び交うせせらぎなどが、ことのほかお気に入り。住宅が増えてきたエリアながら、かつては水鴨の親子がよちよち歩く光景も見られました。
 Mさんも「私たちが購入を決めたこの土地はかなりの傾斜地でした」と振り返ります。その利点となる開けた視界、自然が残るゆったりとした眺めを〝借景〟できることが魅力に映ったそうです。 
 今回の取材先となるMさんは一級建築施工管理技士の資格を持ち、建築資材の供給も担う建設会社で現場代理人を務めていらっしゃいます。家づくりを熟知する専門家がどのようにマイホームを建てたのか、興味をかき立てられます。
「傾斜地のメリットを喜ぶ反面、土地のレベルを上げるための擁壁に多くの費用がかかるだろうと予想されました。費用的にこだわる箇所と妥協する点を明確にして、予算配分に工夫しました」
 Mさんは予算内に納める工法や資材などの調整を課題とし、家そのものについては主に奥さまが思い描く暮らしのイメージを空間イメージへ具体化していくように進めました。

ライフスタイルを楽しむ防湿に優れたローコストの家

建材や製品を知ることが「理想」を叶えるヒントに

 ヨガを10年以上続けている奥さまは、心地よさをとても大切にしています。フラワーリースが飾られた玄関ドアを開けると、温かみを帯びたミルク色の壁、深いモカブラウン色の床材など、全体的に落ち着きある色彩にまとめられた空間が広がります。
「私たちにとってわが家とは『リラックスする場所』なので、より自然に感じられる木造住宅を望んでいました。室内照明も柔らかで、明る過ぎない方が好みです」
 Mさんは奥さまの言葉からイメージを膨らませ、約28坪の木造平屋、家全体を2つにゾーニングした4LDKというデザインに仕上げました。玄関ホールを挟み、壁に調湿作用のある漆喰を用いて居住性を高めた主寝室と、トイレ、洗面室など水回りのスペースが向かい合うプライベートなゾーン。そして玄関ホールとリビングを隔てたドアを開けると、リビングやキッチン、3つの個室が繋がるもう一つのゾーンが広がります。
「坪数を抑えながら生活スペースをできるだけ広く取るため廊下を省略して、リビングを中心にその他の部屋を結ぶ動線としました」
 ハンモックが置かれたリビングの壁を照らす天井近くの間接照明は光源が目に入らないよう設えられ、さらに光の途切れ目がないよう緻密に計算されています。奥さまが習慣としているヨガのエクササイズは、リビングとの間に扉を設けず空間を伸びやかに見せている和室、天気のよい日は眺望が開けた6畳もあるウッドデッキで。書斎として使っている部屋や、将来は子ども部屋にと考えている個室には、スリット窓付きの洒落たドアを採用。これらの部屋には省エネに優れた複層ガラスサッシを選択して、機密性と断熱性、遮音性を高めています。住まいの防カビを重視するMさんが選択した樹脂フレームの複層ガラスサッシは温度差の影響を受けにくく、結露を防ぐ効果が期待できます。ちなみに、採用した建具などはほとんど標準仕様の製品とのこと。職業柄、建材や製品に関する知識が豊富なMさんは、限られた予算でも優れたものを選択することができました。
「その一方、入居後のランニングコストで費用回収できると思ったものは、少々高くても採用しましたよ」
 瓦の屋根や複層ガラスサッシ、オール電化のキッチンも年間光熱費を考えた結果です。また、仕事を通して培った人脈からもさまざまな協力を得たといいます。

ライフスタイルを楽しむ防湿に優れたローコストの家

ご夫婦と犬1匹の暮らしは日々を楽しむスタイルで

 入居から約半年、Mさんが最も満足しているところは家をぐるりと囲む庭とのこと。琉球犬の血を受け継ぐ愛犬が遊ぶ芝生を敷きつめ、バーベキューを楽しめるかまどは手作りしました。アウトドア好きなMさんご夫婦は、庭にテントを張ってキャンプ気分を楽しむこともあるそうです。
 奥さまは玄関先の可愛らしい花々が彩る花壇の手入れや、小さな畑でハーブティーに使うカモミールやレモングラスなどを育て、島らっきょうやカンダバーの収穫にも精を出しています。
「将来的には緑豊かな生け垣を作って、季節ごとの花を楽しめればと思っています」
 年月とともに住まう家族のライフスタイルが熟成していく「わが家」のスタートを感じました。

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